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美化委員

学校だもん、委員会があるよね。私は美化委員。普通男女で一組なのだが、この学校では、そういうのは時代遅れとのことで、自由なのだ。


もう一人が誰なのかわからず、指定された1-3に向かう。ムフフフ。何とっ!! 七海ちゃんも美化委員なのですっ!!


「ひっ!!!」


私が一人、ムフフフと笑っていたのが怖かったのか、腰が抜けて歩けない女の子に、手を延ばす。


「大丈夫?」


「は、はいっ!! ひぃぃぃっっっっっ!!!!」


その子が叫ぶと、廊下にいた生徒たちは、一斉に教室に入り、絶対に廊下を見てはいけない雰囲気を出していた。


「ごめん、そういうことされると…皆が余計に私を怖がるの…何もしないよ…ぐっすん…」


涙を見せる私に驚き、手を掴んでくれた。


「お手を煩わせて申し訳ありません。一条様」


「そういうときは、ありがとうで、いいよ」


「はい。ありがとうございます。あの…私は、同じクラスの本田 叶と申します。そ、それに、同じ微会員です。よろしくお願いします」


そのまま二人で、ぎこちない会話をしながら、1-2のドアを開ける。


誰も友達が出来ないと嘆いていた私の隣に、女の子がいることで、七海ちゃんも喜んでいる。


七海ちゃんは、胸の前で小さく私に手を振り、私も同じように返事をした。


予想外のことが起きたのか、緊張で凍結していた生徒たちが驚き、隣同士で互いに目を合わせる。


「はじめまして、一条 茜です。よろしくお願いします」とだけ挨拶をした。


3年の美化委員委員長さんは、なぜか私と七海ちゃんの席を隣同士にしてくれた。


やったねっ!! うんうん、空気が読める人っていいよね。ありがとうっ!!


七海ちゃんが、他の生徒とクッション役になってくれて、話し合いも順調に進んだ。この事実は、全校生徒に知れ渡り、月下 七海の重要性が、クローズアップされることとなる。


私のクラスのお仕事は、花壇のお花を頑張って育てることです。


「あの…本田さん、この後、時間ある? できれば花壇を見てみたいの」


「は、はい…」


例え時間がなくても、見に行かなければ殺されるのだろうと、全員が暗い表情になる。


そんなことを知らない私は、ニコニコで教室を出ていく。


そして、生まれて初めて本物の死と背中合わせにした生徒たちは、緊張から解放され机に突っ伏して生の喜びを知るのであった。


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