高原の七人
七人の参加者が、それぞれ自己紹介することに。
僕と佑夏は、時計回りの一番最後。
よってラストである。
トップをきって、黒縁のメガネをかけた痩せている女性。
諏訪駅の待ち合わせ場所に、僕達より早く来ていた一人である。
黒髪のボブカットというのだろうか?僕は女性の髪型については、良く知らない。
年齢は30代後半のようだ。
「長野県に住んでおります、小林です。よろしくお願いします。
パーク協会の職員です。」
見るからに学歴の高そうなインテリ風の人である。
パーク協会といえば、日本でただ一つ、ヤマネの博物館がある八ヶ岳の施設で知られている。
二番目。
あの関西の親子、母親から。
「京都から来ました、吉岡です。名はルミ子いいます。
よろしゅう、お頼申します。」
通りで、大阪弁よりおっとりした話し方だと思ったら、京言葉だったのか。
昭和臭漂う名前、40代中頃だろう。
続いて、その娘。
「娘です。吉岡理夢です。高二です。
よろしゅう、お頼申します。」
やっぱり高校生、最年少だよ。
学校は休みなのか?
次に20代半ばくらいの女性。
僕と佑夏より、2、3歳上かな。
「横浜から来ました。水野です。
よろしくお願いします。」
肩くらいの髪をチョコレート色に軽く染めている。
ごく普通の女性。
こんなところにいるより、彼氏とテーマパークに行っている方が似合いそうだが。
もう一人。
太っていて、あばた顔。
お世辞にも美女とは言えない参加者、50代前半?
最年長になりそうだ。
背も一番低い。145センチくらい。
「東京から来ました。山田です。よろしくお願いします。」
ブスっとした挨拶だ。
せっかく、こんな景色のいい場所に来ていて、楽しくないのか?
銀縁のメガネの奥にある目も、なんだかギョロギョロして怪しげである。
そして、僕と佑夏の番になる。
「◯◯県、△△市から来ました、中原です。大学四年生です。
よろしくお願いします。」
「中原さんに同行させていただきました、白沢です。
大学生です。よろしくお願いします。」
どよめきが起こる。
ええ!そんな遠くから?とみんな顔に書いてある。
東山さんと、フジオカ添乗員は、僕と佑夏がどこから来たのか知っているから、驚いたりはせず、微笑んでくれている。
添乗員から、簡単な名簿というか、名前のリストが渡される。
これでも、僕は武術家である。
礼儀上、すぐに全員の名前と顔を一致させて、名前で呼ばなくては。
フルネームと居住地だけが書いてある。
小林幸枝 長野県
吉岡ルミ子 京都府
吉岡理夢 京都府
水野葵 神奈川県
山田直美 東京都
そして
中原仁助 ◯◯県
白沢佑夏 ◯◯県