1章 プロローグ
祝、なろうデビュー。
初めて、遊二郎です。
初の作品なので生暖かい目で見守ってもらえると幸いです。
アドバイスなどの感想は気軽にしてください。
教室。
ジメジメとした空気が気持ちを下げる梅雨の季節。
六月のそんな時期でありながらそれをものともしない独特の賑わいをみせる場所。
空の天気模様などまるで気にしない二人の男子高校生が教室の後ろの方でスマホを持ち画面を忙しなく動かし続けていた。
「前にに敵いるから突っ込むなよ」
「了解」
「いや、だからそっち行くなって…ってニパーティー全滅させたのかよ…」
「こんなの敵のうちに入らないから」
「さいですかっっうぉ!?っと危ねぇ…」
「正樹、毎回射線管理甘すぎだよ。ビックリするだろ」
「俺は射線管理は苦手なんだよ」
「はい、ラスト」
「おつー」
「おつー 」
最後に敵を倒しきるとゲームのリザルトへと切り替わる。
画面から目を外し伸びをするように両腕を上げ、くたびれたように脱力する癖っ毛、と言うよりも寝癖の目立つ青年、神宮正樹は騒がしい教室を死んだ魚のような目で見渡す。
相も変わりもせず騒がしくバラエティにとんだ場所だなとぼんやり思う。
周りに迷惑をかけない程度に話すグループ。
逆に耳が痛くなるようなバカ騒ぎをしているグループ。
変なことをし盛り上がるグループ。
点々といる机に伏していたり、本を読んでいたり、スマホをいじっていたりと誰とも話さず静かにしているグループ。
(いや、最後のはグループじゃなくてボッチか)
人には群れたくない時期がある。
(俺にもあったな)
そんなくだらないボケとツッコミを一人でおこない、今日もつまらない教室を正樹はボケーッとしながら意味もなく見る。
特にやることもやりたいこともなく、意味もなく時間を浪費することを不毛に思いつつも楽しむ。
やりたいことがないからこそ将来に対する不安がある。
やりたいことがないからこそ自分に価値がないと思う。
よくある高校生の悩みなのではないだろうか。
正樹の場合はそれは歓迎こそすれど悩むことは無い。
そう思えるのは自分が無意味に過ごすこと、暇を何より楽しんでいるからだ。
その日の気分でゲームをしてラノベを読んだり役に立たぬ知識欲にかられ調べ物をした。
大切な時間を浪費できることを嬉しく思いつつもやはり退屈な日常を正樹は今日も眺める。
すると、隣の黒い髪が伸び放題のために前髪が目にかかっている青年、影浦純司が肩を叩き声をかける。
「正樹、次の試合どうする?」
「んー?もう辞めるわ、次が休み時間中に終わるかわからんし」
「それもそうだな」
「なんださっきの試合終わったのか?」
不意に声をかけられたが、知り合いなのでびびりな正樹もビックリするといることもなく二人とも声のする方に顔を向けることも無く質問に答える。
「勝った」
「淳ニがいるんだから大体勝ちに決まってるだろ」
「それもそうだな」
そう言い純司の隣に腰を下ろす金髪で顔の整った青年、一見陰キャグループと言って差し支えのない二人とは縁のなさそうな人物。
日本人離れしたモデルのような青年、灰原光は先程買ったであろうジュースの蓋を開けながら聞いてくる。
「そういえばサキは?一緒に買いに行ったろ」
「職員室に用事があるんだと」
「ふぁーぁ…」
「人に聞いといて興味無さそうにすんじゃねぇよ」
「すまん、いつも通りだ」
「正樹のその癖は今に始まったわけでもないんだから諦めなよ」
「ジュン、それは分かるがマサのあれ少しイラッとはするんだよ」
「そうだよ、マサ君はあんな感じだから仕方ないよ」
またしても横から話しかけてくる新しい人。
黒髪ロングの清楚系美少女という、こちらも二人とは縁遠そうな風貌をしているのは朝葉咲だ。
「咲、職員室に用事って?」
そしてこれは助け舟だと思い、咲が来たことをいいことに露骨に話をずらし始める。
「うん、よくぞ聞いてくれました!この時間にね白石先生と永井先生が仲良くお茶してるんだよぉ!それが堪らなくてね!」
「あ、はい…さいですか」
朝葉咲は、所謂腐女子というやつである。
どうやら助け舟がやってきたと思ったら、その船の材質は泥で出来ていたようだ。
所謂泥舟というやつだ。
そんな某たぬきを思い浮かべ、聞かれたことを嬉しそうに体をくねらせる清楚系美少女、あらため残念系美少女の地雷を踏んでしまったかと気を落とす。
しまったと思っても既に時遅し。
二人は自分たちは巻き込まれるまいと先程とは別のゲームをいそいそと始めている。
深い溜息をつきながら、残念系美少女の咲の話を合図地を入れながら聞くふりをしてやり過ごす。
正樹にBLの趣味はないどころか苦手だ。
だが面倒臭いと思っても話を切ることはしない。
話を逸らそうにもこの話が始まった咲の話は長いし止められない。
踏んだ地雷の痛みを甘んじて受けようと覚悟を決め、少し名残惜しいが残りの休み時間捨ることにした。
そんな四人にとって当たり前な時間は不意に終わりを告げる。
大きな揺れとともに光る球体の出現によって。
「うぉっ!!なんだありゃ!!」
教室内にいる者たちは、強い揺れのせいでまともに立つこともできずに非現実的な光る球体に恐れながら注目する。
やがて光る球体は膨張するように教室内の人間を巻き込んだ。
何気ない日常が続くと思っていた。
それがここに居る者の認識であり変わりようのない現実のはずだった。
しかし、真の現実は決して人などには測れるものでもなく、ただ人を嘲笑うかのごとく訪れる。
人の予測など塵芥のように打ち砕く。
そんな現象を人は非常と呼ぶ。
理解の早いものは喚き慌てるがそんなものに意味などない。
この状況に瞬時に対応した者たちは間違いなく優秀なのだろうが非常の前には皆等しく平凡である。
そして発光から数秒で強く輝き全てを飲み込む。
それに巻き込まれた正樹はその光景を最後に意識を落とした。
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