魔法の要
日本アルプスの何処か、スーパーカミオカンデの近く、更に地下深くにそれはあった。
巨大な地下空間に、大自然が広がっている。
「地下なのに空? 地平線の更にその先まで…何かあるのかな?」
ほげぇ〜と、あまりの美しさに感動してしまう。
「ここが世界の魔力の源であり、世界が日本を狙う理由だ。ここを守るのが茜の役目だ」
お師匠様はポンと肩を叩き、「さぁ、行こうか」と言った。
草原の先にある森林に足を踏み入れると、一軒の小屋が見えた。
「ここが、お前たちの家になる。最初の修行として、まずは生活になれることだ。ここは魔力の源がある土地、そう簡単には死なないさ。がんばれよ」
お師匠様はそう言い残し、帰ろうとしたが…。くるんと向きを変え、「そうだ忘れていた。お前ら、裸になれ」
お師匠様が言うには、魔女っ子・魔法使いの衣装は魔法の補助のためにあり、修行中は魔力を敏感に感じ取れるようにするため、裸で行うのが良いのだという。しかし…ここには男子が…。
斎藤 将くんは、お師匠様の指示に躊躇なく従い全裸になる。
「だって…一条さんに、人殺しをさせるぐらいだよ? それにお師匠様に逆らったら半殺しにされるって、会う人、全員に言われてるし…。一条さんも殺されかけたんでしょ?」
「は、はい。その通りです」私も相田さんも納得できないまま全裸になった。
「よしよし、服の作成は禁止だ。では、また来るからな」カカカと笑いながらお師匠様は帰って行った。
最近、男の子のそれに興味が出てきた私は、斎藤 将のそれを観察する。
「ツルツルだ。でも大きくなってない」
斎藤 将は呆れ顔でだ。
「一条さん、体のことは、個人差があるんだ。あまり言って良いことじゃないよ。俺は気にしてないけど、気にする人はするから…。それに二人の裸は見ないようにしてるし、エロいことも考えてないから…大きくならないよ」
「流石は中学生ですね。斎藤 将さんが、良い人で良かった」と相田 桜さんが言った。
「えっと、呼び方だけど。下の名前で統一しない? 将、桜、茜で良いよね?」と将くんが言った。
「「はい」」と私と桜がOKした。
「まずは…衣装は作ってはいけないし、住むところはある。残りは食料かな?」
「うん。動物を狩るか、植物を採るか…。少し小屋の周りを歩いてみる?」と桜が提案する。
「そうだね。桜は空から偵察をお願い。俺と茜で地上を調査する」
結局この日は、川で魚を重力魔法で捕まえ、岩から出る湧き水を偶然見つけ飲水を確保した。
小屋の囲炉裏に私の数少ない火系の魔法で、火を付けた。