古民家村
まるで江戸時代。そう時代劇のセットに出てきそうな村。いやレジャー施設。場所もいつもの基地から数キロ圏内。
どどーんと広がる古民家の家、家、家、家、家、家。
「どうなってるの? ここ?」SP新隊長の犬崎に質問する。
「はい。ここに全国各地に散らばる魔法使い・魔女を集められました。警備上の問題、国家としての都合ですね」
「桜は…あっ、ここからは、桜ちゃんにするね。桜ちゃんは、柴田さんと住むの?」
「えっ! う、うん…。特別にお師匠様が許可してくれたから…」とモジモジ嬉しそうに答える。
「将くんは?」
「うん? 茜の家の隣。この街と言うか村と言うか、基地の防衛圏内で、SPも護衛・巡回してるし、安全と言えば安全だ」
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「ただいまっ!!」 指定された家の扉を開けると、大きな声で挨拶する。
「「おかえりっ!! 茜様っ!!!」」
七海ちゃんと涼くんが出迎えてくれた…。えっ!? 二人とも…大人っぽい…。涼くんなんて声変わりしてるし、七海ちゃん…おっぱいデカっ!!
「二人とも…別人みたいだね……ハハッ…」
「何を言ってるのです。茜様も、ちょっぴり背が伸びたのでは?」
「う…どうせ、ちょぴりですよ…」と口を尖らせていると、七海ちゃんが、手で合図をしてきた。
寝室に案内されると、七海ちゃんが、突如、土下座を始める。
「えっ!? なに? えっ!?」
「茜様、お許しください。私…茜様の居ぬ間に、涼とお付き合いを始めてしまいました。茜様が涼を必要だとおっしゃるならば、どうぞ…」
「あ〜まて、まて、まてっ!! 私にも彼氏いるからっ!!」
「えっ!?」と驚きの表情で顔を上げる七海ちゃん。
脳内通信で将くんを呼び出し、七海ちゃんと涼くんに紹介する。
「こちら、私の彼氏、斎藤 将くんです。中2になったんだよね?」
「うん、中2だ。七海ちゃんと涼くん、お隣ってこともあるけど、よろしくね。それと俺のサポート役の南 庄と桑原 りん。二人とも同じ中2だ」
「「よろしくお願いします」」と覚悟していたことの斜め上を行き、安堵する二人だった。
家を出て行く将くんを目で追ってしまう…。うん、ちゃんと将くんが好きだ。




