お帰り!お姫様!
今日は、帰国後、初めて、佑夏がぽん太の世話に来てくれる日だ。
情けない話だが、あのサーフィンの写真の男性が氣になって仕方ない。
早く、姫の口から彼について聞きたい。
待ち切れず、ウズウズしている自分がいてしまう。
(あ~、ジンスケ。どうしようもねえ奴だな~、ニャハハ!)
(うるさい。氣になるのは、当たり前だろ。)
この化け猫が!自分で予知しておいて。
主人の氣持ちなどお構いなしに、楓やレオナとじゃれているぽん太を睨みつけたくなってしまう。
約束の時間、10分前、チャイムが鳴り、ダッシュで玄関まで走りたい氣持ちを抑え、何とか騒ぎ立てずに、佑夏の名を呼びながら、ドアを開けることができる。
「中原く~ん!帰って来たよ~♪お~!ぽん太~、待ってた~!?」
例によって、この怪猫は、僕に対する時とは態度を豹変させ、ふにゃ~ん!ふにゃ~ん!と甘えた声を出して、姫のロングスカートに身体を摺り付けているのがあざとい。
佑夏は予想通り、お土産らしい袋を持っている。
タダって訳いかないよな、金、払わないと。
「ケニア、最高~!行って良かったわ!あ、ヒルティの法則にハマっちゃいそ!氣をつけなきゃ、アハハ!」
笑いながら、お土産袋を開けてくれる姫、やはり、この子が来てくれると、部屋の中が光が差したように明るくなる。
うう、いきなり、サーフィンの男性のことが聞きたい!
しかし、のっけから「あの男だれ?」も無いだろう。
佑夏が持って来たのは、色鮮やかなフェアトレード品、ケニア雑貨に、名産のオーガニック紅茶。
早速、紅茶を淹れて、そのかぐわしい香りが僕達を満たす中、支払いを申し出てみる。
「ありがとう、佑夏ちゃん。金、払うよ。」
「ううん。いーの。お金あったら、ルオーに支援してあげて。ホムペに口座、出てるから。」
「やっぱり?そう言うと思った。」
そして、早くも姫の膝の上の怪猫に、
(ぽん太、猫の首輪もあるぞ。してみるか?)
(遠慮しとくぜ。楓にだけ、やってやれ。)
(ハハハ、そうだな。)
世界最高とも言われるケニア茶を、ウットリ顔で飲む佑夏も、極上の美しさで、
「ホントはね~、マサイの人達の村に行ったり、ナクル湖でフラミンゴも見たかったのよ。(ナクル湖のフラミンゴは環境破壊で激減しているとは、この時、僕も佑夏も知らない。)
でも、時間が無くて、無理だった~!
モンバサまで、泊まりで行って、サーフィンまでしちゃったし。アレ、予定に無かったんだ。」
それだ!聞きたい!