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転生悪役令嬢おじさん、魔法より睡眠の方が大事と証明する件

王都の中央広場。

群衆で埋め尽くされた壇上に、王子クラウディオが立っていた。


「諸君! 聞け! 我が王家の魔力こそが至高!

 くだらぬ健康など不要! 魔法があれば生きられるのだ!」


光の矢が天空を走り、広場を眩しく照らす。

観衆からは歓声と、同時に「でも血圧は?」と囁く声。



俺はドレス姿で悠然と歩み出た。

「おーっほっほ! 殿下、寝不足で目の下にクマができてますわよ」


王子「な、なにぃ!?」


「魔力は派手でも、寝不足の顔は誤魔化せません。

 健康こそ最大の回復魔法――証明して差し上げますわ!」



討論会は、実技を交えた勝負形式で進められた。


第一戦:魔力集中度 vs 睡眠時間

王子「我が炎を見よ!」→炎は途中でフラつき、不発。

俺「昨晩7時間睡眠。集中力MAX」→シャトルランを100本。

観衆「健康勝利ぃぃぃ!」


第二戦:魔力持続力 vs 睡眠の質

王子「雷を落とす!」→連発するも息切れ。

俺「寝る90分前に入浴済み。深い眠りで脳がスッキリ」→心拍数安定のまま木箱を持ち上げる。

観衆「悪役令嬢おじさんの方がタフだぁ!」



リリアーナが涙目で叫ぶ。

「殿下ぁ! もっと甘味を! 糖で魔力を補給するのですわ!」


「やめろリリアーナ!」

俺はピシャリと手を振った。

「砂糖では一時的な覚醒しか得られません! 

 睡眠こそ、真の全回復ですの!」


観衆「おぉぉぉぉぉ!!」



王子は膝から崩れ落ちた。

「ぐっ……どうしてだ……どうして健康などに……!」


俺は冷ややかに見下ろし、ハンカチで汗を拭った。

「殿下。睡眠不足のまま戦うなど愚の骨頂。

 夜更かしして魔力の本を読み漁るより、ベッドに入る方が賢明ですわ」


会場「悪役令嬢おじさん万歳ーー!!」



こうして「魔力 vs 睡眠」勝負は、圧倒的に健康派が制した。


勝負が決した瞬間、観衆が一斉に叫んだ。

「睡眠こそ最大の回復魔法だーー!」

「今日から22時就寝を義務化だ!」

「寝不足貴族は失脚すべきだ!」


なぜか会場全体が「早寝早起き推進協会」みたいな空気になっていた。



学院長までもが壇上に駆け上がる。

「素晴らしい! 今後は学園でも“強制お昼寝タイム”を導入する!!」


生徒たち「えぇぇぇ!? でも嬉しい!」



セバスが咳払いして俺に耳打ちする。

「お嬢様、どうやら“健康派午睡クラブ”が自然発生しております」


「……部活みたいにするな」

俺は額を押さえた。



一方その頃。

王子はまだ往生際悪く、地面に膝をつきながら叫んでいた。

「ま、待て……! 俺にはまだ“徹夜魔法”が……!」


ガタン。

足元がおぼつかず、ふらりと崩れ落ちる王子。


リリアーナが慌てて抱きかかえる。

「殿下ぁぁ! もう寝てくださいまし!!」



観衆は一斉にうなずいた。

「……殿下に必要なのは玉座ではなくベッドだな」

「魔力以前に、まず睡眠指導からだ」


こうして広場は――

魔法よりも“健康診断と睡眠教育”を重視する、前代未聞の健康フェス会場と化したのだった。


睡眠ブームはその日を境に、王国中に拡散していった。


貴族たちは夜会をキャンセルし、

「今日はもう22時なので失礼しますわ」

と、真顔で帰宅するのが流行に。


商人たちはこぞって「快眠マットレス」「羊数えアプリ」「ギルド認定耳栓」を売り出し、

市場は空前の“睡眠特需”を迎えていた。



学園でも異変が。


「生徒諸君、今日から午後2時は強制シエスタだ!」

学院長が宣言し、授業が一斉に昼寝に差し替わった。


剣術の授業→「木陰で仮眠」

魔法の授業→「ヨガマットで横になる」

体育祭の練習→「スヤァ大会」


完全に寝る学校である。



もちろん反発する声もあった。

王子支持の伝統派が立ち上がる。

「馬鹿な! 睡眠ごときで国を動かすな!」


だがその代表者が徹夜明けでフラフラしていたため、

「あなたまず寝てください」

で一蹴された。


観衆「説得力ゼローーー!!」



俺はセバスに紅茶を注ぎながらつぶやいた。

「……なんか健康を広めたつもりが、国全体が“早寝早起き王国”になってません?」


セバスは眼鏡を押し上げて言った。

「お嬢様。すでに国外から“睡眠留学”を希望する者も来ております」


「睡眠留学ってなんだよ!!」



広場の片隅。

王子は膝を抱えてうずくまっていた。

「……なぜだ……なぜ俺の魔力が……睡眠に負けるんだ……」


リリアーナが必死に励ます。

「殿下、次は“栄養学”で勝負ですわ! 甘味こそ我らの誇りですもの!」


王子の目に再び炎が灯った。

「そうだ……! 次こそ“栄養”で決着をつける!」



こうして次なる戦いの火種は――

「睡眠 vs 栄養」からの、壮大な栄養学バトルへと移行していくのだった。


……いやだから婚約破棄どこいったんだよ。

本日の教訓――魔法より大事なのは 快適に眠ること ですわ!

というわけで、ここで “寝室環境” のポイントをかんたん解説。


✅ 部屋の静けさ・明るさ

•騒音は30dB以下(ささやき声くらい)が理想。

•明るさは30ルクス以下(豆電球くらい)。暗すぎなくてもOK。

•スマホや蛍光灯の強い光はNG。寝る前は薄暗く。


✅ 室温と湿度

•夏は 29〜35℃ 湿度50%前後 → 扇風機や冷却枕で快適に。

•冬は 16〜19℃ 湿度50〜60% → 加湿器や湯たんぽが助けになる。

•ポイントは「暑すぎず寒すぎず」。手足をほんのり温めると眠りやすい。


✅ 体温コントロール

•「頭寒足熱」=頭を涼しく、手足は温める。

•寝る前にぬるま湯で手足を温めると、放熱しやすくなって眠りやすい。


✅ 睡眠リズム

•人の眠りは90分周期で「浅い眠り(レム)」と「深い眠り(ノンレム)」を繰り返す。

•寝だめより、同じ時間に寝て同じ時間に起きるのが一番効率的。

•昼寝は20分以内!それ以上は夜のリズムが狂いやすい。


✅ 記憶と睡眠

•勉強したことは、**深い睡眠で知識系(宣言的記憶)**が、

 **浅い睡眠+レム睡眠で運動系(手続き記憶)**が定着する。

•「寝る子は育つ」は科学的に本当!



つまり――

「静か・暗い・ちょうどいい温度」+「よく寝るリズム」=最高の魔法」 ですわ!


おーっほっほっほ!!


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