会談1
非常に投稿が遅くなりましたが生きています。御心配をおかけしました。
私は2時間ぶりにリンドブルムに帰ってきて、再度竜鱗騎士団の本拠地へと繋がる階段を守っている守衛さんにパスポートを見せた。衛兵が「あれ?この人さっきも来たよな?」みたいな顔してたけどそれは無視して扉の中へと入った。
扉の中は狭い階段があるので照明となっている松明の火の匂いが私たちを出迎えてくれた。
「リンドブルムって外から見た感じよりもずっと大きいのかな」
「間違ってはないですね。実は外から見えるリンドブルムは先ほどまでいた聖堂の方だけなので、この竜鱗騎士団の部分は外からは見えないんです。ここは言ってしまえばあの渓谷の壁の中なのでリンドブルムは主様やスフィアが思う数倍は大きいです」
「やっぱそうなのか」
「その反応を見るにスフィアは気づいていたのですか?」
「まあなんとなくはな。竜鱗騎士団は規模的にはこの国でもトップクラスに大きい騎士団なのに、その割には騎士を養うのに十分なスペースはないし、何より外から見てなんか魔力の流れ見たいのが不自然で整ってなかったんだよ」
……これはもしかしたらスフィアの新たな才能があるかもしれないな。まだ確証がないから言い出せないけれど、後々才能が開花すれば私なんかなら一瞬で倒せる実力が手に入るかもしれない。
階段を十分に下ったところで目の前には扉が見えてきて、会談の時間が近いことを示していた。
「主様。この扉を開ける前に言っておきますが、この先は血の気の多い竜人が多くいます。なので堂々として、見た目で馬鹿にされてはなりません。スフィアもですよ。分かりましたか?」
「分かった」
「了解した」
さっき入ったのでわかるが、昔と変わらず部外者である私にはかなり厳しい目線が送られていた。主様たちはそういう経験があるのか不安なので念の為のアドバイスだ。
私は扉を開ける前に2人とアイコンタクトをして準備ができているか確認する。2人とも用意は良いとのことなので、扉を開けて2人を先に行かせる。
本来ならば私が先頭に立った方がいい気もするのだが主様なら問題ないと信じている。
私も一歩遅れて中に入るが、案の定視線が痛かった。ヒリヒリと皮膚が刺されるような感覚に耐えきれなくなりそうになりながらも受付のところまで来た。時間にしてたった15秒ほどだったが体感では1分にも5分にも思えた。
「第三軍軍団長、ヴィエラ・アンドレ。ドラクール様との面会を希望したいのですが」
「はい。承っております。すでに騎士団長様は待っておられるので中へどうぞ」
案内されたのは私が先ほど会った部屋の奥。おそらくはドラクール様の自室だ。私も1回だけ入ったことがあるが、初対面の相手にこの部屋を用意するということは余程のことがない限り未来存在しないだろう。
「よく遠くのアイスエッジまで来られた。席は用意してある」
ご丁寧に3人分の席。おかしいな、3人で行くなんて一言も言ってなかった気がするのだが……それはそれでメイドとして問題か。
私たち第三軍側は3人なのに対し、竜鱗騎士団はドラクール様、先ほどの受付の女の子、もう1人知らない男の竜人が既に座っていた。
ドラクール様が体格が大きく威圧感があるのは置いといて、左隣に座っている男もかなりの体格で風格がある。おそらくは副騎士団長なんじゃないかと思うが今のところは推測の域を出ない。
「お心遣い感謝致します。私が第三軍軍団長、ヴィエラ・アンドレです」
「ああ。話は聞いている。で、何故このアイスエッジという遠方まで王族である貴殿が来たのかお聞かせ願いたい」
私には『王族である』とドラクール様が付け加えるのは単なる煽りではなく、交渉の前に前提として『私はあなたを王族として見ています』と先に相手に伝えておく意図があるように思える。つまりまだドラクール様は主様を単なる王族としか見ていないということ。軍人として認めていないことが窺える。
「理由は単純です。私たち第三軍は人類滅亡を目標として活動していますが、その上で竜人であるあなた達の協力が必須であり、必要不可欠だと思っているので来た所存です」
「まだ設立して日も浅いくせに」
「オーティー。控えろ。我々は会談をしに来ているのだ。見下すためではない。よいな?」
「はいよ」
ふてぶてしそうに返事をした。典っ型的な竜人だな。こういうタイプの竜人は腐るほど見てきたが全員大した奴ではなかった。小心者なのに他人を見下す、くだらない奴らだ。
「失礼した。しかしこのオーティーの言ったこともうなづける。我ら竜人が力を貸す貸さない以前に、我らは第三軍の意思を理解していない。延いては、貴殿の意見を聞かせてくれないだろうか。一度私以外の者の席を外させる。貴殿も他人の目があると気にしてしまうだろうからな」
いい感じに一対一の話し合いに持ち込んでくれた。主様も乗ってくれるだろう。
「では私たちも。フィニ、スフィア、席を外してくれる?」
「かしこまりました」
「では私たちは隣の部屋に移りましょう」
受付の女の子が誘導し、私たちは主様とドラクール様だけを残して隣の部屋へ移動した。




