王妃乱入!?異世界転生悪役令嬢おじさん、国王とのパーソナルトレーニングが修羅場になる件
王城の訓練場。
豪奢な絨毯の上で、国王陛下が仰向けに転がり、額に汗をにじませていた。
「ふんっ……! ふんっ……! 余の腹が……まだ割れぬ……!」
ドレス姿の俺はその膝を押さえ、声を張り上げる。
「おーっほっほ! 陛下、息を止めてはだめですわ! 上げる時に吐く、下ろす時に吸う――はい、せーの!」
国王は必死に顔を歪め、体を起こすたびに「むぅぅ!」と唸る。
その鼻の下が妙に伸びているのは……いや、考えないでおこう。
「いちっ! にっ! さんっ!」
俺はカウントを取りながら、フォームを矯正する。
「もっと肩を開いて! 腰を反らさない! 胸を張って――」
「む、むむ……こ、これが正しい腹筋……!?」
国王は苦悶の表情を浮かべながらも、どこか楽しそうだ。
その光景を見守る侍従や衛兵たちは、そろってドン引きしていた。
「こ、国王陛下が……ドレス姿の令嬢に腹筋を補助されてる……」
「しかも妙に息ぴったり……」
「おーっほっほ! 陛下、次は10回連続でいきますわよ!」
「ぬ、ぬぅぅ……!!!」
訓練場には、威厳あるはずの王国の頂点と、なぜか健康オタ令嬢の声が響き渡っていた――。
そのときだった。
バァァンッ!!
訓練場の扉が豪快に開かれ、鋭い声が響き渡る。
「――陛下ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
姿を現したのは、豪奢なドレスに身を包んだ王妃殿下。
美しい面差しに似合わぬ、鬼の形相である。
「な、なにごとだ!?」
国王が慌てて腹筋の姿勢を崩す。だがその瞬間、俺はまだ両膝を押さえていたため、妙に至近距離で向かい合う形になってしまった。
「ち、違いますわ王妃様! これはただの――」
俺が必死に弁明しようとする前に、王妃の鋭い声が飛ぶ。
「言い訳無用です!! 陛下が汗を滴らせ、令嬢風情と二人きりで何をしておいでなのですかぁぁ!?」
訓練場の隅で見守っていた衛兵たちが小声で囁き合う。
「や、やばい……王妃様の嫉妬は伝説級だぞ……」
「国王陛下、命の危機……!」
「お、おちつけ王妃! これは浮気ではない! 健康なのだ!」
国王が必死に弁解するも、声は裏返っていた。
「健康!? 健康と見せかけて、胸が当たっているではありませんか!!」
「ちょ、ちょっと待てそれは誤解――! おーっほっほ! これはただのフォーム修正ですわ!!」
だが王妃の目は完全に「修羅場モード」。
その怒気に押され、国王の顔からは一瞬で血の気が引いていった。
――こうして、国王のパーソナルトレーニングは思わぬ方向に転がり始めたのだった。
訓練場の空気はピリピリと張り詰め、国王は額の汗を拭いながら必死に言い訳していた。
「ち、違うのだ王妃よ! これは健康のため、健康のためなのだ!」
「健康ですって!? ならばなぜ、こんなにも距離が近いのですか!?」
王妃の視線が俺と国王の間に突き刺さる。まるで浮気現場を押さえたかのような迫力だ。
「おーっほっほ! これはただのフォーム補助ですわ! ……胸が当たっているように見えるかもしれませんが、それは錯覚ですの!」
「錯覚じゃありませんわーーー!!」
王妃がヒステリックに叫んだ瞬間――
「父上ぇぇぇぇぇ!?!?」
「陛下ぁぁぁぁ!?!?!?」
なんというタイミングだろう。王子とリリアーナが、訓練場の扉からひょっこり顔を出したのだ。
王子は蒼白な顔で叫ぶ。
「な、なんという醜態だ……! 父上が……おじさん令嬢と密会していただなんて……!」
リリアーナは泣きそうな顔で国王を指差す。
「こ、こんな姿……民に知られたら王家の威信が地に落ちますわぁぁ!」
「違う! これは違うのだ!」
国王は必死に手を振り回すが、逆に挙動不審に見えてしまう。
王妃はさらに怒りを燃え上がらせ、指を突きつけた。
「見なさい! 殿下もリリアーナ様も証人です! これは健康などではなく――!」
「いやいや! 本当に健康なんですわ!! さぁご覧なさい!」
俺は咄嗟に立ち上がり、スクワットを始めた。
「おーっほっほ! これぞ正しいフォーム! 健康の証明ですわ!」
衛兵たち「な、なるほど……健康に見える……」
王子「ちょっと待て、納得するなぁぁぁ!!!」
完全に修羅場の空気は崩壊し、訓練場はカオスそのものとなっていった。
「もう許しませんわ! 陛下、そしてあなたも――!」
王妃の怒号が訓練場に響き渡る。
だが俺は慌てず、ポケットから取り出したのは――ホイッスル。
「ぴーーーっ!!!」
「な、なんだ!?」
「今度は何をする気だ!?」
俺は胸を張って宣言した。
「誤解を解くためには、皆さまご自身で“健康”を体感していただくのが一番ですわ! はい、全員整列っ!」
「え、えぇぇぇ!?」「ま、待て!」
抗議の声を無視して、俺は強引に号令をかけた。
「では全員スクワット100回ぁぁぁ!!」
国王「余もかぁぁぁ!? ……ぬぅぅ……!」
王妃「ちょ、ちょっとドレスが……! ひぃぃ……!」
王子「なぜ俺までぇぇぇ!?!」
リリアーナ「ドレスでスクワットは無理ですのぉぉ!!!」
衛兵たちも巻き込まれ、訓練場全体がスクワット道場と化した。
「いちっ! にっ! さんっ!」
俺の号令に合わせて、王族も貴族も衛兵もドレス姿の淑女まで一斉に腰を落とす。
「はぁ、はぁ……な、なんだこれは……」
「く、腰が……! でもなんか……気持ちいい……?」
衛兵たちの顔には妙な充実感が浮かんでいた。
「見よ! これこそが健康の力! 疑いも嫉妬も、スクワットには勝てませんのよ!」
俺は高らかに笑い、最後の一回をカウントする。
「100っ!!!」
全員がその場にへたり込み、訓練場は地獄絵図に。
だが、なぜか全員の表情は晴れやかだった。
王妃も肩で息をしながら呟く。
「……くっ……確かに……これは健康ですわね……!」
「おーっほっほ! ご理解いただけましたわね!」
こうして修羅場は筋肉でねじ伏せられ、王家の一日がまたしても健康色に染め上げられたのだった。
「おーっほっほ! 本日のテーマは――卵でございますわ!」
まず、卵は昔から「完全栄養食」と呼ばれております。理由は簡単。
体に必要な 必須アミノ酸 がバランスよく含まれ、さらにビタミン・ミネラルも豊富だからですの。
ただし、誤解も多い。
「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」――などと昔は言われましたが、近年の研究では 食事からのコレステロールは血中値に直結しにくい とされています。
つまり、1日2〜3個程度なら健康な人に問題はほとんどありませんのよ。
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卵の栄養をもう少し分けて見てみましょう。
•卵白(白身):
高品質タンパク質が豊富。筋肉合成に必要なロイシンもバッチリ。
•卵黄(黄身):
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)、鉄分、亜鉛など。さらに目に良いルテイン、脳に効くコリンも。
ただし熱に弱い成分もあるので、半熟がベストバランスとよく言われますわね。
•生卵の注意点:
白身に含まれるアビジンがビオチン(ビタミンB群の一種)の吸収を阻害するので、大量に生卵を飲むのは非推奨。
加熱するとこの問題は解決しますわ。
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運動との相性も抜群。
筋トレ後のプロテインに卵をプラスすることで、筋肉合成に必要な栄養が揃いやすい。
実際「卵を含む食事の方が筋肉合成効率が高い」という報告もありますのよ。
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まとめると――
卵は誤解されがちですが、栄養的には超優秀。
「一日1〜2個を目安に、できれば加熱調理で」
これが悪役令嬢おじさん流・卵の嗜みですわ!
「おーっほっほ! 次のお茶会では、ゆで卵を持参して語り合うといたしましょう!」




