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切り株の上で

森の入口付近を一通り観察すると、腰の高さで切断された大木の切り株を見つけ休憩する。


「もう桜…。してるのかな?」


「もう…何でも恥ずかしがらずに…って言っても、どうどうと大きくしながら、エロいこと考えないでよね…」


「なんだよ、茜。お前だって…」


見られる前にお股をぎゅっと閉じるが、それが…答えになってしまい、二人は馬鹿笑いした。


「ねぇ。将くんは、もう相手決めたの?」


「何だよ、急に、”くん”とか付けるなよ、何がむず痒い」


「だって、今は…戦う仲間ってより、プライベートな感覚だもん。年上に”くん”付けてもいいでしょ?」


「そのプレイベートのON・OFFがどこだかわからないけど…。相手かぁ…」


そっと将くんが、手を出してきた。


「俺さ、口が下手じゃん。俺の心を読んでくれよ…」


「えっ!? どういうこと? まぁ…読んであげるけど…」


手を触れると、将くんが、私のことを好きだと、伝わってくる…。


それは…。国家機密に指定される建物の内部で、内閣総理大臣から魔女になってくれと言われた日。


えっ!? 本当に一番最初の日じゃない? その日から私に一目惚れしていたの?


懇親会で西条 翼に私が馬鹿にされ…でも、助けてあげられなかったこと、誘拐され、殺されたときも、何も出来なかったこと…全てがトラウマになり、何度も自殺を図り…お姉さんに助けられたこと。


えっ!? お姉さん? 苗字が同じ”斎藤”…。えっ!? 親戚なの?


お姉さんに、私を好きなことを告げ、いろんな情報を教えてもらったこと。


お師匠様に…私と修行ができるように、お姉さんから、頼んでもらったこと…。


「将くん…本気は…わかった。でも…私、男の子を好きになったことがないの。もしもだよ? 好きな人が誰もいなくて、誰かから…将くんが私を好きと思っているくらいに…同じように好きと言われたら…。どうする? 付き合うの? 付き合って…その人を好きになれるのかな?」


将くんは、空を見上げ…考えをまとめてから、私に向き直した。


「言いたいことはわかる。でも、両思いで恋が始まるなんて、そんなにあるのかな? 人を好きになるってことがわからないのなら、教えてあげるよ。その人を幸せにしたいと思えるし、その人が俺のことを好きになってくれると信じられるんだ。もっと知りたいだろ? なら俺と…付き合ってくれ」


生まれて初めて…異性から告白されたのだ。心臓がドキドキする…。胸が苦しい…。


隣りに座っていた将くんが、私に覆いかぶさってきて、私は…切り株の上に寝転んだ。


将くんの目をジッと見る…心を読んだんだ…嘘なんて一つもない…本当に好き出来てくれている。


将くんの顔が、ゆっくりと近づいてきて…。唇と唇が重なる…。これも知ってるお互い始めてだ。


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