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怪猫、またしても現れる

翠の言うように、佑夏はまだ、どちらにするか決めかねているなら、もしかして、僕と潮崎氏を天秤にかけているのか?


 一対一の二人きりではないとはいえ、彼女は潮崎氏との()()だって経験している。


 両方の男と泊まり、自分の為にどちらにするか、値踏みしようというのか?

 ずいぶんいい性格じゃないか。


 それとも、やはり、既に潮崎氏とは男女の関係になっており、帰ってから二人で僕を嘲笑ってバカにするつもりか?

「一緒に泊まってやったら、すっかりその氣になってんのよ~!バカみたい!アハハ!」みたいな感じで!?


 なんて女だ!!


(おい、ジンスケ。お前、オレの話、聞いてなかったのか?)


(ぽん太!?)


(オレは、一馬のことは忘れろ、と言ったんだ。

 さっきは合格発表の時と言ったがな。訂正するぜ。一馬抜きで全てを考えてみろ。


 佑夏が、いい男と見りゃ誰とでも寝るアバズレか?尻軽か?男狂いか?

 自分の為に男を天秤にかけるような、打算的な女か?


 お前、三年以上も一緒にいて、そんなことも分からねえのかよ?

 だったら、例え仮初めであっても、佑夏の婚約者演ってる資格はねえ。


 今すぐ、自分から謝って、役を下ろしてもらうんだな。)


(あ!)


 そうだ。そうだった。


 断じて、佑夏は、己の為に男を天秤にかけるような子ではない。

 むしろ、その逆で、自分がその人の為に何ができるか?を考える子だ。


 それに翠から聞いた、あの話。


 男に交際を申し込まれて、佑夏は一度も断ったことがなく、「何年か信頼を築いてから」と、誠実この上無い返事をしている。


 それを、僕はどんな男にも飛び付く女だと?男を天秤にかけているなんて考え方をして、彼女に申し訳ない。


 中には「キープ何人いるんだ?」と言う勝手極まり無い男がいて傷つけられ、人知れず涙を流し、それでも普段は明るく振る舞う彼女の、どこが男狂いなんだ?


(あ、ああ。すまなかった。助かったよ、ありがとう。ぽん太。)


(分かりゃいい。ったく、しっかりしてくれよな、()()()()。)


「仁助さ~ん!予約取れたよ~!」


 ふいに、ドアが開き、舞い戻って来た佑夏。

 しかし、僕の表情を見て、怪訝な顔をしている。


「??どーしたの?仁助さん?テストでオール赤点取った子供みたいな変な顔して?」


 姫の言を聞いて、他の人達、山田さんまでもが、ゲラゲラ笑い出してしまう。


「ホンマですわ、中原さん。どないしたんです?うちらが、い~ひんようになって、白沢さんと二人きりになるんが、そないに恥ずかしいんですか?」


「あ、いえ、その.......。」


 笑いながら、質問してくるルミ子さんに、僕はロクに答えられない。


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