表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/183

転生悪役令嬢おじさん、魚と海藻を信仰する港湾国家で交渉する件

ペッシマール王国――港に面した大都市。

白い大理石の大広間に足を踏み入れると、潮の香りと共に魚の干物がずらりと吊るされ、壁には海藻の花輪が飾られていた。


国王は胸を張り、高らかに宣言した。

「ようこそ、健康の使徒よ! 我らの信仰は海の恵み――魚油は神の血、海藻は神の髪! これを讃えぬ者に未来はない!」


庶民「おぉぉぉ!」「魚の目玉は幸運のお守りだ!」

王妃は扇をかざし、冷静に微笑む。

「EPAとDHAが脳を冴え渡らせるのは事実……けれど塩分過多が気になるのも事実ですわね」


俺――エレナ=フォン=クラウス(中身はおじさん)は、肩のタオルを整え、扇子を広げた。

「おーっほっほ! 本日は海の恵みを、筋肉と学術の天秤にかけて正しく裁定いたしますわ!」


セレーネはすでに巻物を広げ、海藻の栄養素を列挙する。

「ヨウ素、食物繊維、ミネラル……ただし過剰摂取は甲状腺に負担」


ユリウスは生魚を豪快にかじり、筋肉を隆起させながら叫ぶ。

「タンパク質最高だぁぁ!」

庶民「ぎゃはは! 生魚筋肉マンだ!」


リリアーナは鼻をつまみ、「生臭すぎますわ! こんなもの淑女の食卓に出せるわけありません!」と叫ぶ。

その横で王子は胃を押さえ、青ざめた声を絞り出した。

「……俺……もう塩辛い匂いだけで……胃が……」


会場は笑いとざわめきに包まれる。


俺は堂々とタオルを翻し、宣言した。

「さぁ――始めましょう。魚と海藻の真価を問う、健康外交の幕を!」


観衆「おぉぉぉぉぉ!!!」


長机の上に並べられた料理は――

・干物の山盛り

・海藻だけで作られた黒いスープ

・油を滴らせた巨大サバの丸焼き


庶民「ぎゃはは! 海の宴だー!」

王妃は額に手を当て、「……塩分の嵐ですわね」と小声で呟いた。


俺はタオルを肩にかけ、血圧計・血糖測定器・体組成計を机に並べた。

「おーっほっほ! 本日はこの“健康診断フルセット”で、皆さまの食後の真実を暴いて差し上げますわ!」


観衆「おぉぉぉ!」


まずは庶民代表が海藻スープを飲む。

ピピッ。

•血糖値:安定

•塩分摂取:過剰アラート

•甲状腺ストレス:軽度


俺「おーっほっほ! 海藻は食物繊維も豊富で腸に優しい。ですが――摂りすぎれば甲状腺の機能を狂わせますわ!」

庶民「ぎゃはは! のど仏が震えるぞー!」


次はユリウス。

巨大サバの丸焼きを骨ごと豪快にかじり、筋肉を隆起。

ピピッ。

•タンパク質吸収:良好

•オメガ3脂肪酸:上昇

•脂質カロリー:過剰


セレーネ「……確かにEPAとDHAは血管を守る。しかし油が多すぎれば逆に動脈を疲弊させますね」

ユリウス「なにぃ!? 筋肉を守るはずが動脈に裏切られるのか!?」

観衆「ぎゃはは!」


リリアーナは渋々干物を口に入れる。

ピピッ。

•ストレス指数:上昇

•口臭リスク:強

•美容ポイント:急降下


俺「おーっほっほ! 塩分過多は美容の敵! 肌を荒らす乾燥の魔王ですわ!」

リリアーナ「そ、そんな馬鹿なぁぁ!!」


最後に王子が海藻を恐る恐る口にした瞬間――胃を押さえ、机に突っ伏した。

ピピピッ。

•消化ストレス:限界

•精神抵抗:ゼロ

•発言不能


観衆「ぎゃははは! 王子ーーー!!」


俺は扇子を掲げ、堂々と宣言した。

「ご覧あそばせ! 魚と海藻は確かに力。しかし――量と調理法を誤れば、命を削る毒にもなりますわ!」


観衆「おぉぉぉぉぉ!!!」


大広間にざわめきが走る。

国王は立ち上がり、白い髭を揺らして杖を突いた。


「戯言よ! 我らが祖先は魚と海藻で千年を生き抜いた!

 それを毒などと断じるとは、神への冒涜ではないか!」


観衆「おぉぉぉぉ!!」「魚油こそ神の血だ!」


リリアーナも便乗して叫ぶ。

「そうですわ! 角砂糖が否定されたと思えば今度は魚と海藻まで! 

 結局あなたは“全部ダメおじさん”ですのね!」


観衆「ぎゃはは! ダメおじさん!」


俺はため息をつき、タオルで額を拭うと、ゆっくりと扇子を開いた。

「おーっほっほ! 誤解なさらないでいただきたい。

 魚も海藻も確かに素晴らしい。しかし――過剰は毒。

 大切なのは、量と調和ですわ!」


セレーネが冷静に補足する。

「EPAやDHAが脳と血管を守るのは事実。海藻の食物繊維も貴重です。

 ですが塩分を制御しなければ高血圧、ヨウ素の過剰で甲状腺機能低下……“両刃の剣”です」


ユリウスは魚の骨を掲げて叫ぶ。

「魚は筋肉の友! だが筋肉も野菜と穀物を欲している!

 タンパクだけでは育たんのだぁぁ!」

観衆「ぎゃはは! また筋肉が喋ってる!」


俺は机の上の干物を扇子で指し示し、高らかに言い放った。

「神を敬うならこそ――その恵みを“節度”で活かすべき。

 真に国を守るのは、極端な信仰ではなく、健康の調和ですわ!」


会場「おぉぉぉぉぉ!!!」

庶民「なるほど!」「塩辛いだけじゃ続かないな!」


国王は唸り声をあげ、王妃はふっと微笑んだ。

「……確かに、そろそろ食卓を改める時かもしれませんわね」


国王はしばらく黙っていたが、やがて杖を床に突き、腹の底から声を響かせた。

「……余は魚を愛しておる。しかし、確かに民が高血圧で倒れる姿を見るのもまた事実。

 ならば――魚と海藻を“正しく活かす”道を歩もうではないか!」


観衆「おぉぉぉぉぉ!!!」


王妃はうなずき、淡々と告げる。

「干物ばかりではなく、蒸し料理や酢漬けで塩分を抑えればよいでしょう。

 海藻も味噌汁や和え物に使えば、栄養を損なわず美味しくいただけます」


庶民「ぎゃはは! 塩辛いだけじゃない魚の国になるぞ!」

「神の恵み=健康の恵みってことか!」


ユリウスは筋肉を誇示しながら叫ぶ。

「魚タンパク! 野菜! 米! この三位一体が筋肉を裏切らない!」

観衆「ぎゃはは! 三位一体キター!」


リリアーナは顔を真っ赤にして反論しかけたが、周囲の熱気に圧されて言葉を飲み込む。

王子は青ざめつつも、「……これで夜食が……少しは胃に優しく……」と小声で呟いた。


俺はタオルを翻し、堂々と扇子を掲げる。

「おーっほっほ! これぞ真の外交――健康と文化の調和!

 ペッシマール王国よ、魚と海藻をもって未来を築くのですわ!」


会場「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


こうして港湾国家との交渉は見事に成功し、海の恵みは“健康の象徴”として新たな文化へと生まれ変わった。


おーっほっほ! 本日はペッシマール王国の“海の信仰”を叩き直しましたが、現実の学術でも魚と海藻は健康の要ですわ。

しかし――油断は禁物。メリットとリスクを正しく理解いたしましょう!



EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)

•主に青魚に豊富。心血管の健康維持・抗炎症作用・脳機能サポートに効果。

•理想摂取量:多くのガイドラインで 1日あたり500〜1000mg、つまり週に2〜3回の青魚が目安。

•サプリ利用なら合計で週3.5〜7g程度が現実的な上限。


取りすぎても効果は頭打ちになり、出血傾向が強まる可能性あり。



生物濃縮リスク


魚の脂には水銀・ダイオキシン・PCBなど環境汚染物質が蓄積するリスクあり。

•特に大型魚マグロ・カジキなどは濃縮度が高い。

小型魚イワシ・サンマ・サバは比較的リスクが低く、栄養効率が良い。


「小魚を中心に、種類を分けて食べる」のが安全策ですわ!



クリルオイルサプリ

•南極オキアミ由来のオイルで、EPA・DHAをリン脂質結合型で含むため吸収率が高いとされる。

•アスタキサンチン(抗酸化物質)を含むのも特徴。

•ただしサプリは品質差が大きく、重金属リスクは少ないが価格は高め。


学術的には「魚が苦手・アレルギー持ちの人の補助」として有効。



ミネラル(海藻)

•ヨウ素、カルシウム、マグネシウム、鉄分など豊富。

•特にヨウ素は甲状腺ホルモンに必須だが、過剰摂取は甲状腺機能障害を招く。

•昆布だしを毎日大量に、は危険ですわ!


海藻は週数回、味噌汁や和え物で適量がベスト。



食物繊維(海藻+魚の付け合わせ野菜)

•海藻に含まれる**水溶性食物繊維(アルギン酸・フコイダン)**は血糖値上昇を穏やかにし、腸内環境を整える。

•不溶性繊維(野菜や穀物)と合わせることで相乗効果。

•摂取目安:成人で 1日18〜20g(水溶性3〜6g)。



総括


おーっほっほ! 魚と海藻は確かに“神の恵み”。

ですが、EPA・DHAは週数回で十分、海藻は適量、サプリは補助――この節度を守ってこそ真の健康ですわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ