表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/183

転生悪役令嬢おじさん、社交界お茶会討論会に引きずり出される件

社交界最大のサロン――王都の中央ホール。

天井から吊るされたシャンデリアが煌めき、磨き抜かれた長机にはティーカップと菓子がずらりと並べられていた。


だが、そこに漂うのは優雅さではなく緊張感だった。

伝統派と健康派、両陣営の貴族たちが一堂に会し、ざわめきを抑えようと必死になっている。



壇上に立った司会役の大公が声を張る。

「これより――公開討論会を始める!」


拍手が起こるが、すぐに不穏な視線が交錯する。

伝統派の先頭に立つのは、もちろん王子クラウディオとリリアーナ。

一方、健康派の象徴として引きずり出されたのは――


「……えー……悪役令嬢おじさんです。よろしくどうも」


観衆「おぉぉぉ!!」「本当に来たぞ!」



王子は立ち上がり、机を叩いて叫んだ。

「そもそもだ! この場は王家の威信を取り戻すために設けられた!

 健康だの血圧だの、下らぬ話で国政を乱すな!!」


リリアーナも声を張る。

「そうですわ! 悪役令嬢おじさんなど、ただの流行りもの!

 真の貴族社会は血統と魔力こそが支配するのです!」



俺はため息をついてティーカップを手に取った。

「……おいおい、紅茶一杯も飲まずに机叩くなよ。カフェイン摂取しろ、頭が冴えるぞ」


観衆「ぎゃはははは!!」



健康派の若い侯爵が立ち上がる。

「違います! エレナ様(※おじさん)の仰る通りです!

 我らが求めるのは実利、すなわち健康! 人の体が資本なのです!」


「そうだ! 紅茶のカフェイン摂取で集中力は高まる!」

「対して伝統派の甘味! 砂糖依存こそ国を滅ぼす!」


観衆「おぉぉぉぉ!!!」



王子は顔を真っ赤にして叫んだ。

「砂糖は伝統だ! 祝いの席でケーキを出すのは当然だろう!!」


俺は静かにハーブティーを掲げる。

「だがな王子、飲み過ぎれば血糖値スパイクだ」


観衆「おぉぉぉぉ!!!」



リリアーナは震える声で反論した。

「わ、わたくしは……殿下のお傍でケーキを食べてこそ幸せですわ!

 健康など二の次ですの!」


俺は首をかしげて返す。

「でもリリアーナ嬢……その“二の次”のせいで動けなくなったら、誰が殿下を支えるんだ?」


一瞬、会場の空気が静まり返った。



大公が手を叩く。

「これより両陣営の主張を徹底的に戦わせる!

 紅茶とケーキ、健康と伝統――社交界を揺るがすこの論戦に、証人も呼ばれている!」


扉が開き、新たな人物が現れる。


観衆「……あれは……?」


セバス「紹介しましょう。栄養学の権威、“筋肉伯爵”です」


観衆「ぎゃはははは!!!」「絶対強い名前だろ!」



こうして――

お茶会の場は、紅茶とケーキ、そして健康をめぐる前代未聞の討論会の舞台と化した。


証人として呼ばれた“筋肉伯爵”は、どっしりと壇上に座った。

胸板は鎧のように厚く、腕は樽のように太い。

だがその声は意外にも穏やかだった。


「……まず紅茶。適量のカフェインは集中力を高める。

 だが砂糖を過剰に入れれば血糖値は急上昇し、その後急降下して眠気や不調を招く」


観衆「おぉぉぉぉ!!!」



王子は必死に反論した。

「しかし! 祝い事にケーキや砂糖は欠かせぬ!

 それが我が国の伝統、文化なのだ!」


伯爵は頷いた。

「確かに伝統には意味がある。だが――伝統と健康は両立できる。

 果実やナッツを使えば、甘みも祝いも保ちながら健康を害さずに済む」


観衆「おぉぉぉぉ!!!」



リリアーナは涙目で叫ぶ。

「わ、わたくしは殿下とケーキを食べたいだけなのです!

 健康なんてどうでもよろしいのですわ!」


俺はゆっくりと立ち上がり、会場を見渡した。


「――でもな、リリアーナ嬢。

 殿下が糖分過多で倒れたら、誰が隣に立ち続けるんだ?」


彼女は口を開いたまま、声を失った。

観衆はざわめき、やがて健康派から大きな拍手が起こる。



王子はなおも机を叩き叫ぶ。

「違う! 王家の威信は血統だ! 伝統だ!

 健康など庶民の話にすぎん!」


俺はティーカップを掲げ、静かに告げた。

「庶民も貴族も、同じ身体を持って生きている。

 心臓も、血管も、骨も――誰も逃れられない。

 それを無視することこそ、愚かだろう」


観衆「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



討論会はここで決した。


司会の大公が宣言する。

「勝者――健康派! 悪役令嬢おじさん!」


観衆「うおおおおおお!!!」


王子は膝から崩れ落ち、リリアーナが泣きながら支えた。

だがその姿に、もはや誰も拍手を送らなかった。



俺はため息をつき、ティーカップを置いた。

「……だから何回言わせるんだよ。婚約破棄とか伝統とかより、

 結局大事なのは“血圧”なんだよ」


観衆「ぎゃはははは!!」



こうして社交界お茶会討論会は幕を閉じ、

王国全土に“健康派”の理念が轟くこととなった。



本日は「お茶会討論会」という、とんでもない舞台でしたが……

せっかくなので、現実世界の 日本で身近なお茶の効能 をまとめておきますわ!



緑茶(煎茶・玉露など)

•カテキン:抗酸化作用、殺菌作用。風邪予防や生活習慣病リスク低減に寄与。

•テアニン:リラックス効果。脳波を安定させて集中力アップ。

•適度な カフェイン:眠気を覚まし、注意力を高める。



ほうじ茶

•カフェインが少なめで、胃に優しい。

•香ばしい香りはリラックス効果大。

•就寝前や食後に向いている。



抹茶

•緑茶の成分を丸ごと摂取できるのでカテキン・ビタミンC豊富。

•テアニン効果で「集中とリラックス」を両立。

•海外でも「MATCHA」として人気。



麦茶

•ノンカフェインで子どもや高齢者にも安心。

•ミネラルを補給できるので夏の水分補給に最適。

•抗酸化作用を持つ成分アルキルピラジンで血液サラサラ効果も期待。



番茶・玄米茶

•番茶:カフェインが少なく、胃腸にやさしい。食後のお茶に。

•玄米茶:緑茶+玄米の香ばしさでリラックス。カフェインも控えめ。



黒豆茶・ごぼう茶など健康茶

•黒豆茶:アントシアニン(抗酸化)、女性の冷え性対策や美肌効果が期待される。

•ごぼう茶:食物繊維由来のデトックス効果が注目される。



まとめ

•眠気覚まし → 緑茶・抹茶

•リラックス → ほうじ茶・玄米茶

•夏の水分補給 → 麦茶

•美容・健康補助 → 黒豆茶・ごぼう茶


つまり、シーンに応じてお茶を選ぶのが最強ですわ!

おーっほっほっほっほ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ