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婚約破棄転生悪役令嬢おじさん、舞踏会で筋トレ講習会を開く件

煌びやかなシャンデリアの下、華やかな音楽が流れる舞踏会場。

王子は新婚約者候補を伴い、優雅に踊り始める――はずだった。


……だが。


「よーしお前ら、見てみろ! このダンスステップな、実は有酸素運動なんだよ!」


俺が突然声を張り上げた瞬間、会場の空気が変わった。

「……は?」

「有酸素……運動……?」


「そうだ! ダンスは心拍数を上げる最高のトレーニングだ! だけどな、上半身が足りねぇ!」


俺はドレス姿のまま、床に手をついて腕立て伏せを始めた。


「ほらこうだ! 腕立て30回! 胸筋が育つぞ!」

「お、お嬢様ぁぁ!?!?」


貴族たちがざわめく中、数人の騎士までが真剣に腕立てを始めてしまう。



「次はスクワットだ!」

ドレスをたくし上げて腰を落とす俺。

「背筋を伸ばして膝をつま先より前に出すな! はい20回! 尻が変わるぞ!」


「し、尻……!?」

令嬢たちが顔を真っ赤にしながらも必死にスクワットをマネし始めた。


「さらにバックエクステンション! 腰に効く! 腰痛持ちの貴族は全員やれ!」

「ぎゃーっ腰がぁぁ!」

「だが気持ちいいですわ……!」



俺はさらに畳みかける。


「デッドリフト! ベントオーバーローイング! ベンチプレス! 懸垂! 全部だ! 舞踏会は筋トレだ!!」


「そんな器具ここにないだろ!?」

「椅子で代用できる! テーブルを押せ! お前らはもう貴族じゃない、筋肉だ!!」


会場は完全にフィットネスジムと化していた。

ワルツは止まり、代わりに「ワン! ツー! スリー!」と俺の掛け声だけが響く。



王子が青ざめながら叫んだ。

「やめろぉぉぉ!! これは舞踏会だぁぁぁ!!」


俺は最後に決めポーズを取って言い放った。

「違ぇよ、これは――筋肉会マッスルパーティーだ!!」


「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


貴族も騎士も令嬢も、汗だくで筋肉を誇り合う混沌の夜が始まった。


「ワン! ツー! スリー!」

俺の掛け声に合わせて、貴族も令嬢もスクワットを繰り返していた。

きらびやかなドレスがひらひらと揺れ、宝石のネックレスがガチャガチャと音を立てる。

ここが王都一の舞踏会場だとは、とても思えない。


「殿下ぁ……もう無理ですわぁぁ!」

新婚約者候補の令嬢が膝から崩れ落ちた。

「筋肉痛で……ドレスが……!」


「だから言ったろ。最初は10回でいいって」

俺は背中を伸ばし、汗だくの貴族たちを見渡す。

「無理は禁物! オーバートレーニングは怪我のもとだ!」


「な、なんて説得力……!」

「悪役令嬢なのに、まるで体育教師ですわ……!」



そこへ、ひとりの騎士が気合いを入れて叫んだ。

「ベンチプレスはどうする!?」

「そんな器具ないだろうが!」王子がツッコむ。


だが俺は冷静に答えた。

「椅子を重ねろ。人を乗せろ。工夫次第でどこでもジムだ!」


「お、お嬢様が頭おかしいのに……理屈は正しい……!」

「そうだ! 筋肉に貴族も庶民もない!」



「やめろぉぉぉ!!」

とうとう王子が絶叫した。

「これは婚約破棄を宣言する舞踏会だ! なぜ俺の国の未来が筋肉に支配されているんだぁぁ!!」


俺は額の汗を拭き、ゆっくりと王子に歩み寄った。

「王子……筋肉は裏切らない。だが、お前は裏切った」


「ぐはぁっ……!?」

王子はなぜか胸を押さえて後ずさる。

周囲から「名言!」「刺さった!」と拍手が起こった。



そして、俺は高らかに宣言する。

「今日ここに――王国マッスル改革を提唱する!!」


「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」


舞踏会場は歓声と汗の匂いに包まれた。

もはや誰も婚約破棄のことを覚えていなかった。


こうして俺は“悪役令嬢”から――

“筋肉令嬢” として新たな称号を得てしまったのである。



「おーっほっほ! 本日のテーマは“筋トレ”ですわ!」


舞踏会がジムに変貌したのも当然。

筋肉は人を裏切らず、健康も美しさも支える最大の資産ですのよ。



◆ 運動の基本

・厚労省推奨は 週2〜3回の筋トレ+週150分の有酸素運動。

有酸素ウォーキング・ダンスで心肺を鍛え、筋トレで代謝を底上げしますわ。


◆ 筋トレのメリット

・基礎代謝アップ → 太りにくい体へ。

・骨密度増加 → 骨粗鬆症予防。

・姿勢改善 → “ドレス映え”間違いなし!

・ストレス解消&メンタル強化。


◆ ポイント

・正しいフォーム第一。無理な重量は怪我のもと。

・大筋群(胸・背中・脚)を優先すると効率的。

・プロテインは補助食品、まずは食事バランスを整えてから。



「つまり――舞踏会も戦場も、結局は筋肉がものを言うのですわ!

 おーっほっほ! 悪役令嬢おじさん、明日もスクワットを欠かしませんわ!」

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