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転生悪役令嬢おじさん、婚約破棄の余波に巻き込まれる件

──数日後。


王子クラウディオが大講堂で「正式な婚約破棄」を宣言した件は、瞬く間に王都中へ広がった。

新聞も噂話も、この話題一色である。


「悪役令嬢おじさんが笑いながら受け入れたらしいぞ」

「いや、むしろ王子の方が惨めだったそうじゃないか」

「伝統派はどうするんだ……?」


街角の酒場でも、上流貴族のサロンでも。

誰もがこの“前代未聞の婚約破棄”を口にしていた。



やがて社交界では、二つの派閥がくっきりと浮かび上がる。


伝統派:「血統こそ正義。王子こそ未来の王」

健康派:「健康は万人に平等。悪役令嬢おじさんこそ新時代の象徴」


一見ふざけたような構図だった。

だが実際には、領地経営や家臣団の扱いといった政治的利害まで絡み、王国全体を揺るがしかねない火種となっていた。



ある夜、俺はセバスに呼ばれ、屋敷の応接間へ向かった。

そこには数名の貴族たちが待っていた。


「エレナ様……いえ、“おじさん令嬢”」

初老の侯爵が真剣な目で言った。

「どうか、我らと共に“健康派”を束ねていただきたい」


「は?」


「貴族も民も、今や皆が健康を求めております。

 血統や伝統ではなく、“生きる力”を示すことが求められる時代なのです!」



俺は頭をかいた。

「いやいやいや、俺ただのサラリーマン上がりだぞ? 領地経営とか無理だし……」


だがセバスが一歩前に出る。

「お嬢様。もはや冗談では済まされません。

 殿下の“婚約破棄”は、王家そのものの威信を揺るがしたのです」


「……マジかよ」



その頃、王子クラウディオもまた、別の集まりで拳を握りしめていた。


「なぜだ……なぜ俺はあのおじさんに笑われるばかり……!

 だが伝統派は俺を見捨てはしない!

 必ず再起してみせる!」


リリアーナは彼の隣で震える声を出す。

「殿下……わたくし、どんなに笑われても、最後までお傍におりますわ」


だが二人の周囲に集まった貴族の顔には、不安と焦燥の色が濃かった。



こうして。

婚約破棄を発端に、王国は 伝統派 vs 健康派 という前代未聞の分裂に向かって動き出したのである。


……いやだから、婚約破棄からどんだけ話広がってんだよ。


翌日。


王都の中央広場に、人々が集まっていた。

「健康派が新たな集会を開くらしい」

「いや、伝統派も黙ってはいないぞ」


すでに庶民まで巻き込み、ちょっとした市民運動の様相を呈していた。



俺は屋敷の窓からその光景を眺め、ため息をついた。

「……おいおい、これもう婚約破棄どころの騒ぎじゃねえだろ」


セバスは眼鏡を押し上げ、淡々と告げる。

「お嬢様。殿下の婚約破棄宣言が、ここまで火をつけたのです。

 王国は今、分岐点に立っています」


「やめろよ大げさに……俺の血圧上がるだろ……」


「お嬢様、そこは測るところではありません」



その頃、王宮。


王子クラウディオは父王の前に立たされていた。

「愚か者め! 婚約破棄を軽々しく扱い、王家の威信を貶めおって!」


「ち、違うのだ父上! 全ては……あの悪役令嬢おじさんが……!」


父王は重く告げる。

「近々、社交界の大規模なお茶会が開かれる。

 そこにて、健康派と伝統派の双方が主張を述べることとなった。

 ……それで決着をつけよ」



こうして舞台は整った。


悪役令嬢おじさん vs 王子クラウディオ。

健康派 vs 伝統派。


戦場は剣でも魔法でもなく――

ティーカップの並ぶお茶会である。


……いやだから婚約破棄からどうして公開討論会になってんだよ。


夜、屋敷の庭。

俺はハーブティーを片手に一息ついていた。


「……はぁ。婚約破棄ってこんなに面倒なのかよ」


空を見上げると、月の光に照らされた庭の木々が静かに揺れている。

だが街の方角からはざわめきが絶えない。

王都全体が“健康”か“伝統”かで割れてしまっているのだ。


セバスが背後から声をかける。

「お嬢様。この状況、いずれ避けては通れぬでしょう」


「俺、ただ血圧の話してただけなんだが……」


「それが今や、国を動かす理念になってしまったのです」



一方その頃、王子クラウディオの執務室。


机の上は乱雑に散らかった書類と、破り捨てられた新聞で埋まっていた。


「なぜだ……! なぜ俺は、笑い者になるばかりなのだ……!」


リリアーナはそっと肩に手を置いた。

「殿下……きっと人々は一時の熱に浮かされているだけですわ。

 “健康”などという流行は、すぐに廃れるはず……」


だが王子はうつむき、苦々しい声を出す。

「違う。俺は知っている。

 ……人々はもう、俺よりもあの悪役令嬢おじさんを信じている」


「殿下……」


二人の間に重苦しい沈黙が落ちた。



翌朝。


王都の広場には新しい張り紙が掲げられていた。


『伝統派 vs 健康派 大茶会公開討論会』


開催は三日後。

出席者には王子と……俺の名前が大書されていた。


「……え、また俺かよ!? エントリーした覚えねぇぞ!!」


セバス「お嬢様、また誰かが勝手にお名前を……」


「ちょ、俺はもう婚約破棄で終わったんじゃねぇのか!?

 なんでまだ続編始まってんだよ!!」


観衆「ぎゃはははは!!」



こうして――

婚約破棄の余波は、ついに社交界全体を巻き込む討論会へと発展していくのだった

今回の大騒動で疲れた心に効くのは――筋肉でも婚約破棄でもなく、音楽と自然ですわ!



音楽の力

•ゆったりしたテンポ(60〜80BPM前後)の音楽は、自律神経を整え、脈拍を安定させる効果があると研究で示されています。

•好きな音楽を聴くと脳内でドーパミンが分泌され、快感やモチベーションの回復につながります。

•歌う・楽器を弾くなど「自分で音を出す」行為も、ストレス軽減に効果的。



自然の力

•森や川など自然環境に触れると、血圧や心拍が下がり、ストレスホルモンが減少することが多くの実験で確認されています。

•特に「森林浴」は日本発の研究が有名で、免疫力の向上やリラックス効果があるとされています。

•公園を散歩するだけでも十分に効果が得られるので、日常生活に組み込みやすいです。



実践のコツ

1.寝る前に落ち着いた曲を一曲。

2.休日は公園や緑道を歩く。

3.「音楽+自然」を組み合わせて、外で好きな曲を聴きながら散歩する。



つまり――婚約破棄に疲れた王子も、悪役令嬢おじさんも!

音楽と自然こそ、最強のストレス解消バフですわ!

おーっほっほっほ!


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