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王と王妃、転生悪役令嬢おじさん式ライフスタイルに染まる件

王城の朝。

豪奢な柱の間に、なぜかラジオ体操第一の音楽が流れていた。


「いーち、にーい、さーん……」


玉座の間の真ん中で、国王陛下が腕を大きく回している。

ドレス姿の廷臣たちは凍りつき、近衛騎士たちが無言で目を見開いた。


「ふぉっふぉっふぉ! 余の腰が軽いぞ! 悪役令嬢おじさん直伝の“朝ストレッチ”は効くのぉ!」


国王は満面の笑み。

つい一週間前まで「腰痛で玉座に長く座れぬ」と呻いていたとは思えない軽快さだった。


近衛の一人が恐る恐る真似をして腕を回す。

「……あ、あれ? なんか背中が楽に……」

「おいおい、お前までやるのか」

「いやでも……気持ちいいんだぞ、これ……」


気づけば、重臣や兵士まで列を作り、国王の後ろで見よう見まねの体操大会になっていた。


「おーっほっほ! だから言いましたでしょう、まずは“肩甲骨ほぐし”ですわ!」

ドレス姿の俺(悪役令嬢おじさん)が、胸を張って指導していた。


王は息を切らしながら俺に振り向く。

「悪役令嬢おじさんよ、余の腰痛が和らいだのはまことありがたい! これはもう王国の国策とするべきであろう!」


「えぇ、その前に血圧も測ってくださいまし。はい、上が……128。安定してますわね!」


廷臣たち「128!? 正常値だと……!?」

国王「うおぉぉぉぉ!!!」


――王城の朝は、もはやフィットネスジムの開館式と化していた。


王妃の居室。

豪華なティーセットの横には、なぜか見慣れない皿が並んでいた。


「……これは?」

王妃は眉をひそめて皿をのぞき込む。


「糖質オフのおからマフィンですわ!」

俺は胸を張ってドレスの袖からタッパーを取り出した。

「白砂糖の代わりにエリスリトール、バターを控えめにして、卵白とおからでふんわり仕上げましたの!」


「……お、おから……?」

王妃は一口かじる。


ぱくっ。


「……!? 甘い……のに、重くない……!」

瞳がわずかに輝く。


俺は頷いて解説した。

「そう、これは血糖値スパイクを防ぐ淑女の嗜みスイーツ。これからは午後のお茶会でも“罪悪感ゼロのおやつ”が流行りますわ!」


「……まさか、わたくしが……おかわりを欲するなんて……!」

王妃は思わず皿を引き寄せ、周囲の侍女に気づかれて慌てて咳払いをした。


「こ、これは……決して気に入ったわけではなくてよ! 健康のためですの! 健康のため!」


侍女たち「王妃様が……おからマフィンを……!」

「これは革命ですわ……」


――王妃の部屋もまた、糖質オフブームの震源地となりつつあった。


夜。王城の中庭。

月明かりの下、王と王妃が並んで立っていた。


「では……始めますわよ!」

俺がホイッスルを吹く。


♪──ラジオ体操第二の音楽が城中に響き渡る。


「いーち、にーい、さんっ!」

国王が腕を振り上げる。

その横で王妃がドレスの裾を押さえつつ、意外と軽やかに足を曲げ伸ばす。


「ふぉっふぉっふぉ! 余の腰がますます快調だ!」

「はぁ……っ、確かに……血流が良くなる気がしますわね……!」


城壁の上から近衛騎士が驚きの声を上げた。

「お、おい見ろ! 国王陛下と王妃様が……ラジオ体操してるぞ!」

「ば、馬鹿な……あれは国の象徴のお二人だぞ……!」


だが噂は瞬く間に広まり、城下町から人々が集まり出す。


「王様と一緒に体操できるんだって!?」

「うちも子供を連れてきた!」

「ラジオ体操カードに判子ください!」


あっという間に城の広場は超満員。

ドレス姿の淑女も、裸足の子供も、職人も、みんな肩を並べて伸びたり跳ねたり。


「右に体を倒してぇぇ!」

「左にぃぃ!」


号令をかける俺の声に、民衆が大合唱で応える。

「「はーい!!」」


気づけば、王都全体がひとつの巨大フィットネス会場になっていた。


王妃は汗を拭いながら呟いた。

「……わたくし、民と一緒に汗をかくのは初めてですわ」

国王は満足げに頷く。

「これぞ……真の王道ではないか!」


王都を包む月明かりの下、ラジオ体操の熱気は夜更けまで続いた。

庶民も貴族も一緒になって腕を回し、背伸びをする。

その光景は、剣や魔法で支配されてきた王国の歴史を根本から塗り替えるような迫力を帯びていた。


「……健康国家、ここに極まれりですわ!」

俺は胸を張り、汗を拭きつつ高らかに宣言した。


群衆は「おぉぉぉぉ!」と喝采。

子供たちの笑い声が夜空に響き渡る。



一方その頃、王城奥の会議室。

伝統派の重鎮たちは、苦虫を噛み潰したような顔で机を囲んでいた。


「見たか……あの狂騒を」

「国王陛下と王妃まで取り込まれたとなれば、もはや逆らえぬ……」

「このままでは、剣術や魔法より“血圧計”が王国の象徴になるぞ……!」


老侯爵が拳を握りしめる。

「断じて認めぬ! 伝統派はここで踏みとどまらねばならん!」


その横で、王子は蒼白な顔をしていた。

(なぜだ……なぜまた父上と母上まで……あいつに奪われる……!)


リリアーナが王子の腕にしがみつき、涙をこぼす。

「殿下……私たちが正義ですわよね……? ねぇ、そうですわよね……!」


だが王子の返答は重く、暗かった。

「……次の評議会で決着をつける。悪役令嬢おじさん……必ず排除してみせる……!」



広場の笑い声と、王城奥の静かな怒り。

二つの空気が混ざり合い、王国は次なる嵐の予感に包まれていた。

読者諸君、おーっほっほ! 本日のあとがきは「街や日常でできる小さな健康習慣」についてでございますわ。

剣や魔法は要りません、ほんのちょっとの工夫で体は喜ぶのですのよ。


①階段を使う勇気

エスカレーターやエレベーターは便利ですが、階段を一段一段登るだけで消費カロリーが増え、心肺機能や下半身の筋力を鍛えられます。

特に一段飛ばしは太もも・お尻を刺激しますわ。ただし膝や腰に不安がある方は無理をせず、自分のペースでどうぞ。


②買い物カゴは筋トレ器具

片手で持つと体幹や肩回りの筋肉が地味に鍛えられます。両手でバランスをとれば腰や背中の安定感に効きますわ。

無意識にやっている行動も、意識すれば「日常筋トレ」に早変わり。まさに生活はジムですわ!


③散歩と創造力

歩行は脳の血流を良くし、アイデアや創造力を高める効果があることが研究でも示されています。

執筆のネタに詰まったとき、ただ歩く。それだけで新しい閃きが舞い降りるかもしれませんのよ。



要は「特別な器具や時間がなくても、日常生活そのものが健康習慣になる」ということですわ。

次に街を歩くときは、階段や散歩を“トレーニングチャンス”と思ってみてくださいませ。


健康第一、今日も良い汗を!


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