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転生悪役令嬢おじさん、栄養学バトルで社交界を席巻する件

王都・大広間。

王子とリリアーナが壇上に立ち、誇らしげに声を上げた。


「魔力の源は甘味! この糖こそ王国の未来を支えるのだ!」

「殿下のお言葉通りですわ! わたくしの新作ケーキこそ、栄養学の完成形ですの!」


机の上にずらりと並ぶケーキ、パフェ、砂糖まみれのスイーツ。

観衆は「おぉ……!」と歓声を上げつつも、どこか不安げにざわついていた。



そこへ俺が登場する。

「ふん。砂糖だけに頼るなど愚か。真の栄養とは――バランスですわ!」


ドンッ!

俺が持ち込んだのは、鶏むね肉のステーキ、ギリシャヨーグルト、野菜の盛り合わせ、プロテインバー。


「これらこそ筋肉と健康の源! 糖だけでは持続しませんのよ!」


観衆「うおぉぉぉ! やっぱり来たぁ!」



バトル開始。


王子「見ろ! この魔力の輝き!」

炎の剣が煌めく。だが息切れが早い。


俺「炭水化物だけではすぐガス欠。

 タンパク質は筋肉と酵素を作り、脂質は細胞膜を守り、ビタミンとミネラルは代謝を回す!

 つまり健康は“栄養のシンフォニー”なのですわ!」


観衆「わかりやすいーー!!」



リリアーナがケーキを掲げて叫ぶ。

「でも! 甘味は人を幸せにしますわ!」


俺は冷静に返す。

「確かに糖は即効性のエネルギー。ですが――摂りすぎれば血糖値スパイクで体は悲鳴を上げる!」


観衆「スパイク怖ぇぇ!」

「オートミールにします!」



決定打。

俺は大広間で即席の栄養講座を始めた。


「鉄は酸素を運び、亜鉛は免疫を支え、ビタミンDは骨を守る。

 これらを軽んじて魔力を語るなど、寝不足で魔法書を読むのと同じですわ!」


観衆「悪役令嬢おじさん万歳ーーー!!」



王子は肩を震わせ、スプーンを取り落とした。

「なぜだ……! 甘味の力は……幸福の象徴のはずなのに……!」


リリアーナは涙目で訴える。

「殿下……もうやめましょう。私たちに足りないのは糖ではなく――バランス、ですわ」


会場は大喝采。

こうして“栄養学バトル”も健康派の完全勝利で幕を閉じた。


勝負が終わった後、大広間は収拾がつかなくなっていた。


「俺は今日から鉄分王子になる!」

「いや、私はカルシウム姫よ!」

「うちの家系はマグネシウム不足だから今すぐ改善だぁ!」


貴族も平民も入り混じり、誰も彼もが自分の栄養素を名乗り始めたのだ。



セバスが頭を抱える。

「お嬢様……このままでは社交界が“ビタミン同好会”に……」


俺は腕を組み、冷静に言った。

「ふん、悪くはありませんわ。少なくとも糖まみれの茶会より健全ですもの」



だが王子はまだ負けを認めていなかった。

「ま、待て……! 次は“魔力栄養素論”で反論する!

 魔力はビタミンB群に匹敵する働きを持つはずだ!」


観衆「えっそんな理屈……」


リリアーナが必死にフォローする。

「そ、そうですわ! 魔力=幸せホルモン! つまりスイーツは心の薬!」


婦人たち「……でも太りますわよね」

「糖質依存、怖いわぁ」


王子「やめろ! 科学で片づけるなぁぁ!!」



その瞬間、学院長が壇上に立ち上がった。

「いい加減にしろ! ここは学び舎だぞ!

 ……次回は“栄養学公開講義”を行う!」


観衆「うぉぉぉぉ!!!」



こうして学園の社交界は――

スイーツを食べる場から、完全に栄養セミナー&試食会へと姿を変えてしまったのである。


「さぁ皆さま! 本日のサンプルはオートミールバーと亜鉛入りサプリですわ!」

「うおぉぉぉぉぉ!」



俺は額を押さえて小さくつぶやいた。

「……いやだから婚約破棄どこいったんだよ」


大広間はもう滅茶苦茶だった。


「我が家はカルシウム家! 骨密度で王国を支えるぞ!」

「ビタミンCの騎士団、参上!」

「我らマグネシウム商会、ストレス対策なら任せろ!」


気づけば貴族たちは勝手に“栄養派閥”を作り始め、社交界がまるごと健康国家会議に。



セバスが血相を変えて俺に耳打ちする。

「お嬢様、次の舞踏会が“オートミール試食会”に置き換わりました!」


「舞踏会の意味とは……」

俺は額を押さえた。



一方、王子はふらふらと立ち上がる。

「ぐぬぬ……! だがまだだ! 俺には“究極の魔力補給源”がある!」


ドンッ!

彼が呼び出したのは、巨大なチョコレートファウンテン。

溶けたチョコが滝のように流れ落ち、観衆は一瞬どよめいた。


「甘味こそ王家の象徴! この糖の奔流がすべてを覆すのだ!」



しかし観衆の反応は冷ややかだった。

「……GI値、爆上がりじゃない?」

「インスリン大暴れだな」

「血糖値スパイクで倒れるぞこれ」


王子「な、なぜ誰も食べぬ……!」



俺はゆっくりと歩み寄り、チョコの滝の前でドレスを翻した。

「殿下。甘味は確かに心を満たす。ですが、それだけに頼るのは愚の骨頂。

 ――健康こそ、真の王道ですわ!」


観衆「悪役令嬢おじさん万歳ーー!!」



こうして、チョコファウンテンもスイーツバイキングも、

すべて“GI値トーク”で粉砕されたのだった。

本日の社交界、なぜか栄養フェスになりましたわね……。

ということで、あとがきは ビタミン・ミネラルの超ざっくりまとめ!


ビタミン

•ビタミンA:目・皮膚・粘膜を守る(にんじん、ほうれん草、レバー)

•ビタミンB群:疲労回復と代謝サポート(豚肉、卵、納豆)

•ビタミンC:免疫&抗酸化(柑橘類、パプリカ、いちご)

•ビタミンD:骨を守る・カルシウム吸収(鮭、きのこ、日光)

•ビタミンE:血流改善・アンチエイジング(ナッツ、植物油)

•ビタミンK:骨と血液の健康(納豆、青菜)


ミネラル

•カルシウム:骨と歯(牛乳、小魚、チーズ)

•鉄:酸素を運ぶ・貧血予防(赤身肉、レバー、ひじき)

•亜鉛:免疫・味覚(牡蠣、牛肉、ナッツ)

•マグネシウム:ストレスや筋肉の痙攣を防ぐ(海藻、豆類、バナナ)

•カリウム:塩分を体から出す(バナナ、ほうれん草、芋)



要するに――

「バランス良く色んな食材を食べること」こそ最強の栄養学バフ!

甘味の一撃より、日々の地味な積み重ねが効くんですわ。


おーっほっほっほっ!!


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