転生悪役令嬢おじさん、スイーツで血糖値バトルする件
会場中央に並べられた銀のトレイ。
そこには色鮮やかなケーキ、山盛りのマカロン、クリームたっぷりのシュークリーム……。
甘気が空気を支配し、社交界の令嬢たちは息を呑んだ。
「ここで勝った方こそが、真のヒロインにふさわしいのですわ!」
新ヒロインは高らかに宣言した。
「殿下、わたくしのスイーツ魂をご覧くださいませ!」
「おぉ……!」
王子はうっとりと見つめる。
一方、俺は眉をひそめていた。
「……いや、砂糖の塊じゃねぇか」
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試合開始の合図と共に、新ヒロインは次々とスイーツを口に運ぶ。
「ふふっ、甘さこそ至高! 女の子らしさの象徴ですわ!」
観客も「まぁ素敵!」と拍手喝采。
だが俺は冷静にティーカップを持ち上げ、ひとこと。
「……そのうち血糖値スパイクで倒れるな」
「な、なんですって!?」
俺は懐から取り出したのは――
低糖質プロテインバー。
「スイーツ勝負なら、俺はこれで行く」
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観客がざわめく。
「な、何あれ!? 甘くなさそう……!」
「え、でも意外と美味しいのよアレ……」
俺はゆっくりと一口かじり、にやりと笑った。
「糖質オフ。タンパク質20グラム。腹持ち抜群。これが本当の“スイーツ”だ」
「ぐぬぬぬ……!!!」
新ヒロインは必死にケーキを食べ続けるが、額には汗が浮かび、頬は真っ赤。
「こ、これは……幸せの甘さ……!」
「いやそれ、血糖値乱高下で顔赤いだけだからな」
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ついに新ヒロインはバタリとテーブルに突っ伏した。
「うぅぅ……あま……すぎて……頭が……」
観客たちがざわめく。
「悪役令嬢おじさんの勝ちだ……!」
「健康こそが真のスイーツ……!」
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俺はため息をつき、言い放った。
「……結論。スイーツは適量が一番だ。甘さも筋肉も、バランスが命なんだよ」
「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
こうしてまた一つ、悪役令嬢おじさん伝説が社交界に刻まれた。
新ヒロインが机に突っ伏したまま震えている。
「わ、わたくしが……スイーツで……負けるなんて……」
俺は椅子に腰を下ろし、冷めた紅茶を飲み干した。
「だから言ったろ。糖質オーバーは敵だって」
「ぐぬぬぬぬぅぅぅ!」
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そのとき、会場の令嬢たちがざわつき始めた。
「ねぇ……私も甘いの食べ過ぎて顔むくんでる気がする」
「昨日ケーキ三つ食べたら眠くなって……あれって血糖値スパイク?」
「悪役令嬢さん、もっと詳しく教えてくださいまし!」
「え、いや俺そんな立場じゃ……」
「教えて! 基礎代謝の女神!」
「甘さと健康のバランスを!」
「スイーツ講習会を!!」
お前ら何を期待してんだ。
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新ヒロインは必死に顔を上げ、最後の抵抗を叫んだ。
「ち、違いますわ! スイーツは愛の象徴! 砂糖は幸せ! 健康なんて味気ないですの!」
その瞬間、会場から令嬢たちの怒涛の声が飛んだ。
「でも寝落ちしたら台無しだわ!」
「愛よりも血糖値が安定してる方が輝ける!」
「健康あってこその幸せ!」
新ヒロイン「ぐはぁぁぁぁぁぁ!!!」
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俺はため息をつき、締めの一言を放った。
「……甘さは贅沢だ。だが、贅沢こそ“適度”であってこそ輝く。
スイーツを支配するのは愛でも魔力でもない――自己管理だ!!」
会場「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
その日から、王都の社交界では――
ケーキの横に必ずナッツと無糖紅茶が添えられる習慣が生まれたという。
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こうしてまた一つ、悪役令嬢おじさんの伝説は広がってしまった。
「……いやほんと、婚約破棄どこいったんだよ」
「おーっほっほ! 本日のテーマは“水分補給”ですわ!」
スイーツも紅茶も楽しむのはいいですが――その陰で忘れられがちなのが水分。
筋肉も脳も血流も、水分なしでは働けませんのよ!
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◆ 水分の役割
・体温調節(発汗で熱を逃がす)
・血液循環の維持(酸素や栄養を運ぶ)
・老廃物の排出(腎臓の大事なお仕事ですわ!)
◆ 不足すると……
・集中力低下、頭痛、めまい。
・血液がドロドロ → 心筋梗塞や脳梗塞リスクUP。
・肌の乾燥や便秘まで。美しさにも直撃しますの!
◆ 目安と工夫
・成人は一日 1.5〜2L を目安に。
・一気飲みではなく、こまめに。
・甘い飲料ではなく 水・麦茶・ノンカフェインのお茶 が理想。
・運動や汗をかいた日は塩分・ミネラルも一緒に補給。
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「つまり――紅茶やケーキより先に必要なのは、水!」




