大魔王 vs 雑魚
本田 叶です。一条様と同じクラスメイトで同じ美化委員です。一条様を普通の女の子なのでは? と思った時期も数分前に、ちょっとだけありました。
でも、今、目の前にいるのは、紛れもない本物の大魔王です。
漆黒の魔女っ子のローブがハタハタと風を伴い、一条様の真っ白な肌を晒しています。贅肉などがないおヘソ周り、そこには衣装はありません。そのお腹や、腕、顔など、地肌が確認できる箇所には、禍々しい幾何学模様の魔法陣が展開されています。
魔界のような空模様も、度々校庭に落ちる赤黒く輝く稲妻も、風速もわからないぐらい…浮かんでいる石など、弾丸のように速いです…。
それでも、何故か、校舎や花壇には被害がありません。もしかして…一条様が守っているのでしょうか?
「殺す…」と一条様が呟くと、私を吹き飛ばした三人組の背後に…。音もなく、巨人が出現しました。ええ…最初は、何かわかりませんでした。だって、目の前にあるのは、ただの大きな岩? としか思えませんでしたから、見上げれば…巨人でした。
「す、すいませんでした…」「こ、殺さないで…」「ひぃっ!! た、たすけて…」
一条様は命乞いする三人を無視して、次の魔法を唱えました。
「殺意のルーレット…」
またも巨大な針の時計のようなオブジェが出現しました。
「これは、お前らの運命を決めるルーレットだ。さぁ、回せ。お前が回し、こいつの運命を決めろ」
涙も涎も尿も…全て垂れ流すほどに恐怖する三人が、ルーレットなどを回せるはずもありません。
「こい、暗黒六芒星…」悪魔です。皆さんが想像する女の悪魔とは、この悪魔のことでしょう。
真っ白な肌に、蝙蝠羽、鋭い牙と爪、尖った尻尾…。豊満な胸、曝け出した下半身…。
「おい、こいつがルーレと回すの手伝ってやれ…」
駄目っ! あのルーレットを回せたらいけない…。私は、一条様の前に立ち、止めさせるように懇願します。でも…一条様の目、瞳孔の中は…真っ赤に燃え上がり…憎しみで我を忘れているようです。
悪魔が手助けをして、ルーレットが回り始めました…。
「ふふふっ。ディアボロス様、右腕でございます。どうしましょうか? ルーレットに処理させますか? ディアボロス様が直接、お切りになりますか?」
「よかろう…いでよ、デスサイズ」
またもや禍々しさ前回のどす黒く腐食した巨大な鎌を召喚しました…。その鎌を右手に持つと、スパンっと…名前も知らない上級生の腕を切断したのです。
「次だ。早く回せ…」
「お願い…一条様…もう…止めて…」
そのとき、黄金の光を纏った…天使様? が舞い降りてきました…。そしてもう一人…真っ赤に燃えた魔神が…。
「あかねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」