15.ラビア視点 呼び出し
(ふ。これが、人生勝ち組という奴ですかね)
ラビア宰相は、王宮の廊下を歩きながら、自分のことを今一番ノリに乗っていると思っていた。別に邪魔とも何とも思わなかったが、ユーミア王妃が居なくなり、ラビアが実質、上に近いポジションを手に入れている。
(ミセスをあてがったお陰で、バルコニー王も私の意のままだし)
自分の都合のまま何もかも操れる。ラビアはそんな状況が面白くて堪らない。
(しかし、あの兄王…シリスが邪魔だ)
ラビアは手を顎にやり顔を暗くさせる。
(バルコニー王は自分の意のままだと思うが、バルコニーがシリスを呼び戻すせいでシリスが王宮をコントロールしてしまう。それに、あのシリスが寄越してきた秘書は何なのだろう?バルコニー王に付き纏うせいで、私の立ち位置が揺らぎつつある)
(ま、バルコニー王はもう私を手放さないでしょうし、シリスも、やっと自分の拠点に帰っていった。後はミセスと共に散ってくれれば、自然に私が王になるのは目に見えた)
ラビア宰相は野心があった。それは、自分が一国の王になりたいというものだ。ラビアとミセスは知り合いというものである。娼館で知り合ったもの同士である。
ラビアの目的の為、彼女をこの王宮に入れたのだった。
何も知らない娘を淡い期待と甘い言葉で釣り、王宮にいれたのがこの宰相であるラビアだ。
(しかし、先王は私に何の用だろう?)
と、ラビアはそう思いながら歩いていると、ドアの前についたので、彼はその扉を開いた。
×××
「どうされましたか。先王様」
先王とラビア宰相は二人は椅子に座り向かい合って話す。ラビア宰相は突然先王に呼ばれたので、ラビアは彼の部屋に行ったのだ。
「ラビア宰相、君は自分が国民の為に働いていると思うか?自分の利益を追求せず、国民の為に働けていると思うか?」
「勿論です先王様」
「なら、何故君の連れてきた愛人ミセスは、明らかに他の愛人より身持ちが豪華なのだ。それにより、周囲が不満をもらしているのはご存知か?」
「王妃になられたのです。きっと、その立場をまず見目から改善させようと涙ぐましい努力をされているのですよ。理容代はお金が掛かるでしょう?人は見かけが大事ですしね」
「…私は只己の欲の為にしか使っていないと思うが?」
と、先王は言った。すると、はぁ。とラビア宰相はため息をつく。
「先王様。ミセス様の出自はご存知ですよね」
「ああ」
「もしや、それでミセス様を無意識に差別されてるのではないですか?」
「差別?」
「ええ。ミセス様は元は娼館の女です。しかし、ミセス様は王妃になる為に涙ぐましい努力をされた…。だからこそ、バルコニー王は、ミセス様を選ばれた。それだけのことなのです。なのに、それに悪態をつき、娼館の女が見目を豪華にするという事実を、先王様は、受け入れられていないのではないのでしょうか?」
「…私は、特に身分で判断することはない。今現在を見て、ミセス王妃が、王妃としての素養があるとは思えないのだ」
「…しているではありませんか。もしや、そういう下らないことを話す為に先王様は、私を呼んだのでしょうか?」
と、ラビア宰相と先王は相打ちになり睨み合った。
「そういう考えか。いや、そのことはもう置いておこう。
…今回呼んだのは、今、私のシリスが、暴動を抑えに、交渉しに行っているという事はご存知か?」
「ああ。あの、シリス様の拠点辺りでですね」
「…その暴動の原因がラビア、君のせいであるのは把握済みか」
「…私のせい?」
と、ラビア宰相は疑問に思う。
「…ユーミア王妃を追い出したのは君ではないか。一国の優秀で立場がある王妃が居なくなった事で、それを不快に思う人間が湧いてでてくるのは、世も常だろう」
「……」
と、先王は言った。
(ちっ。あの女にそんな影響力があったとは)
と、ラビア宰相は心の中で悪態をつく。
(…いや。王妃なんて所詮只のお飾り。特にそれぐらいの出来事で大袈裟な事など起こらないだろう)
と、ラビアは思った。
「私は、追い出したつもりはありません。ユーミア様は、自己都合で王妃を退位なされた。それだけですよ」
ラビア宰相は笑いながら先王に言った。
「そんなに言うなら、では、私がその現場に直接赴きましょうか」
「ああ。助かる。もし失敗すれば…君が全ての責任をとって辞めて貰おうか。」
と、先王は睨み利かせる。それに、ラビア宰相は悪寒が走った。
「…何故?それは突然の話では?」
「人を追いやるような真似をしたのだ。ならば、同じような目にあっても…許せるだろう?」
「…だから、私は追いやってなどいません」
「ふん…」
「…わかりました。これでも、私は今まで一度だって失敗した事なんてありませんから」
ラビアは宰相は先王に告げた。
と、二人の会話は終わった
(これは、ラビア家とクリス家の戦いだな)
と、ラビア宰相は思った。
×××
「ラビア!暫く王宮にいないって本当なの?」
「ええ」
ミセスはラビアが居なくなったことを知った為会いに行った。
「やだ!ラビアに会えないなんて寂しい!」
「ミセス。貴女にはバルコニー王がいるでしょう?」
「そうだった!」
と、ミセスは言った。
「ラビアは私を底辺から救い出してくれた恩人だもの!バルコニーもいるけど、ラビアもあたしの大事な第二の夫みたいなものよ!」
「ふふ。そうですか」
「夜はラビアの方がとても良いのよ?…というか、バルコニーは夜は一度も誘わないから、つまらないわ」
と。ミセスは囁く。
(やはり娼館の女だな)
そんな様子のミセスをみてラビアはそう思った。
「…ミセス、私は元は平民から成り上がった宰相だとはご存知ですよね?」
「ええ。努力して成り上がったのよね」
「そうです。だから、こんな私でも王になれる…。だからミセスも娼館出身だからといって、気にする必要はありません。だから堂々としておいて良い」
「本当?」
すると、ミセスは嬉しそうにさせた。
「ミセスは、もし、私が王になったらどうなりたいのですか?」
すると、ラビアはミセスにこのような事を聞いた。それに、ミセスが驚いた。
「ラビアが王?」
「はい」
すると、それにミセスは言いづらそうにさせる。
「…バルコニー王も、優しくしてくれるけど、ちょっと怖いと言うか…そんな所かも」
「そうですか」
「あの、でも、…じゃあ、王になったら一緒になれるの?」
「まあ。そうかもしれないですね」
「…でも、バルコニーがいるから、私…。うーん…」
と、ミセスはいう。すると、
「…ミセス。貴女を困らせたい訳ではないので。大丈夫ですよ」
と、優しく笑う。さると、
「…うん。大丈夫。さっさと済ませて帰ってきますよ」
「うん!大好き!ラビア!私…待ってるわ。そうだ!お見送りしてあげるね」
「有難うございます」
と、二人は会話を終わらせた。
×××
ラビアがシリスの拠点に行く時、ミセスが見送りに来た。
すると、ミセスはバルコニー王まで連れて来る。
「ラビア、何故俺の所へこない?」
バルコニー王は怒っていた。それに、ラビアはやれやれと言う。
「シリスのところに行くんだって?」
「ええ。貴方の大好きなお兄さんですよ?」
「…何だその言い方は」
と、バルコニー王は顔を歪ませた。すると、ミセスはその様子にハラハラする。
「え、えと、ほら、ラビア頑張ってね?」
「はい」
と、ラビアはミセスき言って、シリスの拠点に行くことにした。




