3.思案
ユーミアは自室に戻ったが気分が悪かった。もう辺りは暗い夜だ。
(当たり触らずって感じだろうラビア宰相は。それとも彼もミセスのことを気に入っているのかも。)
ユーミアはそのように思っていた。
ユーミアは自室のベットで寝そべる。
じゃあ自分の存在は何なのだろう。
確かに自分は王妃だ。だから率先して国のことを考えるのは当たり前である。
しかし、肝心のバルコニー王は王としての仕事を果たしていないし。これでは意味がないような気がするが、あの現状では誰もミセスとバルコニー王を追求することはないだろう。
(でもなんだかあの女は引っ掛かるわ)
バルコニー王に付きまとっている愛人、ミセス・フロウは宰相のラビア宰相が連れてきた。
愛嬌が良く容姿も良いミセスは周囲を虜にし瞬く間にバルコニー王の寵愛を受けるようになった。ミセスが来る前は良好な関係が築けていたのに、そこからユーミアは、バルコニー王から目を掛けて貰うことがなくなった。
それに対し、正直ユーミアはミセスとバルコニー王、二人の関係に嫉妬というものはしなかった。もうユーミア王妃はバルコニー王との関係は破綻していると冷めており、諦めているからだ。荒れるだけユーミアの立ち位置が悪くなることはわかっているからだ。
しかし、ユーミアは本当にそれでいいのか、歯痒いものがあった。そして、彼女は王妃の仕事もあるから、放棄し辞めるわけにはいかない。そのような葛藤も持っている。
(でも、私が愛人に物申したら、私が悪者になる立場になるのは嫌だわ。そこが胸糞悪いのよ)
はぁ。とため息をつく、ユーミア。バルコニーもラビア宰相も何故あんなになったのかしら…。と思うばかりだ。
すると、ユーミアはふとバルコニー王に貰ったものを思い出す。ユーミアは、自室の引き出しの中にそれを入れていて、ベッドから起き上がると引き出しを開けてバルコニー王が貰ったものを取り出す。それは、綺麗なネックレスだった。
(昔はそうでもなかったけれど)
これでも、ユーミア王妃とバルコニー王は恋愛結婚だ。
ユーミアはバルコニー王から告白を受け、彼はあれでも昔は真面目だったのでユーミアを大事にはしていた。
このネックレスはその時貰ったネックレスだ。付ければいいものの、ユーミアはデザインを気に入っていたしそれなりにネックレスが高く、失くしたくなかったのでしまっておいたのだ。
(もうこんなもの、忘れてしまっているんでしょうね)
ユーミアはそう思うと悲しくなってくる。しかし、彼女はふと思った。
(いや、でも、もうそうなら、…私が、ここにいる意味がないような気がするの)
ユーミアはなんだかもやもやしている心に終止符を打ちたいと思っていた。
(しかし、私が消えたら国がどうなるかは分からなくなるのは事実だし、だけどこのままで良いわけない。しかし、あれでもバルコニー王は王だから、…この国じゃあ王の言うことを優先させられるわ。というか、何であんなのが王…。…いや考えるのはよそう)
ユーミアはバルコニー王のことを考えていると嫌になるので考えるのは辞めた。
しかし、ユーミアは彼に対して呆れた感情、悲しい感情、自分が求められない思いがぐちゃぐちゃになって疲弊してしまっているのは確かだった。
(でも、もしかしたら、話したら、彼は変わってくれるのかも)
ユーミアは昔の彼と重ね合わせる。
(でも、何であんなになってしまったんだろう?私何かしたかしら?)
ユーミアはバルコニー王との関係が何故壊れてしまったのか考えてみた。しかし、深く考えてみても心当たりは全く無い。
(うん。特に、声を荒げてバルコニー王を怒ったりしていないし。寧ろ許してるわよね。私。…そうよ。ミセスだって愛人として子を成すのが仕事なのに全くやってないのにそれ咎めてもないじゃない)
と、ユーミアは全然自分に非はないような気がした。
なら、一旦バルコニー王と話し合ってみよう。そしたら何かしら改善するかも。そうしてから決めよう。
ユーミアはそう思い、侍女を呼びその準備を始めた。




