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転生悪役令嬢おじさん、王国評議会を筋肉討論に変える件

王城の大評議会の間。

天井まで届く荘厳なステンドグラスの下に、王国の重鎮たちがずらりと並んでいた。


「これより――“健康政策の是非”を討議する!」

議長の一声で、ざわめきが一瞬にして静まる。


壇上に立ったのは、伝統派の旗印・王子だった。

「民は疲弊している! 伝統ある剣術と魔法をないがしろにし、スクワットやシャトルランばかり強要するなど、もはや国辱である!」


会場「おおおぉぉぉ!!」

重鎮たちの拍手が鳴り響く。


「王国の威信を取り戻すために――この“健康国家政策”を、ただちに撤廃する!」

王子は勝ち誇ったように声を張り上げた。



「ふぅ……」

俺は一歩前に出た。

会場の視線が一斉に突き刺さる。


「健康政策は確かに熱狂を呼んだ。しかし民が疲弊したのは、過剰な強制と利益の独占ゆえですわ!」

「なにっ!?」王子が目を剥く。


俺は堂々と手を広げ、声を響かせた。

「健康は権威を否定するものではなく、すべての民に力を与えるもの。

 伝統と健康は両立できる――それを証明してみせますわ!」


会場はどよめいた。

「両立……だと?」

「悪役令嬢おじさん、何を企む……?」


だが俺の目は真剣そのもの。

評議会は今、嵐の討論会へと突入しようとしていた。


「民を疲弊させたのは健康政策そのものだ!」

王子が声を荒らげる。

「庶民の生活は野菜の高騰に苦しみ、労働は筋肉訓練に置き換えられた! 伝統の剣術は衰退し、魔法の研究も滞っている!」


重鎮たち「そうだ! 伝統を取り戻せ!」



俺は微笑んで反論する。

「確かに過剰な押し付けは間違いでしたわ。ですが、健康そのものは“民の力”を支える基盤ですの!」


壇上に、庶民代表として呼ばれた女性が立ち上がった。

「でも……健康のおかげで、夫の血圧は下がったんです。以前は倒れることも多かったのに、今は元気に畑仕事ができるように」


会場「おぉぉ……」


俺はうなずき、続ける。

「そう! 剣も魔法も、健やかな身体があってこそ真に活きる。

 伝統を守るためにこそ――健康が必要なのですわ!」



「詭弁だ!」

王子が立ち上がる。

「ならば問おう! 剣術大会の参加者よりも、今や握力測定の記録保持者の方が名誉を受けている現状をどう説明する!」


会場にざわめきが走る。

「確かに……」「筋肉が評価されすぎでは……」


俺はゆっくりと口角を上げた。

「ふふ……ならばここで示しましょう。伝統派の剣術と健康派の力――どちらが国を支えるに足るのか!」


俺の挑発に、会場全体がざわついた。

「……公開実技討論会だと!?」「まさかここで!?」


王子の瞳が燃える。

「望むところだ! 伝統の剣こそ至高であると証明してみせる!」


こうして評議会の場は、言葉の討論から――力と実演を交えた前代未聞の決戦へと突入していくのだった。


大評議会の間。

壇上の机や椅子が慌ただしく片づけられ、代わりに中央に広いスペースが作られた。


「公開実技討論会、準備せよ!」

議長の一声で、近衛兵たちが木剣や防具を並べる。

だが同時に――握力計、踏み台昇降台、果ては巨大なバーベルまで運び込まれてきた。


会場「おい……なんでジム器具が混ざってる!?」「誰だ持ってこさせたのは!」


俺は堂々と胸を張り、高笑いした。

「おーっほっほ! 健康と伝統、両方を見せるなら当然でしょう! 剣もよし、握力もよし、バランスボールもよしですわ!」


会場「バランスボール!?」「どこから持ってきた!!」



観衆はざわめき、熱狂の渦が広がっていく。

「悪役令嬢おじさんが、また何かやらかすぞ!」

「伝統派と健康派の全面対決だ!」


庶民代表たちは握り拳を掲げる。

「血圧を測ってくれた恩返しに、全力で応援するぞ!」

一方、伝統派の貴族たちは王子の周囲に固まり、威厳を取り戻そうと声を張り上げる。

「殿下ー! 伝統を示されよ!」



王子は木剣を握りしめ、瞳をぎらつかせた。

「ここで貴様を叩き伏せ、王家の威信を示す!」


俺はゆっくりと手首を回しながら、血圧計を観衆に掲げる。

「ならば私も、民の前で示しましょう。健康は、誰の手にもある力だと!」


議長が高らかに宣言する。

「伝統派・王子対健康派・悪役令嬢おじさん! これより公開実技討論会を始める!」


会場「うおおおおおお!!!」


ついに――言葉ではなく力で、二つの思想がぶつかり合う瞬間が訪れた。


「はああああぁぁっ!!」

王子が木剣を振り抜く。鋭い風切り音が大評議会に響いた。

「これぞ王家伝統の剣術――血筋に受け継がれし威光だ!」


会場「おぉぉぉ!」



俺はひょいと横にかわすと、床に置いたバーベルをガシッと掴んだ。

「デッドリフト・オブ・ジャスティス!」


ゴンッ! と持ち上げられたバーベルが天井近くまで掲げられる。

観衆が総立ちで歓声を上げた。

「すげぇ!」「剣よりバーベルが輝いてる!」


「なっ……ふざけるな!」

王子は歯ぎしりをし、再び斬りかかる。だがその足取りは重い。


俺は冷静に観察していた。

「王子、その顔色……血圧が高いですわね?」


「なにぃぃ!?」


俺はバーベルを下ろすと、観衆に向き直り声を張り上げた。

「見てください諸君! 伝統の剣術は確かに華やか。ですが、基礎体力と健康が伴わねば続かぬのです!」



王子が再び剣を構えるが、その腕は震えていた。

観衆の中から庶民の声が飛ぶ。

「確かに! 健康を軽んじれば、伝統も守れない!」

「両立こそ大事だ!」


伝統派の重鎮たちは動揺し、互いに顔を見合わせる。


俺は最後に血圧計を掲げ、高らかに宣言した。

「伝統と健康、どちらが欠けても国は揺らぐ!

 だが――健康は万人に等しく与えられた武器!

 ゆえに私は、“健康国家”の旗を掲げ続けますわ!!」


会場「うおおおおおおおおっ!!!」



王子は崩れ落ち、肩を震わせるしかなかった。

「なぜだ……なぜいつもお前ばかり……!」


その光景を見下ろしながら、俺は深く息をついた。

評議会は終わった。だが――この国の未来を巡る戦いは、まだ始まったばかりだった。

「おーっほっほ! 本日のテーマは“海の野菜”――海藻ですわ!」


海藻はただの飾りではありません。異世界の晩餐会でも必ずテーブルに置いてほしい、栄養の宝庫なのですの。


◆ ミネラルの女王


・海藻は ヨウヨード を特に豊富に含みますわ。これは甲状腺ホルモンの材料で、新陳代謝や体温調整に欠かせません。

・ただし摂りすぎると甲状腺に負担をかけるので、毎日大量摂取は禁物! バランスが肝心ですわ。


◆ 食物繊維の宝庫


・海藻の食物繊維は 水溶性食物繊維(アルギン酸・フコイダン) が中心。

・血糖値の上昇をゆるやかにし、コレステロール低下にもつながる報告がございますわ。

・腸内で水分を吸ってゲル状になるため、便通改善にも役立ちますわ。


◆ 抗酸化の戦士たち


・特に褐色の昆布やもずくには フコキサンチン という色素が含まれており、抗酸化作用・脂質代謝改善が期待されておりますの。

・赤い海苔類には ポリフェノール もあり、緑茶に負けない抗酸化食材ですわよ!


◆ 実用ポイント


・味噌汁にわかめを入れるだけで、一日の食物繊維目標の約1/10をカバー。

・昆布だしでグルタミン酸を摂取すれば、“うま味”で塩分を控えつつ満足感が得られますわ。

・海苔はビタミンA・Cも含むので、保存食にも最適!



「つまり――海藻は、王国の食卓を静かに支える陰の立役者。

 おーっほっほ! 悪役令嬢おじさん、明日からは“海藻布教活動”に出ますわ!」

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