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投稿できてなくてすみません…。ちょっと忙しい時期があるので毎日投稿は一週間ほど控えさせていただきたいと思います。

「まずい……寝てしまった……」


 一生懸命紋章を考えていたら段々と睡魔に襲われ寝落ちしてしまった。おかしいな…昔は睡眠なんて1日ぐらいしなくてもどうってことなかったのに。多分、主様に仕えるのは心労がたまるからだろう。


 あの方の天真爛漫な性格に合わせようとテンションを上げると疲れるし、逆に冷静でいようとすると温度差がありすぎてもかえって疲れる。もしかしなくても疲れない接し方なんてないのでは?


「主様を起こしにいかないと……」


 部屋から出て主様の部屋を見にいく。それほど距離があるわけでもない点はいいことだと思う。


 

 話を戻すと、なんだかんだ私は主様と相性がいいと思っているし、そこまで仲が悪いわけでもない。第三者から見れば主様が私を振り回しているように見えるだろうが、私もそう思う。あの活発的すぎる方は私のような少しドライな性格のものがつくべきなのだ。


 …まあそれは建前で、本音を言えば私以外護衛は務まらない気がする。実力的に足りていそうな暗殺者は思い当たるだけで何名かいるが、全員私の部下ということで実力は私に一歩劣る。厳しい条件をつけてでも王女という立場は重く、護衛しなければならない。

 

 王女、というか王族は全員が国民の前では偉く立ち振る舞う。それは決して威張っているからというわけではない。想像してみてほしいのだが、国を治める一族が国民の前で駄々をこねるのは如何なものだろうか。少なくとも国民のうち何割かは失望というか呆れるし、何人かは不満を持つ。私だったら、抹消しに行ってしまいそうだが。



 話が逸れたが結局何が言いたいのかというと、王族はその一挙手一投足が国民に見られているわけだから、その重圧も考えて主様のある程度のわがままは許容している。けど過激な時が多くない?ということだ。さっきも言ったように護衛は主を守らなければならないのに守られる当の本人が護衛を疲れさせてどうするんだ、と思う。



「主様、朝ですよ」


 ドアのノックをしながら部屋に入る。そして主様のベッドに近づき布団をひっぺがした。


「うわぁっ!びっっくりしたぁ」


 驚いた拍子に頭をのけぞらせてベッドの角に頭をぶつけている。痛そう。


「主様、いい加減起きてください」


「いい加減って……まだ6時ぐらいじゃないの?」


「そうですけど……今は忙しいんですからそれぐらい我慢してください。頼みますよ」


「はいはい。そういえばさ、フィニ昨日遅くまで何してたの?隣の方からガサゴソと音が聞こえたんだけど」


「あー……漏れてましたか」


「別にフィニが何してったて疑わないけどさ、言えるなら言ってくれる?」


「これは後で主様に報告しようと思っていたのですが、第三軍の紋章ってどうしますか?」


「紋章?旗のやつだっけ?」


「そうです。我々にも必要不可欠なものなので早め早めに相談しようと思っていたら、予定よりも早くなったようで何よりです」


「あ、うん。それにしても紋章かー。私そういうデザインとかわからないからなぁ。フィニはデザイン学?っていうのかな、そういうのには精通してるの?」


「学んだことはありませんけど…なんとなくならわかります。昨日の晩で紋章の大方のデザインならなんとか完成させれました」


「おーさすがフィニ!仕事が早い」

 

 主様が私に飛びつきながらハグする。

 おぉ…ハグされるのなんて今までの人生にあっただろうか。いかんせん、恋愛とは疎遠な人生を送っていて覚えてない。


「あー……ですがそのー、主様が許可を出すかは別にありまして」


「ん?どんなデザインなの?」


「こんななんですけど…」


 ポケットに持っていた図案を渡す。

 イメージとしては主様が得意とする魔法の杖に、暗殺者たちの短剣と死霊騎士の骸骨のはまった剣を重ねている図だ。これからメンバーも増えるだろうが、基本は暗殺者と死霊騎士だと思うからこのような図にした。というかそうじゃないと困る。またこの図を作るのはごめんだ。

 

「うん……いいと思う。けどさ、これ所属する種族が増えたらどうするの?」


「私が聞きたいです」


 思わず本音を言ってしまった。一つ間をおいて、2人して顔を見合わせて笑い転げる。


「わからないって、フィニもそんな答えを出すことがあるんだね」


「ありますよ。そりゃあ生き物なんですから」


「で、どうしたものか。個人的には別に杖と短剣だけでいいと思うけど」


「なんでですか?」


「だってこれからも変わらないであろう不変なものは私とフィニでしょ?死霊騎士たちも余程なことがない限りいなくならないけど、それを言っちゃうと他の種族が来た時に困ることがある。だから私を象徴してるであろう杖と副官のフィニの短剣。それでいいんじゃない?」


「そう……ですね。それではまた作り直します」


「いや、大丈夫だよ。杖と短剣が入った紋章を作って欲しいってお父様とかにお願いすればすぐできるだろうからさ。フィニが自らデザインを作りたいって言うなら別だけど……作る?」


「遠慮しておきます」


「おっけー。じゃあ頼んどくね。これにて紋章の話は終わり!朝食にしよー」


「はい。少し待っていてくださいね。朝食を作ってきますので」


「うん。じゃあ私は着替えてるから呼んでね」


「かしこまりました」


 

※※※



「ごちそうさま。水もらえるかな?」


「はい、こちらに」


 コップにタプタプと水を注ぐ。


「んッはぁー…」


 コップいっぱいになった水をごくごくと喉を鳴らしながら一気に飲み干し少し酸欠気味になっている。


「あはは、飲み過ぎですよ。喉を詰まらせないでくださいね」


「はーい。ところで午前中は何する?」


「何するって、作戦の立案に決まってるじゃないですか。主様が言うにはある程度の作戦の順番とか既に考えてあるのでしょう?それを私に共有して、作戦をより良いものにしていきます」


「分かった。でももしかして……1日それ?」


「そうですが?」


「合間合間に魔法の実験とかは……」


「合計1時間までなら許可します」


「うぅ…。その1時間、フィニも実験に付き合ってくれる?」


「余裕があればいいですよ。その時間をご褒美にして、仕事頑張りますよ」


「はーい」



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