表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/280

大都会の実態

東京には、なんの憧れも、微塵も持っていない僕は、見たまま、ありのままの印象を話す。


「なんか、東京はどこに行っても人が溢れてて、少しでも空いた土地や建物があれば、すぐに高値で取引されて、新築の新しい建物がどんどん建っていくイメージがあったんです。

 でも、実際は廃墟も多いし、人がまるでいないゴーストタウンみたいな区域も多く見られました。」


 唯一の東京都民である山田さんは、何の反応も示していない。


「ホンマに、金かけて、開発や言うて自然破壊するんやったら、街中の要らへんもの壊して、緑地にして欲しおすなぁ。」


 ルミ子さん、リンゴ二つ目。止まらなくなってる。だって、コレ、美味いから。


「そうですよね。

 それで、車内で、佑........白沢さんが、スマホで調べたんですよ。

 そしたら、元々、日本軍の施設だった所が、戦後、アメリカ軍に接収されて、今じゃそのまま廃墟になってるみたいで。

 軍用のパラボラアンテナも、撤去されてないそうですね。

 東北地方で、そんなの、無いですよ。」


 僕の話に、小林さんが回答してくれる。


「中原さん、仰る通り、そこはF市が、“平和の森“として、緑地化して保全しようとしたんです。

 しかし、土地を管轄している国が応じないんですよ。」


 ふぅ~、と場にため息が出る。


「結局のところ、行政に期待しても無駄なのです。

 小宅知事に意見書を提出しても、徒労に終わります。

 廃墟、廃ビルを緑地化し、環境保全しながらも収益化できる企業などが現れれば、追随する経営者も出現するのではないでしょうか。」


 小林さんが、自分の意見を述べた時、


「ああ!!」


 という声が。


 全員で、一斉に声の主を見ると、なんと夕食時から、今まで、一言も喋らなかった山田さんである。


 し~ん、としてしまう室内。


 しばらく経ってから、ルミ子さんが氣を取り直すように、


「中原さん。話、変わりますけど、今しか聞けへんさかい、聞きます。

 白沢さんに、何あないに、遠慮してるんですか?」


「は?」


 なんだ、そりゃ?


 すると、水野さんまで、もう僕への「敬語・さん付け」は辞め、すっかり、お姉さんモードになって、


「そうね。中原君、佑夏ちゃんが、あんなに尽くしてくれてるのに、何だか、固くて他人事みたい。

 佑夏ちゃん、一人で空回りして、かわいそうよ。

 まだ告白もしてないのよね?どうかしてるわ。」


 え?え?え?

 なんで、こんな話に?


 それでも、何とか、僕は反撃を試みる。


「い、いえ。白沢さんは、俺だけじゃなくて、誰にでも優しくて、親切な人ですよ。」


(ニャハハ!始まったな!ジンスケ、孤立無援だ!三人がかりだぜ!頑張れよ!)


 また、デブな怪猫の声。 


 東山さんと、添乗員と、女将さんは、笑って成り行きを見守ってくれている。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ