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社会不適合者達による成り上がり英雄譚  作者: 鳩理 遊次
三章 アレクレア共和国と騎士小隊結成
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3章 90話 魔法特訓の休憩模様

完全なお茶濁し回です。

本来は章が終わった後の閑話として出す予定でしたが、この頃忙しすぎたり先の話を消してしまったりと問題があったので繋ぎとして出します。

ストックはまぁまぁあるのに、ストーリーが気に食わなくなったので修正してます。

もっちゃもっちゃもっちゃ。


もっちゃもっちゃもっちゃ。


もっちゃもっちゃもっちゃ。


青い空、爽やかな風、荒れ果てた地面。

地面を除けば完璧なロケーションでのお弁当。

いや、外で食べるのに風景が綺麗なのは最重要項目だろう。

前言撤回。

やはり、ロケーションは最悪だ。

花より団子を地で行くオストだが、今日ばかりは現実逃避にそんなことを思いながら、用意されたおにぎりを口に詰め込む。

場所は毎度お馴染みアルマークス宅の庭。

このだだっ広い空間を庭と言ってよいのかは不明だが。

無言で黙々と咀嚼音だけを奏でる人物が他にも三人。

一人はいつも通りハイライトを消して濁らせている青年のマサキ。

もう一人は普段見せない疲れた表情で、ウトウトしながらもゆっくりサンドイッチに齧り付くサキ。

最後は以外も以外。

サンドイッチとおにぎりを両刀にして頬を膨らませているルナエルだ。

その光景は中々に受け入れ難いもので、オストはつい二度見してしまった。

魔法の鍛錬がひと段落ついた四人は、仲良く昼飯を摂っていた。

マサキは自分のおにぎりを腹にしまい終えると、今度は異空間から木の深皿を取り出す。

そして、同じように異空間からスープの入った水筒を取り出すと、深皿に並々と注いでゆく。


「スープ飲む人」


「くれ…」


「はぃ…」


「…」


アンケートを取れば、オストが真っ先に返事をして遅れてサキが声を上げる。

一人無言であったが、何と無く雰囲気で察したマサキは四人分用意することにした。

配膳が終わり、ズズッと重なる四つの音。

四人はシンクロして深皿を膝の上に乗っけてほっこりすれば、再び遠くを見つめ直す。

実に平和だ。

訓練中でなければ。

魔法のことをルナエルが教えることになってから初めての指導。

今までにオストが彼女に抱いていた感想は、魔法が使えることは知っているが大丈夫なのか心配になる謎な人だ。

見た目が可憐というのもあるが、マサキをも超える気だるげな態度に極度の無口。

極め付けは、口を開いたとしても会話が成立していない。

兄のシナも大概人の話を聞かないが、ルナエルのそれは次元が違うと言っていい。

オストが話しかけてもロクな反応は返ってこず、口を開いたと思ったら謎な発言をする。

まともに話せているのは多少の例外はあれど、家族くらいなものだろう。

一度エレナリーゼが彼女と話しているのを見たので、話すコツを聞いたことがあるのだが、答えは「無い」だった。


「ルナ姉様は興味あることしか話さないのよ。考えが自分の中で完結してるし、そもそも他人にカケラの興味もないんじゃないかしらね。私がおしゃべりできるのだって、可愛い姪っ子だから構いたいってくらいじゃ無いかしら?」


つまり、オストはルナエルにミリほどの興味も抱かれていないということ。

それなりに長い間一緒に旅をしたのにも関わらず、その程度の認識と知って少し傷付いたものだ。

そう言った裏話もあり、オストはルナエルが人に物を教えることができるのか懐疑的であった。

そうした中での初の教え。

不安は大的中で、ルナエルに魔法を教えることなど出来なかった。

では、今の今まで何をしていたのかとなる。

勿論、ずっとご飯をモシャついている訳では無い。

シナの指定する時間通りに集まった三人。


「やる」


突如としてルナエルが短く口を開く。

はい?

一言呟いた彼女にサキとオストが首を傾け、マサキだけが顔を盛大に引き攣らせた。

魔法の前兆など感じさせない構築に、照準を合わせるといった動作のないノールック射撃。

オストは反応をすることもなく腹で受けることになった。

ただ魔力を固めただけのその魔法は体を吹き飛ばしてあまりある威力であり、結界魔法に打ち付けられ数分意識を飛ばす。

目を覚ました時には、どこから取り出したのかも分からない大槍を振り回すルナエルを、マサキがギリギリで凌いでいた。

さらに、色とりどりな各属性の魔法達。

それを後で魔法の壁を張っているサキへと絶え間なく降らせていた。

何が何だか。

意識を取り戻したオストだったが状況を飲み込めずに呆然とする。

そこへ、ルナエルが魔法を打ち込んだことによりやっと動き始める。

こうして始まったのは教えと言う名のイジメだった。

この時初めて三人はシナの教えは無茶振りはあれどマトモだったんだな、としみじみと思ったものだ。

実際、シナも世間一般ではかなり厳しい方であるが、これを前にすればだいぶ可愛い。

感覚が麻痺しているだけとも言う。

この死にそうでギリ死なない訓練だが、終わりはルナエルの「お腹空いた…」発言がされるまで休みなく続いたのだった。

そうして今、四人仲良く遠くを見つめながら仲良くご飯を食べていた。

内二人が遠くを見つめているのは疲れていて、何も考えていないだけでもあるが。


もっちゃもっちゃもっちゃ。


お腹が満たされ、重くのしかかっていた疲労も少し和らいだ頃。

オストはやっと周りに気を回せるまでに回復した。

そこでふと気になることがあった。

未だ三人ともサンドイッチやおにぎりを食べていることだ。

オストは年相応以上の食事を取っている。

具体的に言うと成人男性二人前以上だ。

それを頭に入れて、まだご飯を食べてる人物達を見てみる。

マサキは見た目に似合わず健啖家だ。

それこそ食べる時は何処に入るのか分からないくらいには。

サキが未だに食べているのは単純に疲れきっているからだ。

小食という訳ではないが、それなりに食べる方だ。

問題は最後の一人。

右手におにぎり、左手にサンドイッチ、膝の上には深皿。

赤い瞳は惑わし、流れるプラチナブロンドは輝き、整いすぎた顔は人々を魅了する。

そんな傾国の美女とも言える彼女は、食いしん坊よろしくなスタイルで食べ物を頬張っていた。

似合わない…

想像してみてほしい。

貴族の令嬢が両手に食べ物を素手で掴み、頬張っているところを。

服装がラフなワンピースなことが拍車をかけて、かなりシュールな光景だ。

極め付けは…


(どれだけ食うんだ…!?)


マサキと同じペースでパクパクと口に放り込んでいく様。

二刀流なので食べる速度は二倍だ。

オストはチラリと盗み見ながら冷や汗を流す。

全体的にスラリとしたルナエルの肉体。

胴回りも相応に細いのであるが、どう考えても現時点であのお腹に収まる量を超えている。

マサキもそれは同じではあるが、奴にはしっかりと限界があるというのは知っている。

だが、ルナエルからはそれを全く感じさせない。


「なぁ…」


「どした?」


あまりにも気になるので口を開けば、マサキが反応を返してくれた。

ルナエルに「お前の身体どうなってんだ?」と聞こうと、喉元まで言葉を出そうとして踏みとどまる。

ふとも思い出すは身近な女性であった幼馴染の言葉だ。


(なんでそんなこと聞くの?女の子には秘密が付き物なのよ)


これはどんな時に言われた言葉だろうか。

思い出せないが、デリカシーに欠けることだったのは確かだ。

オストは身震いをすると、本能が危険を回避するために咄嗟に質問相手をちょうど反応したマサキに変える。


「前々から思ってたんだが、何処にそんな食べ物が入ってんだ?」


「さぁ?けど、最近なんか無性に腹が減るんだよな」


「限度があるだろ」


「そう言われても。てか、俺よりルナさんのが食べてるし、そんな不思議なことじゃないだろ」


言ったァー!!?

オストですら躊躇った地雷を、マサキは的確に踏み抜きに行った。

女性に食べすぎと言うのが禁句なことくらいは、流石に知っていた。

気になるルナエルの反応はというと…


「…」


ただ食べ物を頬張るのみであった。

おっかなびっくりなオストだったが、何も無かったことに一先ず胸を撫で下ろす。


「どした?」


「お前、怖いもの知らずだな…こっちがヒヤヒヤしたぞ」


「ん?ルナさんがそんなこと気にする訳ないじゃん。ねぇ?」


分かって無さそうなので、オストは遠回しに禁句について言う。

それをすぐに察したマサキは、気軽にルナエルへと問いかける。


「次」


これまた短いかつよく分からない発言。

次?

休憩終わり後の模擬戦で〆上げるという意味だろうか?

そんな悪い推測が頭をよぎる。

だが、マサキは「分かりやした」と三下風な掛け声と共に、スキルで黒点を作り出す。

取り出したのは今しがたオスト達が食べていた物が入っていたバケットと同じものだ。

蓋を開ければ、ぎっしりと詰まった食べ物達。

それをルナエルに差し出せば、無言で手に取り食事を再開した。


「な?」


「あの短い言葉で分るのか…」


「以外と分かるもんだぞ?ルナさんは言葉が少ないだけで、仕草の節々をよく見ればさ」


仕草の節々と言われて、オストは改めてルナエルを観察してみるが…


(全く分からん)


まじまじと見つめるが、やっぱり似合わない絵面だなくらいの感想しか抱かない。

大抵の人がオストと同じことを思うだろう。

普通、ルナエルの仕草の違いなどわかる人間など殆ど存在しないのだから。

自称メンタリストを名乗れる程の人間観察力に持ち前の勘、さらには人の感情を読めるスキル。

これらに加えて己含め数々の変人を取り扱ってきた経験則を持って初めて、ルナエルの言葉が理解できるのだから。


「どうぞ、食後のデザートです」


いつの間にかバケットが空になり完食したルナエルへ、マサキはすかさずシュークリームを差し出す。

ルナエルはこくりと頷くと、シュークリームを受け取る。

もぐもぐと口を動かす彼女を見つめるが、そこから何かを読み取れる訳もない。

オストはこのことについて考えることを止めると、自分もとシュークリームを貰うことにした。

こうして、四人揃ってもぐもぐとデザートを食べ終えると、再び地獄の訓練に戻るのだった。

魔法(使いとの戦い方の)特訓()


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