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茶色転生 〜インパクト最強の異形精霊はクールに無双したい〜  作者: 花祭きのこ
第一章 出撃準備編
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006 進化しちゃうぞ

ここは精霊のゆりかご、その湖のほとり。



「あ、あの、それではこれからの流れを説明させてもらいます」



まだ驚きで震える体を押さえながらペペ氏が話し始める。がんばれペペ氏!


「こ、これからみなさんは【進化の間】という場所で、下位精霊様へ進化するための進化の儀に臨んでもらいます」


ふむ、なるほど。いよいよ精霊に進化と言っても、まずは下位からのスタートか。


ちなみにこの場には、俺の他に火の小精霊が1体、水の小精霊が1体、俺とは別の土の小精霊が1体の計4体が集まり一緒に話を聞いている。

そして俺は明らかに避けられている気がする。他の3体からすごく距離感を感じるのだ。

全く…僕は悪い汚物じゃないよっ!



「そ、それではこれから転移の魔法陣を使って【儀式の間】へと移動します。そこでお一人ずつ順番に、し、進化の儀に臨んでもらいます。こ、ここにいる皆さんはすでに必要な魔力量を満たしていると思いますので、問題なく進化できると思います」


「そ、そして進化する際に神様からスキルを3つ頂けます。1つは固有スキルで、それぞれどんなスキルが頂けるか分かりませんが、あ、後の2つは決まった選択肢の中からご自分で選ぶことができます」


おお、スキルもらえるのか!こりゃ〜楽しみだな。固有スキルはチートスキルを頼んまっせ!



「そ、その選択肢ですが、【射出】、【防壁】、【変形操作】、【魔力値拡張1.5】の4つになります。せ、選択はもちろん自由ですが、基本的には攻撃手段として優秀な【射出】をオススメしています。そ、それと水や土属性の方はエレメント体を強固な壁にする【防壁】が相性が良いです。こ、これは防御面でとても優秀なスキルになり、生存率がグッと上がります」



そして【変形操作】は、エレメント体の形を変えたり操ったりする事ができるスキルらしい。

【魔力値拡張1.5】は魔力の最大値を1.5倍するスキルとのこと。


おお、いくら練習しても形が変えられなかったり動かしにくかったのは、こういうスキルが必要だったからなのか!


むむ…ちょっと迷うな。今のところは【射出】と【変形操作】が有力かなぁ。魔力値の最大値アップも魅力的なんだけどな。



「そ、それともう一つ。進化の際には肉体を具現化します。こ、この時の姿は深層心理から決まるとされていますが、さ、定かではありません。変なお姿になっても、文句は言わないで下さいね」


何故かこちらをチラチラと見ながら話すペペ氏。

おいおいこの俺が、魔力値10000オーバーの選ばれしこの俺が、変な姿になるとでも?

全く…パーフェクトボディの完璧マンになるに決まってるだろう。常識的に考えて。



「せ、説明は以上になります。それではこれから、魔法陣へ向かいます」



どうやら転移の魔法陣は湖、森、火山の境目にあるようだ。そういえばあそこ、石畳の部分あったな。





フワフワと飛んで移動するペペ氏と他小精霊たち。それを尻目にスイーッと魔力触手で並行移動する俺。うむ、何やら視線を感じる。

なんか注目されてるので、わざとグゥン!と急発進してみたり、突然クルクルと回転してみせる。

その都度ピクリとなり、ガクガク震え出すオーディエンス。今夜もご機嫌なプレイで観客を沸かせるのだ。

むむ、ちょっと遊びすぎたか。バケモノを見るような目になってきてるね、主にペペ氏が。いかんいかん。




そして魔法陣前に到着。



「で、では転移を始めます。みなさんこの魔法陣の上にお乗りください」


そしてペペ氏以外の全員が魔法陣の上に乗る。俺の周りだけポッカリと空間が空いてるのは気のせいだろう。


「で、では私のお役目はここまでになります。みなさん、長い間お疲れ様でした。こ、この先大変だと思いますが、頑張って下さい」ぺコリ


む、ペペ氏はここまでなのか。会った回数は少ないけど、少し寂しくなるね。


「そ、それでは転送を始めます」


の声と共に目の前が真っ白になり、数瞬の後には、俺たちは建物の中にいた。




やや狭い部屋の中央には祭壇があり、壁や天井は青いラインが走り、うっすらと光っている。

石造りだし、何か遺跡っぽい雰囲気を感じるな。

祭壇の前には四人のローブを着たピクシーが立っており、その中でも一際豪華なローブをまとったおっさんピクシーが進み出てくる。ピクシーっておっさんもいるんだね。


「初めまして、小さな精霊様たち。私はピクシー神官長のブポンヌと申します」


深々と頭をさげるブポンヌ氏。寂しい頭頂部をガン見せしてくる。

そして俺をチラリと見たあと、ババッと二度見ムーブするブポンヌ氏。見た目汚物でサーセンね。


「そ、それではこれより進化の儀を始めます。まずは…そちらの水の小精霊様から、こちらの祭壇へお進み下さい」


まずは水のやつからか。大きさも普通だし、まぁ一般的な小精霊って感じ。さぁ、一体どんな風になるのやら。


ふよふよと祭壇に上がった水の玉にブポンヌ氏が何やら祈ると、徐々に発光していき、しばらく発光した後グググ…と体が変形していく。

どんどん肉体が構成されていき、そして、1分もすると、そこには水でできた小さな少女が立っていた。

顔もちゃんとあるな。お目目もパッチリとしていて可愛らしい。デフォルメ感があって、何かのマスコットキャラみたいだ。

ふむ、これが精霊ってもんなのか。



「ありがとう、無事に進化できたわ」



おお、喋った!そうか、肉体を得たから普通に発声することができるのか!あれ、でも顔ってみんなあるのか…?

さすがに喋れない体は勘弁よ。



続けて火のやつが呼ばれ、祭壇の上に上がる。

先程と同様にブポンヌ氏が祈ると火のやつの体が光だし、グギギと肉体構成が始まる。一分後、肉体構成を終えた火のやつは二足歩行の燃えさかるライオンみたいになっていた。

ぬいぐるみみたいでカッコ可愛い!うらやましい!



さらに続けて、俺とは別の土のやつが呼ばれる。

同様に進化を終えると、そこにはACT3みたいなカッコいいやつが立っていた。

あれいいな!俺もああいうちょっとロボっぽい体になりたい!

…いや、待て。よく見ると何かちょっと虫っぽいな。やっぱ嫌だわ。



「では最後のお方、どうぞ…」


ブポンヌ氏が眉を寄せながら俺に声をかける。なんかドキドキしてきたな。


俺は祭壇へスイーッと並行移動。段差はウイリー走行で跨いでいく。ブポンヌ氏の眉根はますます寄せられるが、いちいち気にせんで頂きたい。


祭壇に立った俺にブポンヌ氏が祈りを捧げる。


すると体の中がカーッと熱くなり、頭に声が聞こえてきた。



『これから進化を始めます。…固有スキル【変態】を獲得しました。続いて以下の4つの中から取得スキルを2つ選んでください。【射出】【防壁】【変形操作】【魔力値拡張1.5】』



oh…



神様は俺のことなんだと思ってるんだろうね。

クソで変態なウンポコ野郎とでも思ってるんか。よし、今度会ったら○そう。


気を取り直し、頭の中で今獲得した【変態】のスキルへと意識を集中させる。

ポワワ〜ン


【変態】:魔力を通したエレメント体の変形、変質、操作が可能になる。



ん?

んん?えっこれマ?


これ…使いようによっちゃ、割と神スキルなのでは?名前はアレだけど、こりゃいいもんもらったわ。


そして他のスキルを見るべく、もう一度選択スキルにムムムと意識を集中させる。



【射出】:魔力で生成したエレメント体

を勢いよく一方向へ飛ばす。


【防壁】生成したエレメント体を非常に防御性能の高い防壁へ変化させる。


【変形操作】適応属性のエレメント体の変形、操作がある程度可能になる。


【魔力値拡張1.5】魔力の最大値を1.5倍増加する。



うーむ、【射出】はやっぱり使い勝手が良さそう。

【防壁】は【変態】で代用できそうだし、【変形操作】は…言ってしまえば【変態】の下位互換になってしまった。取らなくていいかな。

魔力は…たくさんあるに越したことはないよな。


『取得スキルを選択して下さい。残り5秒…4…3…2…』


ああぁーっと、ヤバいヤバい!

よし、決めた!ハイこれとこれ!!



『スキル【射出】【魔力値拡張1.5】を取得しました。続けて魔力を変換し、肉体を構成します』


その瞬間、体の中の魔力が突然ボッコンボッコンと暴れ出した。


うぐっ、何だこれ!

ぐあああーっ、ヤバいヤバい!体の中身が外に出てしまいそうだ!ああぁーーっ出ちゃう出ちゃう!漏れちゃう!弾けて混ざっちゃうぅーっ! 


こ、これはいかん、どうにかして押さえつけないと…!イメージ、イメージだ。外から内へギュウっと圧迫するイメージ!


しかし努力の甲斐なく俺の体はパンッパンに膨らみ、今まさに破裂しようとしている。


あっやべ…ダメかもこれ…死ぬ。魔力貯めすぎたわ…。

まさか最後の死因が魔貯死まちょしとは……。


クソッ…負けてたまるか…!こうなったらヤケだ!キエエエェーーイッ!!



俺は尻から魔力を全放出。幾本もの魔力触手で自分の体を包み込み、弾けてしまわないようギュウゥーッと力の限り外から押さえつける。


「ぐ…ぐぬぬ…あ…無理…」


意識が遠のいていく。


死の淵に立った俺はその瞬間、不覚にも前世で死ぬ瞬間のことを思い出してしまった。


犬のフン…牛のフン…やたら顔の濃いケンシロウおじさん…



カッ!と光が瞬く。


一瞬の開放感と同時に、体内のエネルギーが安定していく。

フッ…と体が楽になり、意識もハッキリとしてくる。う…何だか力が満ち溢れるような感覚だ。




シーン…



静寂。



そこに立つのは、世紀末劇画調の、キリリとした非常に濃い面構え。


そして顔が付いてる本体は、全身茶色。三段構造の丸みは少なくなり、頭の先は尖っている。


要するに、誰がどう見てもご立派な、しっかりとした、でっけぇウンコだった。



こうして俺の人生は終わった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:ー

種族:下位精霊(土)

魔力値:10775/32325

マナ値:0

スキル:土生成、射出、変態、魔力値拡張1.5、言語、異界神の加護


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