表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/280

観光立国

さらに、話は大いに盛り上がり、サッカーW杯日韓大会は隣国の惨状に比べ、日本会場は各国選手団にもサポーターにも大好評で、その後の我が国の海外からの観光客、大幅増に繋がったという点に及ぶ。


 当時の首相は、大会後、観光立国宣言をしている。


 世界一と言われる治安の良さ。


 諸外国では見られない、日本特有の心のこもったおもてなしの精神。

 

 国中、何処に行っても、ゴミ一つ落ちていない衛生的な国土。

 

 リーズナブルな美味しい食事、やはり欧米に比べ格安な上、設備の整った清潔なホテル。

 

 人間が暮らすのに適した自然環境に気候。

 

 フレンドリーで世界各国のサポーターと平和的に交流する国民性。

 

 これらが、世界の人々の心を掴み、W杯日韓大会(あくまで日本会場のみ)は、大成功だったのだ。


 どうでもいいことだが、そこ行くと隣国は、有名な主審買収疑惑に加え、滞在中の他国チームへの嫌がらせも酷いもので、国際サッカー連盟の中では、日本の単独開催にすべきだったという声も多かったと聞く。


「コスタリカは、環境を保護したエコツーリズム、観光立国で成功しています。

 やはり、日本もそちらに舵を切るべきではないでしょうか。」


 意見を述べる小林さん。


「小林さん、それはそうなんですけど、コスタリカもそこまで行く間に、外圧をはねのけるのに、かなり苦労したようですよ。」


 僕は、これでも、大学の学部がそっち系である。

 大規模環境破壊の裏には、必ず多国籍組織がいるのは知っている。


 理夢ちゃんが聞いてくる。


「中原さん、どないなこっとすか?」


 僕のことは、「先生」じゃないのか?まあ、いいけど。


「日本に限ったことじゃないんだけど、国が環境に配慮した観光産業主体にシフトされると、都合の悪い人達も沢山いるんだよ。

 例えば、T◯Lや、U◯Jは入場者が減るし、身体に悪い食品は売れにくくなるからね。

 税金使って国中で環境破壊ばっかりやってたら、国力も弱まるし、外国から観光客も来なくなって、国はどんどん落ちぶれていくけど、ライバル国にとっては好都合なんだ。

 ぴょんぴょんにも、そういう話、出てくるだろ?」


 僕なりに答えてみる。

 一応、自分だって教員免許を持っているのだ。中学のだけど。

 

 吉岡総司氏の作品は、時折、こういう地球規模の環境破壊についても、小学生の読者にも分かり易く解説する為、国会でも議員の間で話題になっているのである。


「ああ、そうですなぁ。」


 納得の女子高生。


 さらに、僕に小林さんが追及してくる。


「すると、20世紀最大の環境破壊とされる諫早湾干拓事業の裏にも、外国資本があるとお考えですか?」


「もちろん、僕達が自分自身で解決しなくてはならない問題ではありますけど、その可能性は高いでしょうね。」

 

 そう答えると、


 ここで、初めて、ディーンフジオカ添乗員が口を開き、


「中原様、なにか"ボルボ14"に出て来る話みたいですね。」


 ちょっと苦笑している。


「ねえねえ、中原くん、ボルボに、”用件を聞いて”もらったら?」


 佑夏がボルボの決めゼリフを知っているのは驚いた。

 女性で、あの漫画、読んでる人いるのか?


「佑夏ちゃん、ボルボなんか読まないだろ?」


 困惑する僕に、


「エヘヘ、雰囲気だけは分かるのよ。」


 相変わらず、能天気な姫である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ