古民家の出来事
私の知っている男の子って…長岡 涼くんと、斎藤 将の二人だけだ。
そもそも誰かを好きになったことなんて、ナイナイ…。二人を、男の子同士を比べるのって、罪悪感があるな…。待て待て、斎藤 将は、好きな人がいるって、言っていたじゃないか…。
涼くんかぁ…。まだ日にちはあるし、今日決めなくても…。ウツラウツラ…。
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「暗黒六芒星が一人、魔獣王アビスでございます。えっ!? 誰って…猫のアリナですよ」
「あっ! ホモンクルスの猫の? 懐かしい…。それでアリナが何か用?」
「はい。ディアボロス様が、その…涼と呼ばる人間と…交わるとのことで…。おっと、始まりました…」
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これは…古民家? 視線から言って、猫の目線?
ベッドの上に寝転がる七海ちゃんと涼くん。二人は見つめ合い…。キスをする。
<<自主規制!!>>
(しばらく前から…こんなことが…毎晩のように…)
あまり使いたくないけど…一方通行脳内通信により、二人の気持ちを確かめる…。
<本当は茜様のことが好きだ。でも俺には手の届かない存在だ。そんな気持ちを知っていて、なお俺のことが好きだと言ってくれた、七海を今は大事にしたい>
<私では茜ちゃんに勝てない。でも涼が茜ちゃんを好きでいても、私が二番目でも、それでも涼がすきなの…。どうか茜ちゃん、私から涼を奪わないで…>
こっそりと除いた二人の心…。
そうか…。私の周りは、私がいなくても、どんどん変わって行くのね。寂しいけど。
七海ちゃん、私に勝てないなんて…そんなわけないよ、七海ちゃんの方が、ずっと可愛いもん。
でも、失って初めて気付いたのか、取られたは…違うけど、他のことばが思いつかない。他人が価値を決めたものって、とても美しく見えるし…正直、奪いたい…。
涼くん…。好きになる前に、さよならだね…。