魔法の譲渡
「なるほどな。世論を味方につけるためだったか…」
ショッピングモールで茜が行った対処法が映像としてリークされ、国会で取り沙汰される。
「茜を証人喚問? 巫山戯るなよ?」と憤る師だが、どこまで要求を拒否できるのだろうか?
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しかし学校内では、特に弊害はない。理由は下級国民の命など興味がないからだ。
それよりも、藤本くんと本田さんを、魔法の要に連れて行かなければ!!
「早いほうがが良いよね? 明日にしよう!!」
「ふふっ。超上級国民としての我侭っぷりが身についてきましたね」と桜ちゃんも嬉しそうだ。
「えっ!? なら、今から行っちゃう?」と調子に乗って言ったら…。
「はい。かしこまりました。茜様」と絨毯を召喚して、将くんと藤本くんと本田さんを乗せ、魔法の要に向け飛び出す。
はうっ!! こ、これは…お姉さんや、お師匠様に、目茶苦茶、怒られるパターンでは??
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魔法の要に到着すると、なんだか懐かしく思える。
「でも、どうやって、魔法書を譲渡できるのかな?」二冊の本をかばんから取り出すと本田さんに渡す。
「あっ!! 一冊光ってるよ?」本田さんの手に持つ、風の魔法書が光っていた。
「ふ〜ん? じゃ、もう一冊を、藤本くん持ってみて?」
藤本くんに鎧の魔法書を渡されると、本田さんと同じように光る。
「よし、確か…本をお腹の上に乗せて寝るんだったわね」
小屋に案内すると、二人にベッドで寝るように指示する。
「暇になったわね…」と私が呟くと、怒った桜は言った。
「何を言っているの? 食料や、周囲の安全の確認、薪拾い、やること何て沢山あるわよ!」
しかし慣れきっている三人に、生活するための準備など、1時間もかからなかった。
でも、口は災いの元。余計なことを言うのはやめよう…。
「そろそろ、二人とも起きる時間じゃね?」将くんは薪割りをしながら言った。
「えっ!? 起きるのは、明日の朝じゃないの?」
「はっ!? いつまで寝せる気?」と呆れた表情の桜ちゃん。
「だった…。私、朝まで寝てたよ?」
「いや…それ、おかしいから…」と将くんにもツッコまれた。