子供のための幸せについてのおはなし 20
動揺を落ち着けるように、佑夏は、湯呑に一口、唇を付ける。
「中原くんちの、滋賀のお茶、いつも美味しいよね~。蜜柑にとっても合うわ。
農薬も使ってないんだよね?」
「そう。少し高いけどね。手が出ないほどじゃないし。」
まさか、この約二年後、琵琶湖出身の写真家に、ヤマネの森に誘われるとは、まだ僕達は知る由も無い。
そして、そこはかなく、幸福論の話になり.....。
「白沢先生」の解説が始まる。
「アランの幸福論は、フランス語の原題は”Propos sur la bonheur"っていうんだけど、新聞に連載されてたんだから、プロポは”コラム”みたいに言った方がいいのかな?小話とか、そういう意味なんだけどね。」
「そうだね。”幸せのコラム”、日本人には、ちょっとフランスな感じ入れて”幸せのプロポ”とか言えば、良さそうだと思うよ。
”幸福論”じゃ、少し硬すぎるよ。」
「やっぱり、そう思う?だから、教育実習に持ってこうと思ってる、幸福論のまとめも、簡単なタイトルにしたわ。
今のとこ、20篇で、20話が最後になるから、アランと、ヒルティと、ラッセルの大事な部分を合わせたラストにしようと思ってるのよ。」
「まだまだ、時間はあるから、何度でも書き直せばいいよ。」
「うん、そーする!」
子供の為の幸せについてのおはなし 20
作・白沢佑夏
不幸の種は、心配事です。
うん、そうだね!と自分で分かったつもりになっても、心にモヤモヤがかかってしまって、晴れないことだってある。
そんな時は、どうやったらいいか、一生懸命、考えた後、いったん考えるのを辞めてみよう。
するとね、あなたの中のあなたが、ずっと考え続けてくれるの。
フッと、どうすればいいのか?分かってしまうのよ。
たくさんの不幸はあるね。
どうして私だけが?と思う前に、その不幸の意味を考えてみようか?
何でもいいの、あなたなりの意味を、不幸にあげちゃおう!
人の人生には段階があるから。
子供の頃の不幸が、絶対に必要だった、ってことだってあるの。
あなたの力で手に入れた幸せは、あなたの中にしみ込んだ幸せなのです。
クジで大きなお金を当てても、もう一度当てるのは難しいし、あなたの力とは関係無いから、再び手に入れることはできません。
もし、当たらないクジを、また当てようなんて思って、ギャンブルにのめり込んじゃったら?
そう、不幸になるよね。
あなたが、努力して培った力は、あなたの物で無くなったりしないから、お金が無くなっても、また手に入れられるわ。
だから、毎日、努力しようね。
やり過ぎなんて無いから!