転生悪役令嬢おじさん、国王を健康診断する件
王城の玉座の間。
豪奢な赤い絨毯の先、玉座にどっかり座っていたのは――王国の頂点に立つ国王陛下だった。
「ふぉっふぉっふぉ。悪役令嬢おじさんとやら、余の身体を診るがよい」
威厳たっぷりの声。
だが、その直後に小声で漏らした。
「……最近、夜中に三度もトイレに起きるのじゃ」
会場「えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
王子「父上ぇぇぇぇぇ!? そんな告白ここでしなくても!!」
⸻
俺は頷き、懐からサプリ瓶を取り出した。
「陛下、ノコギリヤシで改善ですわ!」
観衆「おぉぉぉぉ!!!」
王子「父上の前立腺事情をさらすなーーー!!」
⸻
続けて血圧測定。
「……上が160、下が98ですわ」
会場「高い!!」
国王「む、むむ……やはり余も歳か」
俺はにっこり笑って言い放つ。
「減塩、野菜スープ、そして麦茶を常備ですわ!」
⸻
腹囲測定。
「……メタボ基準オーバーですわ!」
会場「ドン引き!!!」
国王「そ、そんなバカな……」
俺「毎朝ラジオ体操第一! あと白米を玄米にチェンジですわ!」
⸻
腰痛チェック。
「……スクワットをお願いしますわ」
国王「ふんっ!」(膝から崩れ落ちる)
俺「浅めに! はい、そう! 太ももを意識して――」
王子「父上をパーソナルトレーニングするなーーー!!」
⸻
そして記憶力テスト。
「昨日の昼食は?」
国王「え、えーと……」
俺「EPA・DHA、そしてクロスワードパズルですわ!」
会場「新しい政策が生まれたぞ!!」
⸻
最終診断。
俺はタオルで汗を拭い、堂々と宣告した。
「国王陛下。あなたの未来を守るのは剣や魔法ではなく――健康習慣ですわ!」
国王は立ち上がり、力強く宣言した。
「余は決めた! 本日より――“健康国家”を宣言する!!」
会場「うおおおおお!!」
廷臣たち「悪役令嬢おじさん万歳!!!」
⸻
王子と新ヒロインは愕然とするしかなかった。
「くっ……なぜだ……なぜいつもお前ばかり……!」
玉座の間は割れんばかりの拍手で揺れていた。
だが、それで終わりではなかった。
国王は立ち上がり、腕を組んで高らかに言った。
「まずは余自身が模範となろう! 余は今後、毎朝ラジオ体操をする!」
廷臣たち「おぉぉぉぉぉ!!!」
「次に……城の食堂から甘味を減らす! ケーキは週一、砂糖は半分!
代わりにオートミール粥と野菜スープを常備する!」
廷臣たち「おぉぉぉぉぉ!!!」
⸻
王子「ま、待て父上! それでは伝統の王家晩餐会が……!」
国王「静まれ! 伝統もよいが健康はもっとよい!」
リリアーナ「で、ですが……お祝いのケーキがなくなるなんて……!」
国王「心配するな! 糖質オフのレアチーズケーキを余が開発する!」
観衆「ぎゃははははは!!!」
⸻
さらに国王は拳を突き上げた。
「そして余の腰痛を治すために! 王都にフィットネス施設を建設する!」
廷臣たち「おぉぉぉぉ!!」
観衆「健康国家万歳ーー!!」
⸻
俺は頭を抱えた。
「……いやいやいや。国策でジム建ててどうすんだよ……」
だが群衆は熱狂の渦。
貴族も庶民も立ち上がり、
「握力は裏切らない!」
「スクワットは正義!」
「ノコギリヤシは国是!」
叫び声がホールを揺らした。
⸻
王子は床に崩れ落ち、虚ろな目で呟いた。
「……なぜだ……なぜいつもお前ばかり……」
リリアーナは泣きながら抱きつく。
「殿下ぁぁ! でももう誰も私たちを見てくれませんわぁぁ!」
⸻
国王はそんな二人をよそに、楽しげに笑った。
「悪役令嬢おじさんよ! 余はお前を“国王付き健康顧問”に任命する!」
会場「おぉぉぉぉぉ!!!」
俺「いやいやいやいや……また仕事増やすなよ……」
⸻
こうして――王国は「健康国家」として歩み出した。
本日の王城編にちなんで――読者諸君にも役立つ「健康国家五か条」をまとめておきますわ!
健康国家五か条
1.減塩・野菜スープで血圧管理
塩分は1日5g未満が理想。味噌汁や漬物を減らし、だし・香辛料で工夫を。麦茶も相性よし。
2.夜間頻尿は生活習慣+ノコギリヤシで改善
就寝前のカフェイン・水分を控える、骨盤底筋トレも有効。サプリはあくまで補助。
3.腹囲チェックでメタボ対策
男性85cm・女性90cmを超えたら要注意。1日8000歩・中強度運動20分が目安。ラジオ体操も意外と効果あり。
4.毎朝の体操と筋トレで体を守る
スクワットは膝と腰を守る“王道”。続けやすさが最強の武器。
5.脳の健康にはEPA・DHA+知的活動
青魚に多いEPA・DHAは認知機能維持に効果的。週2回は魚を食べたい。
難しければ缶詰(水煮缶がベスト)、サプリで補うのも◎。
さらにクロスワード・読書・日記などで脳に刺激を与えると相乗効果。
⸻
つまり、王国を守るのは剣でも魔法でもなく――日々の習慣ですわ!
さあ諸君、今日から一緒に「健康国家」の民になりましょ!




