第3章~観光から帰って来た後に
兄貴の部屋で、皆がメロンを食べ終わると、寛斗君が思い付いたように言いました。
「弟さん達、明日帰っちゃうんだから、折角だからこの後で皆でどっか行かない?」
「それだったら、いい案があるよ!ちょっと待ってて」
と、言い、徳和君が部屋を出ました。
その数分後、雑誌を片手に、
「じゃーん!ここに載っている心霊スポットに行こうぜ」
「いいけどさ、時間的にまだ早いんじゃない?」
「行くのは、夕方の6時過ぎにしよう」
「で、どこに行くんだよ?」
「どうせ行くなら、ここに載っている心霊スポットNO、1の廃病院にしよう」
「女の子達も行くよね?」
「いいけど…行くだけで建物には入らないかもね」
「雅幸君も行くだろ?」
「いいや、そういうの苦手だから行かないよ!」
「そんな事言うなよ!さっきメロンご馳走になっただろ」
「でも…本当、それだけは苦手なんだ!パスさせてくれよ」
雅幸君が、心霊スポットに行くのを渋っていると、弟も、
「行きたくない」
と、言い出しました。
「1人で留守番してますよ」
と、言うと、弟の意見はすんなりと認められました。
「それでさあ、その廃病院はどんな噂があるの?」
「えー、この雑誌によると、廃病院は3階建てで…」
「まず1番目が、1F廊下の1番奥まで行った所の、左側の扉から幽霊が出るらしい」
「2番目が、2Fの窓から白っぽい人の姿が、2体見える…ってあるよ」
「やっぱ、廃病院ってのが恐怖を引き立ててNO,1なのかな?」
「まあ、でも結局は何も起きないんじゃない?」
「それじゃあ、心霊スポットにならないでしょう」
「写真撮ったら、心霊写真が撮れるんじゃない?」
「えー、いいよー、そういうのはやめようよ~」
と、言ってたら、そうこうしているうちに、夕方の6時になってしまいました。
皆がライトを持って、駐車場に行きましたが、雅幸君だけは来ませんでした。
「俺、もう一回雅幸君の部屋に行って来るよ」
と、言って徳和君が走って行きました。
すると、入れ違いで雅幸君が駐車場に走ってきたのです。
「おー、やっと決心したか!」
兄貴が雅幸君を助手席に乗せると、
その、すぐ後に、徳和君が戻って来ました。
「雅幸君ならさっき来たよ」
兄貴が、助手席を指差すと、
「えっ?来たんだ…」
と、驚いていましたが、
「よし!じゃあ、これから出発だ!」
と、言い、下記の配置で、車に乗り込みました。
(先頭、1台目、運転者→兄貴、助手席→雅幸君、後部座席左側→日和さん、後部座席中央→静音さん、後部座席右側→僕)
(2台目、運転者→徳和君、助手席→香緒里さん、後部座席左側→寛斗君)