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あの子は私が殺した

昨日あの子は死んだ、


 あの子の一番近くにいたのは私だった、きっとあの子を救うことができたのは私だけだった、


 あの子は私が殺した。



「おはよう」


 私がいつもの様に挨拶をするとクラスの空気はいつもと違った


「おはよう小夜」


「どうしたの? なんかあった?」


「......」


 私が風邪で休んでいた間何があったのだろうか?

クラスの空気が明らかに重い。


「ん? 何? どうしたの?」


「真紀......」


「真紀? 真紀なんかあったの?」


 嫌な予感がしたそしてそれは一番最悪な結果となって返ってきた。


「何......これ......」


 真紀の机には一輪の花が立ててあった。


「何よ! これ! 変な悪戯? だったら笑えないよ!」


「小夜! 悪戯なんかじゃ......ないよ......真紀は死んだの」


 その瞬間私の頭で全てがつながり全てが崩れ落ちた。


「真紀が死んだ......なんで......!」


「わっかんないよ!あの子前から私達に心開いてくれてなかったじゃん!私にわかるわけないよ!......あんたこそ知ってんじゃないの!」


 私にはわかっていた、今目の前に彼女の死があるなら原因なんてあれしかない彼女が死んだのは私のせいだ。


「そうだよ、小夜なら知ってるでしょ!」


「そうだよな!」


 みんなが私を責め立てる、当然だどう考えても私以外疑う余地がない。


「なぁ? 小夜? お前知ってるんじゃないか? なぁ? なぁ!」


 クラスメイト達の私を責め立てる圧と、目の前の真紀の死が私をおかしくしていった。


「ころし......そうよ!私が殺したわよ!私のせいであの子は死んだのよ!」


 私は不意に視界に入ったハサミを掴み自分の首筋目がけて突き刺した......。




 あれ?動かない?どうゆうこと?私が首元にハサミを刺した瞬間......刺さってない?どうゆう......


「ハロ〜?」


「わぁ!」


 私の視界に仮面をした彼女突然は現れた。


「な、なに!」


「これ危ないよ~」


 彼女は私の言葉など気にせず私の手のハサミを奪った。


「あんた誰?......ってみんな止まってる?」


「やっと気づいた?そう!今この時間はあなたがハサミを首に指すところで止まってるの!」


「な、なんで?」


「なんで?それはねあなたがこの瞬間死ぬからよね〜」


「で?止めにきたわけ?」


「まぁそうゆうこと」


「だったら無駄よ!私の死を止められる人なんていない!」


「まぁそんなカッとならないでよね〜私とお話ししましょ」


「話? 見ず知らずのあんたと話? するわけないでしょ!」


「え~じゃあこの時間が止まった状態で何すんの? 覗き? 落書き?」


「しないわよ! 第一この状態どうやったら終わるのよ!」


「ん? 時間が止まってること? 私が手を叩けば治るけど?」


「な、なら早く戻しなさいよ!」


「え~いーやーだ! あなたが私とお話しするまで叩かない、ずっとこのまんまだもん!」


「はぁ~なんでよ、全くなんなのよ~」


「いいから、はい! こっちきて! 早くここ座って!」


 彼女は彼女座っている横の席を叩いて私を呼んでいる。


「仕方ないか」


 なぜか初対面のはずの彼女に妙に安心する、だから私は彼女と話すことにした。


「まずそうだな〜好きな食べ物は!」


「ベタすぎる! 何? 話すことないの? スンドゥブだけど!」


「そうそうスンデゥブね~えーと次は好きな人はいる?!」


「な! ほ、本当に話のネタないの? あんたに言うわけないでしゅ!」


「そっかーざんねん次は〜」


「あのさ! どうせ聞きたいことがあってわざわざこんなことしてるんだよね? さっさと本題入りなさいよ!」


「うん! わかった、なんで死のうとしたの?」


 その瞬間私は深く俯いた。


「私が大好きな親友を殺したから」


「その子が死んだとこ見たの?」


「見てない、でもあれは私が殺した様なもんだよ」


「そっか、でもその子はあなたに殺されたと思ってるかな?」


「思ってるよ......あの子はきっと私を恨んでる」


「なんであなたはその子を自分が殺したと思うの?」


「私は救えなかった、一番近くにいたのに、きっとあの子のこと救えたのは私だけだったはずなのに、ごめんね真紀......」


「そっか、あなたはさ真紀ちゃんのこと好き?」


「好き、大好き! 初めて心から親友と呼べる相手だった」


「そ、そっか......」


 突然彼女は椅子から立ちおもむろに黒板に向かった。


「私も好きだよ小夜!」


 その瞬間後ろを向いていた彼女が振り向いた、彼女は真紀だった......。


「え?真紀......なの?」


「そうだよ、真紀だよ!」


 真紀の顔を見た瞬間今まで彼女に感じていた安心感の正体に気ずいた、思えばいきなりハローなんた言うのもスンドゥブが言えないのも全部真紀だった。


「真紀.....真紀!!」


 私は思わず飛び込んだが、真紀の体は綺麗に通り越して頭をぶつけた。


「イタァ!」


「小夜大丈夫?ごめんね私幽霊だよ?」


「みたいだね」


 頭は痛かったが心は幸せだった。


「ねぇ?小夜?私が死んだのはあなたのせいじゃない、あなたは何にも悪くないよ」


「じゃなんで死んだのよ!」


「そもそも自殺じゃないんだよね?」


「へ?」


「あんまり警察が調べずに自殺って決めつけられちゃったけど実は親に殺されましてね、それを自殺に仕立て上げられたってゆう」


「そ、そんな!そんなことって!」


「あるようちなら、うちはそうゆう家だから、仕方ないんだ」


「でもそれじゃあ!」


「うん、だからお願いがあるの、私たちが初めて会った場所の木の下に埋めてある物警察に届けてほしい」


「うん!任せて!」


「よし!話さなきゃいけないことは話せたかな?うん!」


「真紀......」


「ねぇ小夜さっきの言葉嬉しかったよ」


 途端に私の顔が赤くなるのがわかった。


「今までありがとうねこんな私の親友でいてくれてもう大丈夫だから!」


「そ、そんな私はあなたが好きだから一緒にいたんだよ!」


「え?でも学級委員だからって......」


「違う!私はあなたのことが友達以上に大好きだから一緒にいたの!あなたは気づいてないかもだけど私あなたのこと好き......その......恋愛対象として......」


「え!いや、その......私も好きだよ!だから自殺なんてするはずないよ!だって私が辛い時はいつも小夜がいた! 泣きたい時はいつも小夜が泣かせてくれた! 私のそばにはいつも小夜がいた! だから死のうなんて思わないよ!」


「でも......」


「確かにあの日別れ際にギクシャクしちゃったけど、でもそれで死のうなんてならない!」


「真紀!」


「だって次の日小夜に謝りたかった!またいつもみたいに笑いたかった!」


「真紀!」


 私は思いのまま真紀を自分の腕に包み込んだ。


「ごめんね小夜あの夜あんなこと言って」


「うんうんいいよ私だって悪かった、仲直りしよ」


 私は真紀に右手を差し出した、真紀は友達になったあの日の用の私の手を握ってくれた。



「ねぇ? 真紀? あなたが手を叩いたらあなたとはバイバイなの?」


 その瞬間真紀は俯いた。


「うん、そうだよ」


「それじゃ私このまんまで......」


「ダメだよ! 小夜それはダメ」


「どうして? 私真紀とずっと一緒がいい!」


「ダーメ! 私はもう死んでるの、それに未練も果たせたからほら、少しずつ消えてくの」


 確かに真紀の言う通り真紀の足は徐々に薄くなっていった。


「そんな! やだよ! 私まだ!」


「さーや! おわかれ」


 真紀は私を包み込むように被さった。


「これから私がいない世界を生きるんだよ、小夜あんまり悲しまないで、一週間ぐらい学校休んで気が晴れるまで遊んで? そしたら私のことは全部忘れるいい? わかった?」


「そんなの無理だよ......」


「無理じゃないよ小夜私を忘れてあなたの人生を歩んで」


「忘れないよ真紀! この先どれだけ時間が流れても一生あなたは私の親友! あなたは私の人生の一部だよ」


「小夜......」


「真紀」


「ありがとう小夜......わたしあなたみたいな親友に出会えて幸せだよ!」


 真紀の満面の笑みと共に真紀の体が激しく光り始めた。


「もう時間みたい......それじゃあね? バイバイ」


「真紀!」


「小夜」


「私も幸せだよ! ありがとう!」


「ありがとう小夜! 私の分まで生きてね! 小夜大好きだよ!」

 もう今にも消えそうな真紀の手が音を立てた。


 真紀が消えると私の首元にはハサミが刺さる寸前だった、私は右腕の力を抜いてハサミを落とした、それから周りの音なんて一切聞かず私は走り出し電車に飛び乗った。


「真紀そっちでも元気でね、ありがとうまたね」


 あの子と初めて会った場所で空に向かって呟いたその言葉は天高く飛び去った。


「小夜あなたこそ元気でね、先に待ってるからゆっくりきてね、ありがとうまたね」


 若しの髪を強く揺らしたその風はほんのり真紀の香りがした。

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