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街に行きたい!

ほんっとうに投稿が遅くなり申し訳ございません。リアルが忙しい関係で…。来週からはある程度投稿頻度が戻ると思いますので、安心して読んでいただければ。



「ねえ、突然だけど街に行かない?」


 スフィアが来てから1週間が経ったある日、主様はそんなことを言った。


「本当にいきなりですね。私は別に構いませんけど、ちょうど買いたいものもありましたし」


「私も異論はない。街とは王都のことか?」


「そう。なんだかんだ王都の街に行ったことはあんまなくて」


「王城にこもってますもんね。幼少期も王城と街の外の森で遊んでいただけだったようですし」


「私の傷を抉らないで…」


「ところで、王都に行くといっても何が目的だ?行くからにはなんらかの目的がないと護衛もうまくできないぞ」


「目的地はないけど、目的はある」


「なんですか?


「それは単純に王都を散策したい!」


「つまり何も考えていなかったということですね」


「そうとも言う」


「ギャグかよ」


 スフィアの言葉で一瞬笑いが起きた。


「ともかく、ヴィエラ様は王都を歩ければそれでいいのだな?」


「そ。でもできたらフィニとかスフィアには遠くに居てもらいたいんだよね」


「何故ですか?王都は人が多い分、危険な対象も数多くいることが予想できます。そんな状況の中主様を1人にするわけには…」


「違う違う。私がいってるのは遠くから見守って欲しいの。人混みに紛れて護衛することはできるでしょ?」


「もちろんです。万が一のことがあったらとは思いますが…主様の自由意志を尊重しますか」


「許していいのか?」


「まあ主様ですし。それに、王都は王族のお膝元ですから、いざとなれば王城にいる近衛兵たちを呼び寄せればなんとかなります」


「ああ、たしかにな」


「主様が思っているのは、いわゆる一般人として振る舞いたい!と言うことですか?」


「まさに正解!あんまり祀りあげられても性に合わないから、それよりはただの村娘として生活してた方が楽しいかもしれない。そして幸い、私はあまり顔が知られていないから街に溶け込みやすい」


「言われてみればたしかに国民の前に立ったことはあんまりないですよね。強いて言うなら10歳のときの式典ぐらいですか?」


 このアンドレ王国では王族は10歳になるときに王族として認められる風習がある。それまではただ地位の高い家の娘として扱われるが、10歳で正式な王族の仲間入りを果たす。そこに認められる条件は特にないようだが、強いて言えば生き延びることが条件となるかもしれない。

 この国では10歳になるまではどうしても亡くなってしまう子供も多く、体も安定しづらい。だからこそこの風習があるのだ。もし子供が8歳ぐらいのときに国王が逝去し、国王の座が空いたとして、その小さな子供が王となって仕舞えばまた王が体を壊して指導者を失ってしまう可能性がある。だから子供は10歳まで王族と認められず、王位につくこともできない。

 ちなみにこの例の場合、王が空席になったら幹部へと自治権は移ることになっている。幹部は現在7人いるので特に争いもなく、問題なく進むだろうという判断の元でだ。


 まあそんなことはさておき、主様はその10歳の王族就任の儀式以外で国民の前に立ったことはない。儀式は王都の真ん中の噴水広場行う風習のため、そのときに主様の顔が国民にバレているが、逆に言えばそれ以外の時は顔を出しておらず、さらに儀式は8年前のため誰も正確に顔を覚えてはいないだろう。


「だね。で、スフィアはいい?遠くからでも私を守れる?」


「もちろん。お任せください!」


 胡散臭い返事だな。


「では主様、護衛係として王都へ行くことを許可します。けれど目立たぬように。服もきらびやかなものではいけませんからね」


「はーい」



※※※



「なぁ…流石に服装がはしたなすぎないか?」


「私もそう思うのですが…しょうがないです」


 主様が来ているのはこの国では一般的な平民服。けれど少しランクが低い。麻で作られたその服は、着心地としてはザラザラとした感触で肌が擦れて痛かったりする。色合いは黒の模様が申し訳程度に入っているだけで、平民服でもちょっと悪い方。これは主様本人が希望したのでつべこべ言うつもりはないが、予想とは大きく違った結果になった。


「私としてはこの服では少々問題が起きると思いますね。国民の多くは良くも悪くも見た目で人を判断します。そして見た目の8割を占めているのが服装で、その服装があまり良いものではないとなると裏路地とかに連れ込まれてもおかしくありません」


「同感だ。見た目の残りの2割を占める要素は清潔感だと思うが、まあその点は問題ないだろう。けどなぁ、服装のインパクトがデカすぎて清潔感より先に悪い印象がつくんだよなあ」


「でもいいじゃん。いざとなったらフィニとかがいるし、私もお話を試みてみるから」


「そうしていただければ良いですが、出来るだけ絡まれない努力もしてくださいね?」


「はいはーい」

 



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