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第五話

・・・なんか後ろが騒がしいな・・・

・・・・・・ん?

村人達が何かしてるぞ・・・

危ないから下がってろよ・・・俺が今からこいつをぶっ飛ばすんだからさ・・・


「行くぞぉぉお!!」

「おらぁぁ!!」

「アルデバラン今日こそ仇を!!」


村人達が一斉にアルデバランへと攻撃を仕掛ける。

ある者は弓。ある者は槍投げならぬ(クワ)投げ。ある者は石を投げ、各々がこちらに気を逸らさせる様に注意を引く。

だがアルデバランによるハンマーの横薙ぎ一閃で一瞬にして全てが消し飛ぶ。


「う、嘘だろ・・・?」

「まだまだ! 諦めるな!!」

「次行くぞぉ!!」


尚も諦めず反撃を繰り返す村人達。


「鬱陶しいわ」


アルデバランがハンマーを振りかぶり投擲の体勢をとる。


「なっ、投げてくるぞ!」

「やばい! 退避だ!」

「うわぁあ!! し、死ぬ!」


村人達が逃げ惑うが、それでもアルデバランの衝撃命中範囲だ。この一投で全滅させれるだろう。


「死ね」


振りかぶったハンマーを村人達へ放る瞬間、アルデバランはただならぬ気配を感じ、一瞬身体が強張る。


集中を欠いたせいか、ハンマーは村人達とは別の方向へ飛んでいってしまった。


アルデバランはその原因とも思えるある人物へと視線を向ける。


「手ぇ・・・出すなよ・・・まさか、自分の言った事、忘れたか・・・?」


「1番先に殺すのは、俺じゃねぇのかよ・・・!」


なんなのだこいつは・・・

今にも死にそうな奴如きに我が気圧されたとでも言うのか・・・!?


「・・・準備が整った! いくぞユート君!! これが私のせめてもの援護だ!!」


エア・ヒール(そよ風の癒し)!!」


村長から放たれたエメラルド色の風が俺の身体を包み込む。

暖かかな風に包まれた様に心地良くなり、痛みが引いていくのを感じる。


「・・・!! 呼吸が、できる!」


すげぇ! これは魔法ってやつか? この世界には魔法もあるのか!


「そんなことより! 助かったよ村長!!」


「私の魔法はこれが限界だ! 完全には回復出来んが身体は動くはず!!」


「十分っ!!」


「ちっ・・・老耄(おいぼれ)め。余計な真似を」


「仕切り直しといこうぜ! 神さんよ!」


一時諦めかけていたが、村長やみんなに助けてもらって復活できた。この機会を無駄にはしない。


「・・・まぁ良かろう。 次の一撃で潰せば問題あるまい。武器召喚"槌"」


アルデバランは左手にエネルギーを収束し、再び巨大なハンマーを顕現させる。


「行くぞ!」


俺は言い出すと同時にアルデバランのもとへ走り出した。


「アイツ自分から突っ込んでいくぞ!」

「イカれたのか!? 死ぬぞ!!」

「何考えてるんだぁ!? やめてくれぇ!」


大丈夫さ村人さん達。これは作戦の内さ!

アイツは何度も縦振りの攻撃を躱されている。

攻撃速度に自信がある様だが心のどこかではまた避けられるのではないかと感じているはず!

ならば正面から来る相手に迎え撃つ攻撃の軌道は――


「下等な人間め! くたばれぃっ!!」


「今だ!!」


横薙ぎだろ!!


俺は前宙返りの要領でアルデバランの眼前で跳躍し、頭を振り下ろす。

頭が真下に下がり切る瞬間、奴の繰り出したハンマーが脳天を掠め、その反動で一気に頭が持ち上がる。

そのままの勢いで俺のヘルメットもとい神具(アトリビュート)が奴の顔面へ突き刺さった。


ごちゅっ と嫌な音と気色悪い感触が俺の頭から感じ取れる。


アルデバランはそのまま仰向けに倒れ込み、ピクピクと痙攣し始めた。


「どうだこの野郎! 名付けて自打球ヘッドバットだ!!」


中1の頃野球部の試合で受けた痛さの数万倍の威力だぜ!

これも動体視力と思考加速が向上している神具(アトリビュート)の成せる技さ。

一般の武器での攻撃が通らないのであれば、異様な硬度と奴自身の力を利用すれば良いだけの話だ。


「あ、あいつ・・・神を倒しやがった・・・」

「夢でも見てるのか・・・!?」

「すげえぇぇ!!」


ワーっと歓声が上がる。

余程嬉しいのだろう、泣き出す村人も何人かいた。

無理もない。大切な人を奪われ、殺され、搾取され続けたのだから。


「まっ・・・まだだ・・・! まだおわって・・・」


俺が村人からの歓声に気を取られているとアルデバランは身体を起こそうともがいていた。


「諦めろ。もうお前は戦える状態じゃない」


顔は変形し、歯は喋るごとにバラバラと床に落ち、鼻は陥没しており、目は両方とも顔面の中に埋もれていた。


「ぐぎぎっ・・・おぉぉおああぁ!!」


それでも尚立ち上がろうとするアルデバラン。

その根性だけは賞賛に値する。


俺はもう一度臨戦体制に入り身構えるが、どうやらその必要は無くなったらしく警戒をやめた。


どうやら力が尽きたらしい。

アルデバランはもうピクリとも動かなくなった。


「こんな強い奴があと11柱もいるのか・・・先が重いな」


こいつの情報で分かった事が2つ。

一つ目は父さんの親友は12柱の神々のリンチによって殺された。

二つ目は俺の生みの母親も殺されており、それもまた12柱の神が直接的に関わっているということだ。

まだまだ情報が足りないが、それでも善良な神とは言い難い。


「待ってろよ残り11柱・・・! 必ずお礼参りしてやるからな!」

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