表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/280

幸せのロックスター

「面白い授業を心掛けて、子供達の興味をどうやって引き出すか、にとっても心をくだいてたのね。

 生徒から、教えられることも、多かったんだって。これ、私、すごく良く分かるわ。」


「参考になった?」


「うん!とっても!ステージでも、サービス精神、出てたよね。また行きたいな!」


「佑夏ちゃん........。」


「なに?」


「あ、いや。この人さ、社会派のアーティストで、色んな社会活動してるんだよね。」


 違う。


 言いたいのは、こんなことじゃない、自分と結ばれて、二人で一生、彼のコンサートに通わないか?

 

 来日公演だけじゃもったいない、この人の自国、イギリスまで、一緒に出かけようよ、というのが本音なんだけど、いくら何でもね。


「そうなのよ!このロンドンでやった、チャリティーコンサートのお話、いいな~!

 入場料はおもちゃで、集まったおもちゃは、施設に寄付したのね、素敵~!」


「ああ、そうだね。

 日本のアーティストで、そういう話、あまり聞かないね。」


「アハハ、何でだろうね?でも、だからかな~?この人の音楽は、何ていうか、深みっていうのかな?

 大きな感動がすごく、伝わってきたわ。スケールが地球規模なんだね。」


(おい、ジンスケ。外国の奴らより、日本はずっとお互いに助け合って生きてきた国なんだ。

 儲けは全部、自分のモノにしないで、社会の施しに回してたんだよ。

 真白様のお父上は、そういう方だったぜ。

 

 今みたいに、何でも”慈善事業じゃない”の一言で片づけて、誰も何も感じなくなっちまったのは、つい最近のことなんだよ。)


(そうだろうな、ぽん太。俺だって日本武術(あいきどう)の先生やってるんだ。そのくらい分かる。)


「ねえねえ、中原くん。この人、生まれはとっても貧乏だったのね。

 お金が全然無い状態で、ロンドンに出て来て、成功できたのは20代後半で、丁度いい時期だったのよ。」


 ん?何のことだ?分からないな。

 ヒルティの”早死の法則”について、彼女から聞くのはまだ少し先だ。


 僕の表情を氣に止めず、「熱弁」を振るう佑夏。


「成功できても、”これまで貧しくて、二度とお金に困るような目には遭いたくない。しかし、だからといって自分が変わってしまうつもりも無い。

 お金は人をダメにする、堕落が始まるのはこういう時だ”って。


 自分を戒めてるのが偉いよね。」


「プロデビューしたばっかりの頃、バンドがまるで売れなくて、アメリカで初めてツアーやった時は、客が四人しかいなかったこともあったらしいよ。


 安いモーテルに泊まって、男三人で一つのベッドに寝たんだってね。」


「ああ、それも書いてあったわ。そんなこともいい経験になってるのね。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ