第4章~心霊スポットに行ってみると
1台目の兄貴の車が5人で、2台目の徳和君の車が3人だと、人数のバランスが悪かったとは思いますが、雅幸君は来ないと思っていたので、こうなりました。
本当は、僕が兄貴の車の助手席の予定でしたが、後部座席右側に変更しました。
兄貴の車の後部座席は、左側に日和さん、右側に静音さんが乗っていましたが、静音さんに1つ席を詰めてもらって、右側に僕が座ったのです。
車を走らせて5分位で、僕は異変に気付きました。
後ろの座席から雅幸君を見ると、明らかに顔が青白いのです。
「この人本当に雅幸君?」
と、思いましたが、兄貴は普通に接していました。
それでも、兄貴が問いかけると、
「うん、うん」
と、だけは答えていました。
静音さんと日和さんは、おしゃべりに夢中で、異変には気付いていない様子でした。
それにしても、雅幸君は口数が少ないな…。
それに、あんなに心霊スポットに行くのを嫌がっていたのに、どんな心境の変化があったのだろうか?
と、思いましたが、
その後、静音さんと日和さんにあれこれ話かけられて、いつの間にか、その事が頭から飛んでいました。
それに、兄貴の運転が荒いのもあって、後部座席に座っていると、右に左に振られるので、あれこれと考えられない状況になっていました。
出発してから、車で30分位は掛かっただろうか?
目的地の廃病院に、車2台が着きました。
そこには、既に何台かの車が停まっていました。
心霊スポットNO、1と雑誌に載っていたので、あちこちから来たのでしょう。
すると、雅幸君が車を降りてすぐに、廃病院の中に走って行ってしまいました。
これは、さすがに皆で呆気にとられていました。
車から見えるだけでも、かなり不気味な感じの建物なのに…。
動揺はしましたが、僕は、一旦冷静になりました。
「えー、確か…2Fの窓から白っぽい人の姿が、2体見えるってあったな…」
と、思い、2Fを見上げると、
「うわっ、なんてこった!2体どころじゃなく10体以上はいるだろ!」
3Fを見上げると、
「いやいや、2Fよりは少ないけど、4体はいるだろ…」
「マジかよ!本当にここに入るのかよ!」
そのまま、呆然としていたら、
今度は、静音さんが車を降りて、廃病院の入り口へ真っすぐ進んでいったのです。
「マズい!ここに遊び半分で行くのはダメだ」
「あと、1Fは確か…?」
僕は、慌てて静音さんを追いかけて行きました。
しかし、地面が砂利だったで、足を取られた事もあり、入り口の手前で追いつく事は出来ませんでした。