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夕立

作者: ゆずりは

8月のある日、窓越しに降り続ける夕立を見ていた。

最後の一口のコーヒーを喉に流し込み、マグカップを皿に置いて鞄を取った。

それから席を立って、大して何も入っていない鞄の中から財布を取り出して会計を済ませた。


店の外に出ると、夕立の音が激しく聞こえた。ため息をつきながら傘を開いて歩き始める。

昔は夕立が降り始めれば、雨だ雨だと友達とはしゃいでいたのに、今はもう面倒なだけになってしまった。

そういえばいつからだったろう、夕立が面倒だと感じるようになったのは、誕生日にとりたて何も特別感を抱かなくなったのは、雪が降ったら交通の心配が真っ先に浮かぶようになったのは。


もう随分も昔、死んだ僕の婆さんが言っていた。

「会いたい」と思ったら、すぐにでも会いに行った方が良い。

合わない時間が長くなるほど、会うことが億劫になる。会いたくても会えなくなる。

だから思い立ったが吉日、と言うんだよと。


そういえばもう、随分も会っていない気がする。

電話をしよう。どこかで飯でも食わないかと誘ってみよう。

携帯を開いて電話をかけた。コール音が鳴り出した。

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