相手は?
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「死も性も恐怖も憎悪も侮蔑も…ありとあらゆる負へ向かうベクトルが、ディアボロス様のお心の中で、ゆっくりと育っております…」
暗黒六芒星に向かって、爺が満面の笑みで経過報告する。
「そうですか…。それは素晴らしいですね…」
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久しぶりにお師匠様が姿を見せた。私たちに魔法を使わせ、成長の成果を確認する。
「ふむ。魔力の扱いが格段に良くなってきている、それと、なぜか器に溜まる魔力も増えている」
おーっ!! OKじゃないの? お師匠様も嬉しそうだ。
「次の修行だ。修行なのか…。まぁ、実行するかしないかはお前たちで決めろ。だが最終的には、どんな手を使ってでも実施させる」
また…お師匠様が、脅迫じみたことを言い出した。
「魔力が入る器の大きさは生まれた瞬間に決まる。だが器に注がれる魔力の量は、体の成長か、心の成長で決まる。私のように幾度も親しい者の死を見て、怒り、殺戮する力に変えた…。それは心の成長だ。桜、お前の魔力が多いのは、それに近い体験をしているからだ。まぁ…簡単に大人になる方法…即ち、性行為だ」
あんた…何言ってんの? 私たちまだ小6と中1よ?
ポカンとする顔の私たちに、さらなる追い打ちをかけるお師匠様。
「まぁ、期限は…一ヶ月か? これ以内で実施しろ。期限を過ぎたら、私が、相手を勝手に決めるからな」
立ち去ろうとするお師匠様に、桜が駆け寄り、何やら話し込んでいる。
「男の子って、誰でも良いんでしょ?」と将に聞くと、「馬鹿。好きな人と恋して…その、あの、その結果だろう? そういうのって…」と返された。
「何だ、男の子は、穴があれば、何でも良いって聞いてたけど…」
「はぁ? 茜…。何処で、そんなこと覚えてくるんだよ…」
「ふ〜ん、将は、好きな女の子いるみたいね?」
「それりゃ…、俺だって…」
「告ったりしないの?」
「馬鹿、それが出来てれば…」
お師匠様と話が終わった桜は、満面の笑みで…スキップしながら返ってきた。
「ふふっ。私…。春が来ちゃうかも」と完全に恋する乙女モードに入っていた。
えっ!? あんな短時間で? 何が起こったのですか? 桜…。
やばい…俺達も早く決めなければ…と焦る私たちは目線を合わせた。