男の子の事情
お師匠様が去って、もう数週間がたった。お師匠様の魔力は体内にないが、大自然から魔力を分けてもらえるようになっていた。修行が順調だから、お師匠様は来ないのかな?
寝るときは、1つの大きなベッドで、三人で寝ている。古民家にいるとの七海ちゃんと涼くんと一緒だ。二人は元気かな? なんだか懐かしい。
「あの…茜…お願いがある…。本当は桜がいないときにお願いするべきなんだけど、どうせ知られるから…」
切羽詰まった感じの将は、男の子の生理的な問題について、事細かく説明して、私たちに理解して貰おうと必死だった。
どういうことかというと、奴隷の契約時に、そういうことを禁止しているからである。あれ? 考えてみれば、奴隷とか制約の魔法って、七海ちゃんのときよりも、簡素化して実施できているよね? いつの間にか、魔法も硬度なのが使えるよになっていたのか…。
「そうなの? ごめん…よくわからない…桜は、どう思う?」
「確かに悪いことじゃないと授業でも言っていたし、動物としての本能に近いから…。でも、将は、まだ成長期に入ってないじゃない。体ができていないのに、やっぱり駄目だよ…」
「そ、そんなぁ…俺、どうにか、なりそうだ」しょぼんとしてしまった将だが、ごめん、正解がわからない。
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毎夜、意識が落ちると、夢の中では…。魔界に帰還するのです。そして暗黒六芒星に魔法を教わったりしています。
「確かに、忍の魔力は10,000であり、ディアボロス様の10倍です。器の大きさでは敵いません。しかし、その魔力を発動させる部分では、圧倒的にディアボロス様が優位です。例えば、ディアボロス様が全盛期のお力を取り戻したとして、最大級の魔法でも、魔力は20も消費しません。しかし忍の最大級の消費量は、5,000とか6,000に到達します」
「でも、魔法の威力は、魔力を注いだだけ強力になるのでは?」
「その考えてかで間違いはないですが、魔力を発動させる部分…そうですね。ディアボロス様の住む世界で言えば、車のエンジンでしょうか? エンジンの性能に天地の差があるのです」
「ほぉ…私のエンジン、すごいのね?」
「はい。とっても…。それに…魔力だけでなく…」
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ふっ、わあぁぁぁぁ…。今日も、寝ても覚めても、魔法だらけだね。私の日常は何処へ行ってしまったのか…。
桜は、いつものように、私を抱き枕代わりにして寝ている。将も抱きついているのだが、また大きく固くしているのか…。なんだか可哀想に…。
二人が起きる前に、土鍋でお師匠様が持ってきてくれたお米を炊く。おかずは川魚を日干しにした物を焼くだけなのだが…。
「うん、いい匂いだわ」
今日も元気に、お寝坊さんの二人を起こしに行く。




