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転生悪役令嬢おじさんは作法と筋トレで地獄を見る件

王城の一室。

窓の外は夕暮れに染まり、明日はいよいよ社交界最大の「大茶会」――。


「おーっほっほ……ついに来ましたわね……!」


俺――エレナ=フォン=クラウス(中身おじさん)はタオルを肩にかけ、なぜかスクワットをしながら気合を入れていた。


……と、その背後で。


「お嬢様あぁぁぁぁ!!!」

黒燕尾服のセバス執事が、目をひんむいていた。


「なぜ大茶会前夜に汗をかいておられるのです!? スクワットではなくカーテシー(淑女のお辞儀)を練習すべきでしょう!!」


俺「いやいやいや、血流を回しておけば血圧安定するんですわよ」

セバス「だから“ですわ”を筋肉呼吸で言うなと何度申し上げればぁぁ!」



そのとき、すっと扉が開いた。

優雅な王妃が入ってくる。


「……セバス、声が響きすぎよ」

「はっ! 申し訳ございません!」


王妃は俺の前まで歩み寄り、にっこりと微笑んだ。

「エレナ。明日は大茶会。あなたは“健康顧問”であると同時に“貴族令嬢”でもあるのですわ。作法も身につけておかねば」


俺「……うっ。いよいよ逃げられねぇか」


王妃はすっと扇を広げる。

「歩き方、笑い方、カップの持ち方……。それらを伝統派は粗探ししてくるでしょう。ですが同時に――健康法の説得力でも相手をねじ伏せねばなりません」


俺「作法と健康両方やるとか、無理ゲーすぎません?」

セバス「お嬢様! 健康も大切ですが、“悪役令嬢らしい高笑い”も必須です!」

俺「おーっほっほ! ……って言いながらスクワットすればいいんですわね!」

セバス「違うぅぅぅ!!!」



こうして俺の“大茶会前夜レッスン”が始まった。


「カーテシーの角度はもっと! 45度です!」

「背筋は伸ばして! 顎を引いて!」

「水分補給はこまめに!」

「って健康混ぜるなぁぁ!」


王妃とセバスのダブル指導に挟まれ、俺は完全に地獄のサーキットトレーニング状態に追い込まれていくのだった。


レッスンの真っ最中。

俺が「おーっほっほ!」と高笑いスクワットをしていたところに、扉がノックもなく開いた。


「……エレナ様」

銀髪のセレーネが、ひんやりとした声と共に入ってきた。


セバス「なっ!? ここは特訓中ですぞ!」

セレーネはそれを無視して、氷のような青い瞳を俺へ。


「……わたくし……明日の大茶会が心配で……。心拍数が、もう上昇して……。これも、たぶん……有酸素運動のせいですわね?」


俺「いやいやいや! それ完全に恋の症状だからな!? 運動不足で説明するな!」



すると、また別の影が。

黒髪短髪のユリウスが、緊張した顔で部屋に飛び込んできた。


「エレナ殿! 明日が勝負の日だと聞いて……その……俺はここで、あなたにプロテインを届けに来た!」


彼の手には、俺推奨のシェイカー。

カシャカシャと震える音がやけに響く。


セレーネの眉がぴくり。

「……エレナ様には薬草茶が最適ですわ。鎮静効果も抗酸化作用もあります。……その粉末飲料など不要です」


「なっ……!? いや、筋肉にはプロテインだ! エレナ殿に必要なのは俺なんだ!」


セレーネは真っ赤になって言い返す。

「い、いいえ! 必要なのはわたくしの薬草茶……つまり、わたくしですわ!」



俺「おい、やめろお前ら! 今はカーテシー練習の時間だぞ!? 俺を挟んで“粉末 vs 葉っぱ”論争するな!!」


セバスは頭を抱え、王妃は微妙に笑いを堪えている。


セバス「お嬢様ぁぁ! なぜ健康講座が恋愛模様に発展するのです!? これは大茶会前夜の準備ですぞ!」

王妃「……ふふ。ですがエレナ、あなたは本当に人を惹きつけるのね」


俺「いやいやいや! 惹きつけてるのは“血圧計と麦茶”だから! 俺自身じゃないからな!?」


だがセレーネとユリウスは一歩も譲らない。

「薬草茶ですわ!」

「プロテインだ!」

再び繰り広げられる“飲料トライアングラー”。


俺は天井を仰いで叫んだ。

「……なんで俺の婚約破棄ストーリーが、健康飲料三角関係に進化してんだよぉぉ!!!」


王城の奥深く。

重々しい扉が閉ざされ、燭台の明かりが揺らめく会議室。

そこに集まっていたのは――伝統派の重鎮貴族たちだった。


「……状況は最悪だ」

老侯爵の声が低く響く。

「国王と王妃すら、あの“悪役令嬢おじさん”に与してしまった。民衆も熱狂し、今や健康だの血圧だのを叫ぶ始末……」


別の貴族が唇を噛む。

「剣でも魔法でもなく、麦茶とスクワットで国が揺らぐなど……笑止千万!」

「だが、笑えぬ。実際に国民は健康政策を歓迎している……伝統派の立場は日に日に削られておる」


沈黙が落ちる。

燭台の炎が、不安げに揺れた。



そこへ、王子がゆっくりと立ち上がる。

その拳は震え、瞳には暗い炎が宿っていた。


「……諸卿。もはや猶予はない。次の大茶会こそ、奴を討ち落とす好機だ」


リリアーナも隣に並び、毅然と声を上げる。

「そうですわ。あの者は自ら“悪役令嬢”を名乗り、国の伝統を愚弄してきました。――これを、社交界で裁くのです」


若い伯爵が頷いた。

「公開の場で、奴を追放するのか」


「そうだ!」王子は力強く叫んだ。

「民の前で、“悪役令嬢”が国を乱す元凶であると示すのだ! そうすれば……民心は再び我らのもとへ戻る!」



会議室に、重々しい賛同の声が重なっていく。

「大茶会を裁きの場に変える……」

「健康派を異端として葬り去るのだ」


――こうして、「悪役令嬢おじさん追放計画」は最終段階へと動き出した。


その場に響くのは、砂糖を混ぜた紅茶のカップが卓に置かれる乾いた音。

そして誰もが、不気味なほど静かに笑っていた。



一方その頃。

俺――エレナ=フォン=クラウス(中身おじさん)は、王妃の用意した控え室でタオルを肩にかけながら、のんきに麦茶をすする。


「……なんか胃が痛くなってきた気がするんですけど? これも……ストレス性高血圧ですわよね?」


セバスが頭を抱えた。

「お嬢様ぁぁ! それは完全に“フラグ”ですぞ!!」


俺はため息をついた。

(……マジで大茶会、ただの茶菓子合戦じゃ済まねぇな)


王城の大広間。

磨き上げられた大理石の床には、色とりどりの絨毯が敷かれ、豪奢なシャンデリアが輝いていた。

社交界の精華――大茶会が、ついに幕を開ける。


「おぉぉ……」

俺――エレナ=フォン=クラウス(中身おじさん)は、タオルを肩にかけながらため息をついた。

(……完全に“貴族の饗宴”って雰囲気なのに、なんで俺は汗ふきタオル片手に入場してんだよ……場違いすぎるだろ)



会場を見渡せば、両派の空気は明らかに二分されていた。


片や伝統派。

金と銀に輝く食器に、砂糖まみれのケーキやクリーム菓子を山と積み上げ、ドヤ顔でフォークを振るっている。

「これぞ王家の伝統だ!」「甘味こそ繁栄の象徴!」


片や健康派。

庶民寄りの若い貴族たちは、麦茶や野菜スティックを手に「悪役令嬢おじさまに続けー!」と合唱していた。

「水分補給! ラジオ体操! 減塩! 減塩!」


……いや応援がプロレス入場みたいになってるんだけど!?



壇上に立つ王子は、毅然と声を張り上げる。

「諸君! この場で、我らが誇る伝統を踏みにじった“悪役令嬢おじさん”を糾弾する!」


リリアーナも扇を広げ、冷ややかな笑みを浮かべた。

「社交界は遊戯の場にあらず。礼節と誇りを守るため、今こそ断を下すときですわ!」


伝統派の貴族たちが一斉に拍手を送り、会場の空気がぴりりと緊張する。



だがその一方で。

国王はジャージ姿のまま悠然と立ち上がり、シェイカーを振ってプロテインをグビリ。

「筋肉は裏切らん!」

王妃は優雅にティーカップを掲げ、薬草茶を一口。

「心身を癒すのは自然の恵みですわ」


……結果。会場の半分は「プロテイン!プロテイン!」、もう半分は「薬草茶!薬草茶!」の大合唱。


俺は額を押さえてつぶやいた。

「……これ、もう完全に“健康飲料代理戦争”じゃねぇか……」



だが、伝統派の瞳は鋭いままだった。

老侯爵が立ち上がり、杖を突いて壇上へと進み出る。

「エレナ=フォン=クラウスよ。貴様は“悪役令嬢”を名乗りながら、社交界を笑いものにし、王国の伝統を汚した。今日こそ――その罪を裁く!」


会場「おぉぉぉぉぉぉ!!!」


……いよいよ来たな。

笑いと熱狂の裏で、確かに“裁きの時間”は迫っていた。

おーっほっほ! 本日のテーマは「玉ねぎ」ですわよ!

皆さま、カレーやスープに欠かせぬ存在ですが……実は涙腺を刺激するだけでなく、健康効果の宝庫なんですの!



1. ポリフェノール「ケルセチン」の抗酸化パワー


玉ねぎには ケルセチン というフラボノイドが豊富に含まれています。

これが体内で 強力な抗酸化作用 を発揮し、動脈硬化や老化の原因となる活性酸素を抑制。

さらに抗炎症作用も報告されており、心血管疾患予防 に役立つと考えられておりますわ。



2. 硫黄化合物による血液サラサラ効果


玉ねぎを切ったときにツーンとするのは、硫化アリルなどの 含硫化合物。

これには 血小板の凝集を抑制 する働きがあり、血液をサラサラにして 血栓予防 に貢献。

(つまり、異世界で“会議中に血圧上昇”した貴族たちにも必須の食材、ということですわね!)



3. 血糖値調整にも一役


玉ねぎの成分には α-グルコシダーゼ阻害作用 があり、炭水化物の分解をゆるやかにして 食後血糖値の急上昇を抑える 可能性が示されています。

糖尿病予防や肥満対策の観点からも注目されているんですの。



4. 調理と摂取のポイント

•加熱でケルセチンが減少しにくい → 油と一緒に調理すると吸収率UP!

•生で食べる場合 → 硫黄化合物がしっかり摂れる。ただし胃腸に刺激があるのでほどほどに。

•皮の近くにポリフェノールが多い → スープなどでは皮を一緒に煮出すとよい。



まとめ


玉ねぎは「血液サラサラ」「抗酸化」「血糖値安定」と三拍子そろった万能野菜。

ただし食べ過ぎると消化器への刺激が強くなるので注意!

異世界でも現実でも――涙を流すのは切るときだけにして、健康効果で笑顔になりましょうですわ!

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