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君と暮らすには?

東京や大阪など、大都市の暮らしは、給料は高いが家賃などのコストも桁違いに高額で、居住スペースも狭い。


 コンクリートや、アスファルトに囲まれ、排ガスにまみれ、人混みの中での生活は、人体に悪影響で、ストレスもたまる。


 さらに、これに「見栄」という負の要素が加わると、もう手がつけられなくなる。


 田舎はダサい、恥ずかしい。

 

 同級生・同期の◯◯よりも、一等地の高級住宅に住みたい、負けたくない。

 

 都会で成功して賞賛されたい。


 これには、アランの言う負の情念が入っており、また他人への興味が、賞賛されることしか無いというのは、ラッセルの言う不幸になる人間のタイプである「ナルシスト」に当たる。


 それ故か、都会で成功を志して、田舎から出て来た人の多くは、幸せとは、ほど遠い結末を辿ることが多い。


 それでは、佑夏は都会の学校での勤務は望んでいないのか?いや、そうではない。

 大都市の闇の部分で精神を病んだ子供達の心のケアを、誰よりもしてあげたいと思っているのが、心優しい彼女である。


 とはいえ、それは、あくまでも教育者としての顔であって、一人の人間としての佑夏の本心は、出身地の山の温泉地のような、自然豊かな場所での暮らしを望んでいるのは、ほぼ、間違いない。


 もう一つ、深い愛の精神を持った、姫の希望で重要な点。

 それは、恵まれない貧困家庭の子供達に、勉強を教えたいと思い続けていることである。


 なにしろ、大学一年の頃から、ボランティアで、児童養護施設での指導を続けている彼女である。


 だから、教員採用試験に、私立学校の併願を、佑夏はしていない。


 学費の高い私立に入学できるのは、ある程度、裕福な家庭の子供達である。

 その指導に、あまり魅力を彼女は感じないようである。


 採用試験に関して、容姿をどうこう、僕は言いたくはない。

 だが、佑夏ほどの美貌なら、どの私立学校に面接に行っても、一発採用、間違いないと思う。

 これだけの美女を落とす学校など、まず考えられない。


 私立なら、念願の教員になれるのに、ちょっと、もったいない氣もする。


 僕の知っている、白沢佑夏さんという女性は、こういう人である。

 彼女の伴侶となる男性には、同様の価値観が、もちろん、求められるだろう。


 プラス、須藤の言う通り、男であれば、経済力だって見逃せない重要な条件だ。


 つまり、こういう事になる。


 ”白沢佑夏の夫は、教育的な仕事に就き、富裕層よりも、貧困層の子供達に目を向け、大都会ではなく、自然的なフィールドを生活の場とし、そんな田舎で暮らしながらも、大都会で得られる収入以上の経済力を持ち、それでいて、欲望に任せて金に飽かした生活をせず、古民家暮らしのように、質素に暮らせる品性を持っていなくてはならない。”


 付け加えれば、どんな女性の胸でもときめせるような特技を持っていれば、なお、いいだろう。


 しかし、そんな男が、本当にいるのか?そう思っていた。


 だが、僕は知っている。

 この世で、ただ一人、この条件を全て満たす人物を。


 それが、怪猫ぽん太の言う「波に乗った男」。


 名を、潮崎一馬(しおざきかずま)という。 

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