真実は創作より怖い?
新しい魔女っ子衣装は、新機能冷暖房が完備されています。夏でも暑くないのです。
「うわぁ〜。綺麗にだね。ひまわり、ハイビスカス、朝顔、ラベンダーも」
褒められて、嬉しそうにしている本田さん。もしかして?
「これ、本田さんが?」
「はい。花が好きなんです」とニッコリと答えてくれた。
しゃがんで花を眺めている私に、本田さんが話しかけてきた。
「一条様って、もっと怖い人かと思っていました。でも、月下 七海さんと話しているのを見て、何か皆さん勘違いしているのでは? と思い始めました」
私はガッと立ち上がり、本田さんの両肩に手を添え、泣きながら訴える。
「そう。その通り…。何で私が、こんなに怖がられているのか…。さっぱり…。いや、日本が公表した情報ってのが怪しい…怪しすぎる…」
「そ、それって…」と本田さんは、スマホを取り出すと、検索した動画を観せようとしたのだが。
「あ、魔女に、電化製品を近づけると、死刑に…ご、ごめんなさいっ!!!」
土下座して謝る本田さんの手を取り、制服に付いている誇りを払う。
「もう…誰? そんなデマ流しているの? 確かに魔女は電化製品に弱いけど、死刑ってのは…ないでしょ? それより、動画観せて」
その動画は…。小笠原諸島での”毒の靄”に始まり、ビル事件で召喚した骸骨たちと敵の先頭、ミサイルに突っ込む骸骨…。西条くんを殺したデスナイト…。そして破壊の巨兵フォビドゥンの召喚。それらの私の魔法動画の前に敵が襲撃してくるシーン、後に敵が全滅しているシーンを入れ、あたかも私が倒したかのように動画が構成されている…。
「あ、悪夢だ…。誰がこんな…悪意しか感じない…」と力なく地べたに座り込む私。
「どういうことですか?」と本田さんが聞いてきた。
「えっと…。その魔法は…私の魔法で間違いないけど、前後がおかしい。私、そんなに戦闘なんてしてないから…ぐっすん…」
涙する私に、ハンカチを差し出してくれた本田さん。ありがとうマイフレンド…。
そのハンカチを手にしようとした瞬間、本田さんの体が、宙に舞った。
「こんなところにいたのかよ。日本最高戦力さんよっ!」
「ギャハハハハッ。なんて面してやがる、びびって声もでねぇのかよっ!!」
「風間様、こんなの俺に任せてくださいよ。風間様の魔法がもったいないです」
その風間から放たれた魔法が、花壇を、花を、ボロボロにして、大事な友達を…傷つけたっ!!!!
「お前らっ!! 死を持って償えっ!!!」
結界により周囲へ魔力が漏れることを抑えていた私だが、戦闘モードになり、結界が解除される。
すると、晴天だった空模様が一気に暗雲立ち込める魔界のような空模様となり…。