第6章~廃病院の2Fから先
僕が静音さんを追って、1F廊下の突き当たりまで行った一方、兄貴と徳和君と寛斗君は、2Fに上がって行きました。
雅幸君を探す使命もあったので、僕は1F廊下の突き当たりに行くまで、全ての扉を開けようと試みました。
しかし、霊安室を含めて、全ての扉に鍵が掛かっていました。
1Fの調査が終わったので、僕は2Fに上がろうと思いました。
2Fに上がる階段を、2~3段上がった所で、
「弟さんと女の子達は、2Fに上がって来ないで!」
という、叫び声が2Fから何度か聞こえました。
静音さんの体調も気になるし、早く寮に戻りたいところでしたが、運転者が2人共2F~3Fに行ってしまったので、待つしかありませんでした。
それに、車には鍵が掛かっているので、車の中で待つ事も出来ませんでした。
暫く待ちましたが、兄貴達3人がなかなか戻って来ないので、僕が2Fに行く事にしました。
この間、香緒里さんが1Fの入り口で見張っていて、日和さんは廃病院から少し先の石段に座って、静音さんに付き添っていました。
僕が、2Fに上がっていくと、段々と重~い気が漂ってきました。
2Fに上がってすぐの所で直感的に、
「これ以上この中に入ったら危ない!」
と、思いました。
そこから、ライトでゆっくりと左から右に照らしていくと、兄貴達3人が奥の方にいるのが見えました。
更に右の方を照らすと、兄貴達3人以外にも、心霊スポットに来ていた人達がいました。
静音さんが倒れて大変…という時に、兄貴達3人はそこに居合わせた人達と、ペラペラと話をしていたのです。
僕は、2Fに上がってすぐの所から動かずに、
「すいませ~ん、早く1Fに戻って来て下さ~い!」
と、言うと、
「何だよ!2Fに来るなって言っただろ!」
「お前、何で来たんだよ!」
と、言われましたが、
「いいから早く戻って来て下さい!大変なんです!」
と、言い、大きく手招きすると、兄貴達3人がゆっくりとこっちに近付いて来ました。
さっきまで、苛立った感じでしたが、2Fの入り口まで来ると、何故か大人しく下りていったのです。
それどころか、そこに居合わせた数人の方も続いて下りて行きました。
「何、何事?」
と、思いながら、僕も階段を下りていきました。
1Fの入り口にいた香緒里さんが、兄貴達3人を見付けると、
「あんたら、いつまで上にいるんだよ!」
と、叫びました。
「いやいや、雅幸君を探しててさ…」
「そんで、いたのかよ?」
「2F~3Fは全部見たよ」
「ほとんどの扉は鍵が掛かっていたけどね」
「トイレまで探したけどいなかったよ」
「探していねーなら、何で早く下りて来ねーんだよ!」
「それが、2F~3Fまでの階段は分かるんで、ずっと行ったり来たりしていたけど、2F~1Fに下りる階段がどうしても見当たらなくて、この建物に来ていた人達と話していたんだ」
「結局のところ、弟さんが2Fに来て呼んでくれなかったら、俺達マジでヤバかったよ」
「だから、2Fに来るなと…」
「1Fは全部見たけどいなかったよ」
と、僕が言うと、
「じゃあ、雅幸君はどこに…」
物々しい雰囲気になったところで、
「なんだったら、かおぽんも2Fに行ってみる?」
と、徳和君が言うと、
「は~!何言ってんの、バカじゃないの!」
「まあまあ、かおぽん、そう怒るなよ~」
「ねえ、あんたらが上に行っている間、1Fでしーちゃんが倒れちゃって、今、ひよりんとずっと外で待ってるんだけど」
「えっ、マジで!」
兄貴達3人は、急いで外に出ました。