恐怖の令状
「茜ちゃんを日本領土から、あの手この手で連れ出そうとする計画を随時潰しておりますが、一向に減る気配がありません。それどころか、各国が連携を始めている状態です」
師に茜ちゃん関連の報告をするのは胃が痛いのです。だって…鬼のような形相ですから。
「ほう…まだ懲りぬか。見せしめに国を一つ潰すか?」
「お、おやめください…」と怯える美羽であった。
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情報操作により、私を含む最大戦力で”魔界から来た謎の敵”を追い返したことになっています。
しかし校庭が魔界化したり、近くにいるだけで悶絶級の魔力のオーラを体感した生徒たちからは、更に避けられてしまっているのです。
そうそう、あの花壇を壊した名も知らぬ三人組ですが、魔法使いの先輩は極刑、残り二人は一家全員を下級国民へ格下げしたようです。判決は私の影響など及ばぬところなので、どうにもなりません。
それでお姉さんから、二冊の魔法書をもらっています。一冊目は花壇を壊した風の魔法書、二冊目は西条 翼の鎧の魔法書です。
魔法の要に行けば、他の人に譲渡することも可能らしいです。
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この件で今朝、涼くんと七海ちゃんと、少しだけ…喧嘩してしまったのです。
「茜様は、私たちが…頼りない…そう感じているだけじゃないですかっ!」
「そうです。私も魔法さえあれば、茜ちゃんの力になれると、いつも、いつも、悔しい重いをしてるのですからっ!!」
嘆願する二人に私は静かに答えた。
「涼くんと七海ちゃんが頼りないからじゃないよ、二人には、今のまま、私の帰る場所でいて欲しいの…。お願い…わかって…」
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二人には悪いけど…私の我儘だよね…。
さてと、一人はもう決まってるの本田 叶です。あとは…よし! 決めた!!
一応、お手紙を出そうかな?
「桜ちゃん、レターセット沢山持ってたよね? 2つ頂戴!」
「あら? 珍しいですね。いいですわ。この紅いのなんて素敵でしょ?」
そのやりとりを聞いていた…クラスメイトは…戦々恐々としていた。理由は、相田 桜からの手紙は、死刑執行の通知なのだと常識レベルで構内の誰もが知っていたからだ。
”マジかよ…。相田 桜だけじゃなくて、一条 茜までも、死刑執行人になるのか…”
その驚くべきニュースはお昼休みまでには、構内の全ての生徒が知ることとなる…。
「よしっ!! 気合い入れて、お手紙書くぞ!!」と周囲のことなど知らぬ茜であった。