19.ミセス視点 逆境
「どうしてラビアが追放されなきゃいけないの!?バルコニー何とかしてよ!」
ラビアが追放され、ミセスは追い詰められていた。ラビアの力で娼館から、成り上がったミセスは、ラビアという権力が居なくなり、誰も自分を庇ってくれないことを知り、ミセスは発狂して八つ当たりをし、バルコニーを追い詰めてしまっていた。
「ねえ、バルコニー!あんたの父親が、ラビアを追い出したのよ!何とかしてよ!」
「……」
バルコニー王はミセスの言う事に黙る。
「ミセス。…俺に言っても仕方ない。それにミセスは俺と共にもう退位することが決まった」
「え?」
ミセスはバルコニーの言う事に驚いた。
「…当然の報いだよな。なあミセス」
すると、バルコニーは、ミセスに嫌悪を示す。
ミセスは、バルコニーの言い方にカッとなる。
「何よ!その、言い方!あたしは分からなかったんだから仕方ないでしょ!?それに嫌よ!私は王妃続けるから!!」
「…退位するんだ。あんなことをして、只で済むわけがない。…やって良いことと悪い事の区別くらいはつくだろ」
「嫌よ!私は王妃を続けるわ!」
「…では、俺だけでも王を降りる」
「いいわよ!勝手にやったらどうなの!?」
そうして二人は別れた。
×××
それからというもの二人はもう会うことがなくなった。すると、突然バルコニー王は王を辞退することを告げ、王宮から居なくなってしまった。
代わりにシリスがこの国の王を継ぐと言ってしまったのだ。
(何やってるのよあのクソ王…!!)
バルコニーが居なくなっても、ミセスは王妃を続けていた。しかし、日に日に冷たい目線が自分に飛んでくるのをミセスは感じていた。
すると、その宣言をした次の日から、使用人がミセスにつかなくなった。
「ちょっと!どういうことなの!?あたしは王妃よ!?誰かいないの!?」
ミセスが朝起きたら、誰もミセスの所に来なかった。すると、ミセスは、自分で服の着替えを行ったり、そのようなことをし、廊下を出た。
すると、一気にミセスに目線が集まる。
(な、何…?)
じっと、見ながら、何かヒソヒソとする使用人に戸惑う。と、いいつつも、ミセスは行くとこがあるので、彼女はそこに向かう事にした。すると、
「いい気味」
そんな声が聞こえ、ミセスは振り返る。
しかし、誰もおらず、誰が言ったかわからない。
薄気味悪くなったミセスは、さっさと廊下を通っていった。
×××
「先王さまぁ。助けてください!」
次の依存先を探していたミセスは先王の所へ行った。
「あたしは何も悪くないはずです。先王様、それはわかりますよね?あたし、何も分からずにバルコニー様に王妃にされたのですから」
「…ミセス。君はいつまでここにいるつもりだ?バルコニーは居なくなったというのに」
「へ?」
すると、先王は冷たい声でミセスに言った。
「しかも、君は何が悪いのかというのがわかってないときた。…向こうの王はカンカンにキレているというのに」
「…え?そ、そうなんですか?」
「当たり前だろう?君は彼にナイフを向けて襲ったのだ。…それをまだ公にしてないだけ有り難いとは思わないのか?…バルコニーは君を守っているのだぞ?相手に頭を下げて自分が退位することで、この事を公にしないでくれと頼んだのだ」
「え?え?」
「普通なら、不敬罪で相手の国王に引き渡し独房に入れられる所を、怪我が無い事から、一度だけプライベート間で起きた揉め事として、相手が許したのだ。しかし、それも分からずシラを切るなら、今すぐにでも相手に引き渡し、独房にでも入るか?」
「あ、あたし、あたし、捕まるの?王妃なのに?」
「…ああ。君にも何かしらに罰があるに決まっているだろう?」
そのことにミセスはひゅっとなる。
「え、でも、でも、あたしは分からなかったのよ??」
「…分からない、か。…分からなくても、善悪の判別くらいはつけるだろう?」
はあ。と先王は溜息をついた。
「きなさい。ミセス。君の政務のせいで君が今どのような事が起こっているのか?」
×××
先王はミセスを王宮のある部屋に連れて行く。
すると、先王はミセスに、外の窓を見せてみる。
ミセスは見ると、下の方の門の側で、数人の平民たちが徒党を組んで、訴えていた。
『王妃を王宮から追い出せ!』
と、国民が怒りを露わにしていた。
「え?え?」
と、ミセスは困惑する。
「ど、どういうこと?」
「君が財政を悪化させたせいで、国民が貧困に陥いり、そのせいで王宮の前でデモが起こっているのだ」
「私?私のせい」
「ああ」
そして、又、ミセスは下を見る。
「怖い…怖い…」
ミセスは、目つきがあんなにギラギラして、今にも自分を殺しそうだ。
(いや、おかしい客みたいなものよ。まれにいるじゃない。首絞めて喜ぶような変なの。人の落ちぶれを喜ぶようなクソ雑魚)
ミセスは碌でも無い人間関係を構築していた為、人を下に見る癖が出来ていた。だからこのような状況でも自分が悪いとは思わなかった。
(雑魚の癖に、あたしはここまで自力でのし上がった。)
ミセスはそんな事を思う。しかし、ミセスはこの現状を見て、段々と自分の立場を理解してきた。
(逃げ出すしかない…)
と、ミセスは思う…。
「…わかったか自分がどのような立場にいるか」
そう告げると、ミセスと先王は別れた。
×××
ミセスは、先王に言われた時から、もう狂ってしまっていた。ここから逃げなければ、何れ自分に危害が加えられるだろうと思っていた。
「ラビア?ラビアどこなの?お願い。又あの時みたいに、私を救って?」
ミセスは、居なくなったラビアを追い求めていた。
「どうして?どうしてわたしの周りには誰もいないの?」
誰もミセスを助けてくれる人はおらず、ミセスはただ泣く。
「ラビア。おねがあい!たすけてよお!」
泣き叫んでもミセスの回りには誰も居なかった。
「いや!もう王妃なんていやあ!!」
そう叫ぶと、ミセスは暗闇の中に消えていった。




