禁呪
掲載日:2025/11/12
400字以内のショートショートです。
暖かな春の日差しを受け、入学式を終えた僕は晴れて大学生になった。
学部の講義、サークル活動、少し早いけど、ちょっとだけお酒も飲み、帰宅が夜遅くなっても父は何も言わなかった。
けど、母は違った。
「ちょっとあんた、夕飯食べてくるなら食べてくるで、ちゃんと言いや!」
「そんな夜更かしして!もうお母さん寝るよ!」
なぜ母親は寝るときに一方的に寝ることを宣言するのか?
そんな過干渉な母と僕の間に言い争いが増え、ついに僕が
「いい加減、子離れしなよ!」
と言うと、母は目に涙を溜めて部屋から出ていった。
少し言い過ぎたかなと心配していたら、母は父の若い頃のギターを抱えて戻ってきた。
そして、目に涙を溜めたまま、母はギターをかき鳴らし、大声で歌い出した。
「絶対零度の右手ぇー、封じられた記憶ぅー♪」
母の手には、僕の中2の頃のノートが握られていた。
いや、ちょ、喧嘩したけど、
それは禁呪やろ!!




