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冬眠する熊  作者: 雨世界
1/1

1 ……ふぁ〜。……おやすみなさい。

 冬眠する熊


 登場人物

 

 佐々木はちみつ 冬眠する少女 十四歳


 みつばち はちみつが眠りの森の中で出会う、はちみつそっくりの少女 十四歳

 

 本編


 ……ふぁ〜。……おやすみなさい。


 佐々木はちみつが長い眠りについたのは冬の始まる前の出来事だった。

 その日、はちみつは家族のみんなに、「私これから冬眠するね」と言って、そのまま本当に自分の部屋にがちゃり、と鍵をかけて一人でふかふかのベットの中に潜り込んで、そのまま一人で、まるで本物の動物の熊のように、冬眠してしまったのだった。

 はちみつは全然目覚めなかった。

 低体温、ゆっくりとした呼吸、安心している幸せそうな寝顔。そんなものを家族に残して、はちみつは冬眠をした。


 冬が終わるまで、ずっと、三ヶ月の間、眠り続けていた。


 その本当に長い眠りの間に、佐々木はちみつは、同じくらい長い、長い夢を見ていた。

 それは暖かな春の夢だ。(春の目覚めの夢。それは私が、もう、春が待ちきれなかったからかもしれない)


 鳥たちが鳴く、花が咲き、緑色の木々が生い茂る、暖かな春の森の中で、はちみつは「ふぁ〜。おはよう」と言って、一人目覚めた。


 はちみつが眠っていた場所は、草が生い茂って、それが天然のベットのようになっている場所だった。


 そんなおとぎの国の中にある、王子様とお姫様が出会うような、そんな森の中で目を覚ましたはちみつは周囲をゆっくりと、まだ少し眠たい目で、きょろきょろと見渡してみた。


 ……どこかに私の王子様がいるかな?

 と思ったりしたのだけど、どこにも王子様はいなかった。それどころか、人は誰もいなかった。(まあ、森の中だし当たり前といえば、当たり前なのかもしれないけど)


「よし」

 いっぱい寝て元気いっぱいのはちみつはそう言って笑顔で、背伸びをすると、その場所から立ち上がって、この『眠りの森』の中を探索してみることにした。(この場所が眠りの森という名前の森であると、なぜかはちみつにはわかった。それはきっと、この世界がはちみつが見ている夢の世界の中だからかもしれない)


 はちみつは元気いっぱいに、たった一人で森の中を歩き始めた。

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