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第二十五話

「武器召喚"剣"!」


俺は左手に剣を発現させ、ハマルに向かい駆け出す。


「ほっほっほ! 威勢が宜しいですな!」


間合いに入り、剣を横薙ぎに振るがハマルは真上へジャンプし回避する。


「馬鹿が! もらった!!」


この野郎、見かけによらず身軽に動けるじゃねぇか。

だが、いくら身軽でも空中じゃ動けまい!


俺は振り切った剣先を地面に当て、真上に斬り上げる。


「えっ!?」


俺の振り上げた剣は奴に当たらず空をきる。


避けられた!? 空中で!?


「おやおや、驚かれてるようですな」


着地したハマルは杖を取り出しこちらへ向ける。


「さぁ、続けましょうか?」


俺は駆け出しハマルへ斬りかかるが、ハマルは難なく杖で受け止める。剣を弾いて杖を振るが、俺も仮面の力で見えている為剣で受ける。


そんな攻防を幾度も続け、埒が開かないと思った俺は一旦ハマルから距離を取る。


「おやおや、もう止めてしまうのですか? 私は後数時間は出来ますよ?」


「お前なんかにそんな付き合ってられねぇんだわ。さっさと終わらせる」


「そうですか。折角楽しくなってきたのに・・・なら終わりにしますか。闇魔法"ダーク・ブラインド(目隠し)"!」


「っ!? くそっ!!」


目の前が黒い煙で覆われ、視界が真っ暗になる。


しまった。油断した・・・! 攻撃魔法への警戒はしていたが、()()()()()()()()()()()()()()()、所謂デバフ属性の闇魔法への警戒はしてなかった!


「くっ!! 雷魔法"サンダー・サークル(雷の円)"!!」


自身の周囲に雷の円を展開させ迎撃に備える。


が、一向に奴からの攻撃が来ない。

徐々に視界が晴れていき、やがて完全に見えるようになった。


「・・・いない? くそっ、逃げーー」


「ここに居ますよ?」


ハマルは俺の()()から杖を振り下ろし、頭頂部へと直撃させる。


「あ゛っ!?」


衝撃が全身を駆け抜ける。

神具(アトリビュート)といえど頑丈ではあるが衝撃までは防げない。

痛みで硬直した俺にハマルは追撃をかけ、横薙ぎによる杖の打撃で俺の身体を吹き飛ばし、ガシャァンと観客席に突っ込む。


「うぅ、ぐっ・・・!」


俺の左腕が通常ではあり得ない方向に曲がっており、強烈な痛みが俺を襲う。


「脆い・・・余りにも脆いですな。ですが頭を割る事は出来ませんでしたね。流石は神具と言ったところでしょうか。ほほほ」


コイツ・・・俺の雷魔法を飛び越えて頭上まで来たってのか? そうだとしたら()()()()()()が1つある。

足音が()()聞こえなかった事だ。

視界を封じられた時、俺は音に集中していた。

奴の闇魔法が視界と音を遮断する魔法だったならば納得出来るが、そしたら1番最初に俺が攻撃した時、空中で避けられたのは何故だ?

決まってる。奴の能力によるものだ。


「分かったぞ・・・お前の神具の能力・・・!」


「ほほほ。もう気づきましたか・・・人間にしてはやりますねぇ」


「飛べるんだろ・・・? 宙を自在に」


「おほほほ! 大正解ですよ! まぁ別にバレたところでなんの支障もございませんがね」


そう言ってハマルは地面を蹴り、身体を宙に浮かす。


反則だろ・・・! 自由自在に飛び回れて、視界を封じる魔法に、多分それ以外の魔法もあるとなると勝ち目はほぼ無いだろ! 相手は地上に加えて空からの攻撃も可能なんだ。こんなのどうやって・・・


いや、ここはテントの中だ。

広い空を飛び回れたら勝機は無いが、この限られた空間の中だったらまだなんとか出来るかもしれない・・・!


「うっ・・・! いってぇぇっ・・・!!」


折れた左腕に激痛が走り、意識を失いそうになる。


「さぁさぁ、まだまだここからですよ!? 闇魔法""ダーク・パラライズ(闇の麻痺)!」


「ぐっ!!」


闇の波動が俺を覆い、身体全体が硬直する。


「行きますよぉ!!」


宙に浮かんだハマルが杖を突き出しながら真っ直ぐこちらへ向かって飛んでくる。


俺はピクリとも動かない身体を必死に動かそうとするが間に合わなかった。


「・・・やはり人間は脆いですねぇ」


その杖は俺の腹を貫通しており、ハマルはそのまま俺を突き刺さった杖で持ち上げる。


「ごふっ・・・」


体内の血液が喉を逆流し、口から大量に排出される。


ハマルはその血を浴びるも気にする事なく持ち上げた杖を後方に振り下ろして俺を舞台へと投げる。


激しく身体を打ちつけ転がっていき、次第に止まったがぴくりとも身体が動かない。


「はぁ、これで終わりですか・・・神具を3つも持っていながらこの弱さとは・・・アルデバランとアウストラリスは相当油断したのでしょうなぁ」


やれやれと首を振るハマル。


「まだ・・・死んで・・・ねぇ・・・!!」


俺は力を振り絞り右手を身体に触れ魔法を唱える。


「回復、魔法・・・"フレイム・ヒール(業火の癒し)"・・・!!」


煌めく炎が全身を包み、傷を癒していく。

左腕の骨は正常に繋がり腹部の穴が塞がれた。

傷が完全に治った俺は再び立ち上がる。


「・・・アウストラリス。少々厄介ですね」


「一気に殺さない限り俺は死なねぇぞ・・・! さぁ、第2ラウンドだ!!」

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