転生悪役令嬢おじさん、学院授業で“食事バランス”を叩き込む件
講堂に生徒たちが集まり、ざわめきが広がっていた。
「前回は睡眠だったよね……今日は何を測られるの?」
「ぎゃはは! また王子が倒れるかも!」
壇上に立った俺――エレナ=フォン=クラウス(中身はおじさん)は、タオルを肩に掛け、扇子をパシンと鳴らした。
「おーっほっほ! 本日のテーマは――食事のバランスですわ!」
生徒「おぉぉぉ!」
セレーネが黒板にすらすらと書き出す。
「三大栄養素――炭水化物・タンパク質・脂質。これをどう組み合わせるかが健康と美容の基礎です」
ユリウスは胸を張って鶏の丸焼きを抱えて登場。
「筋肉に必要なのはタンパク質! 鶏胸肉こそ正義だぁぁ!」
観衆「ぎゃはは! また持ってきた!」
リリアーナはすかさずドレスの袖から角砂糖を取り出し、声を張り上げる。
「ふん! 炭水化物の王は砂糖ですわ! 甘味こそ即効の力!」
王子は横で胃を押さえ、「うっ……もう聞くだけで苦しい……」と青ざめる。
観衆「ぎゃははは!」
俺はため息をつき、扇子を広げた。
「おーっほっほ! では証明いたしましょう。食事は“単品信仰”ではなく、調和の妙。
本日は実験で“バランスの真理”を叩き込んで差し上げますわ!」
会場「おぉぉぉぉぉ!!」
壇上に用意されたのは三つの長机。
それぞれに「炭水化物のみ」「タンパク質のみ」「バランス食」の皿が並ぶ。
セバスが魔導測定器を並べ、心拍・血糖・エネルギー効率をリアルタイム表示できるようにした。
観衆「ぎゃはは! また数値で丸裸だ!」
まずはリリアーナ。
角砂糖山盛りの皿を優雅に頬張る。
ピピッ。
•血糖値:180 → 220 → 急降下
•集中力:急低下
•胃負担:強
俺「おーっほっほ! これぞ“砂糖ジェットコースター”。見た目は華やかでも、すぐ墜落ですわ!」
観衆「ぎゃはは! 砂糖墜落令嬢!」
リリアーナ「くっ……!」
続いてユリウス。
鶏胸肉をがっつきながらスクワット。
ピピッ。
•筋肉合成率:上昇
•体温:上昇
•便秘リスク:強
セレーネが冷静に一言。
「……野菜も炭水化物も無ければ、ただの腸内負担ですね」
ユリウス「なにっ!? 筋肉が裏切るのか!?」
観衆「ぎゃはは!」
そして最後は生徒代表が「バランス食」を試す。
玄米おにぎり、焼き魚、野菜の副菜。
ピピッ。
•血糖値:安定
•集中力:持続
•消化:良好
俺はタオルを翻し、堂々と叫んだ。
「ご覧あそばせ! これがバランスの力。単品信仰は笑いを生むだけ、健康は“調和”の賜物ですわ!」
会場「おぉぉぉぉぉ!!!」
実験の数値が示された魔導板を見て、生徒たちはざわめいた。
「砂糖だけだと、こんなに乱れるの……!」
「タンパク質だけも、危ないのね……!」
「やっぱりバランス食が一番か!」
観衆が盛り上がる中、リリアーナは悔しげに立ち上がった。
「ふん! 数値などただの道具! わたくしの美貌は砂糖の結晶で磨かれておりますの!」
観衆「ぎゃはは! また始まったぞ!」
彼女は角砂糖を掴んで投げ散らしながら、さらに叫んだ。
「結局、美しさは気品! 華やかさ! 砂糖こそ舞踏の宝石! この学院のやり方など認めませんわ!」
俺は深くため息をつき、扇子をゆっくりと開いた。
「おーっほっほ! 気品と華やかさを否定する気はございません。
ですがリリアーナ様――“健康な土台”を失った美は、ただの砂糖菓子の塔。
一口で崩れる虚飾にすぎませんわ!」
観衆「おぉぉぉぉ!!」
セレーネが静かに頷く。
「……つまり、美を永続させるのは“節度と調和”。それだけです」
ユリウスは胸を張り、鶏肉を掲げる。
「筋肉も同じだ! タンパクだけじゃダメ! 筋肉も野菜と炭水化物を欲している!」
観衆「ぎゃはは! 筋肉が野菜を欲してる!」
リリアーナは真っ赤になり、王子の背に隠れてうつむいた。
「うぅ……砂糖が……否定される……」
王子は青ざめた顔で胃を押さえながら、「頼むから……砂糖の夢から俺を解放して……」と呻いた。
講堂は笑いと拍手で熱気に包まれていた。
生徒たちが口々に叫ぶ。
「今日から三食バランスを意識します!」
「砂糖だけじゃダメなんだな!」
「筋肉も野菜を欲してるんだぁぁ!」
俺はタオルを肩に掛け直し、扇子を高々と掲げた。
「おーっほっほ! 本日の講義で皆さまが学んだこと――それは“調和こそ健康”。
炭水化物・タンパク質・脂質、この三つが揃って初めて、人は輝きを増すのですわ!」
観衆「おぉぉぉぉ!!!」
王妃が満足そうに頷く。
「これで宮廷の食卓も見直せそうですわね」
国王は豪快に笑う。
「ふぉっふぉっふぉ! これでわしもスクワットを続けながら長生きできるぞ!」
リリアーナは未だに拗ねた表情で椅子に座り込み、王子は横で胃を押さえたまま小さく呻いていた。
セレーネが静かに言葉を添える。
「……知識が力となり、力が文化となる。これこそ学院の意義です」
俺は堂々と宣言した。
「おーっほっほ! これにて“食事バランス”の授業は終了ですわ!」
拍手喝采。
だが、その直後――講堂の扉が開き、一人の使者が駆け込んできた。
「急報! 隣国より正式な招待状が届きました!
次の舞台は……“海と魚を崇める港湾国家”との外交交渉にございます!」
会場「おぉぉぉぉぉ!!!」
生徒たち「また外交!?」「魚の国!?」「ぎゃはは!」
俺はタオルを翻し、扇子をパシンと鳴らした。
「おーっほっほ! いいでしょう。海の国でも健康革命を叩き込んで差し上げますわ!」
こうして学院授業の熱狂は次なる外交編への布石となり、場はますます騒然と盛り上がるのだった。
おーっほっほ! 本日の講義は“食事バランス”。
そこで皆さまに改めて――PFCバランスについて叩き込んで差し上げますわ!
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PFCとは?
•P:Protein(タンパク質) → 筋肉・皮膚・ホルモンなど身体の材料。
•F:Fat(脂質) → ホルモン合成・細胞膜の材料・エネルギー源。
•C:Carbohydrate(炭水化物) → 脳と身体の主要エネルギー。
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通常の推奨バランス(成人健常者の場合)
学術的に多くのガイドラインで推奨される範囲は――
•P:13〜20%
•F:20〜30%
•C:50〜65%
つまり、パンやご飯だけでも、肉や油だけでもダメ。
三つがそろってこそ、“調和の舞踏”ですわ!
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F(脂質)を減らした場合 → 「高炭水化物・高タンパク」型
•P:20〜25%
•F:15〜20%
•C:55〜65%
脂質を減らすと肌の潤い・ホルモン合成が不十分になる危険あり。
ただし消化が軽くなるため、アスリートの試合前や胃腸に負担をかけたくない人には有効。
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C(炭水化物)を減らした場合 → 「高タンパク・中脂質」型
•P:20〜25%
•F:30〜35%
•C:35〜45%
いわゆる低糖質食。血糖の安定や空腹抑制には効果的。
ただし極端にやりすぎると集中力低下・疲労感が強まる。
有酸素運動時には燃料不足になりがち。
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筋トレと有酸素運動を組み合わせる場合
•タンパク質(P):体重1.6〜2.2g/kg/日 が理想的(学術的コンセンサスあり)。
•残りのエネルギーをFとCで調整。
高強度筋トレ中心なら P高め・C多め・Fは20%前後。
有酸素を多くするなら C多め(50〜60%)でPしっかり・F控えめ。
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総括
おーっほっほ! PFCは三位一体の舞踏。
Fを減らすか、Cを減らすか――目的に応じて調整は可能ですが、必ず「Pを十分に確保する」ことが大前提。
そして! どんな調整も、極端は毒、節度は宝ですわ!




